表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/2661

第百十話 上から目線は苦手です。

 飛躍的に事業を拡大しているプロジェクトR、

特に建設技術は他社も注目する程の技術を持っていた。


 「公共事業への入札参加資格?」

「はぁ、何度と入札に参加する様求められているのですが・・・」


 この国の公共機関が依頼する建設事業は、

透明性をアピールする為に入札制度を採用していた。


 「参加しても入札なんて無理でしょう?」

「御意。」

 「高いもんねウチは♪(笑)」

「そうなのですが・・・」


 事実上のトップの技術を持つ企業が、公共事業には一切関わらない事が、

一部では問題視され、一部では不快と批判されていた。


 「実際のところどうなの?」

「畜産用の施設の増設と農地のドーム化、それに製鉄所増設や建設で、

社員達は日々忙しくしておりますので。」

 「そうだよね、優秀な人材だって中々育たないしね。」

「御意、出来ましたら来年春以降に新事業を行って頂きたい程にございます。」


 来年には、育てた畜産が初めて出荷する、

その為、肉質の検証やら飼料の配合などを検証と研究を行う施設も

建設する事になっていた。


 「ガン無視でいいんじゃないの?」

「それでは、辞退という事で宜しいですね。」


 普通の建設企業なら、公共事業は美味しいらし、

予算的にも、世間への貢献度と広告を考えれば赤字でも構わない企業もあるそうだ、


 然し流人達には、なんの旨味も無かった。


 事業費が一般企業の3〜5倍は高い上に、宣伝をする必要もなかった。

抑々都内近県に、巨大なドーム型施設を20以上建設し、

群◯県には、巨大複合施設を短期間で建設しているので、

注目は十分浴びていた。


 その上、

毎週の様に、別館の会見用ホールから世界に向けて発表を繰り返しているので、

今更宣伝などしなくても十分だった。


 


 「何この防衛大臣からの書状って?」

「それは・・・」


 この国の民間企業が米国軍と合同訓練を定期的に行う事について、

この国の防衛大臣から我が国の自衛隊も参加する用意があると言って来たのだ!


 「嬉しいけど、用意があるって何?」

「さぁ〜・・・。」

 「大佐達の訓練ってどうなっているの?」


 アイアン・ブルに所属する職員は前線に出る部隊が3体制に別れる、

大佐が率いる人間部隊と魔族からなる僕部隊、

そして光の眷属達の部隊に分かれているが、

人間部隊だけでも3,000名を超えていた。


「部隊もランク別に分けて管理しておりますが、

大佐が率いる部隊は2チーム、共にAランクとさせて頂いております。」


 大佐には大きく分けて2種類の任務をお願いいている、

敵地への侵入と人質奪取、そして訓練の教官をお願いしていた。


 希望入社の新人達はまず、大佐の訓練を2年間勤め上げ、

それからランク適正試験を受けて実戦に投入する事になっており、

3,000の新人を訓練すると同時に、

僕達からは合同練習と言う名の訓練を受けていた。


 「米軍との合同訓練は?」

「毎月5日程行っておりますが・・・」

 「無駄?」

「いえ・・・相手には有意義でしょうが我々には・・・。」

 「なるほどね」

「それでも、

武器の使用や演習場を借りる事が出来ますので宜しいかと存じます。」


 「演習場かぁ〜・・・!! それだったら、」


 流人は国内でも自衛隊と合同訓練を行えば、

演習場や装備を借りる事が出来るのではっと考えたのだが・・・。


「弾、一発たりとも管理下に置かれておりますから、無理でございます。」

 

 自衛隊は演習時、実弾を数えて使用する、

そして空の薬莢を数えて合っているかも確認する。

 

 数が合わなかったら部隊全員で数時間演習場を捜索する、

それがたった一発で銃弾であってもだ!


 「血税だから分かるけど・・・無駄だよね?」

「無駄と申しますか、規律が古いですね、」


 とても公式には、合同訓練は不可能に思えた。



 「然し面白いよねこの国は♪」

「左様にございますね。」


 戦争アレルギーの国民達だが、

おもちゃの銃器や戦車などを精密に作り人気を得ている。


 「サバイバルゲームでしたっけ?」

「はい、ペイント弾やBB弾で撃ち合うお遊びでしたか?」

 「アレルギーがある割には憧れが強いのでしょうかね?」

「温室育ち故、夢を見ているのでしょう(笑)」


 子供達も楽しんでいるが、PCゲームは戦争系の種類が多く、

プレイ人数も年々増えている状況だと報告を受けていた。


「流人様、一つ宜しいでしょうか?」

 「どうしたの黒天?」


 前の世界では、武力が全てであった為、魔力が強い僕や、

戦闘能力に長けた僕達が絶対的存在だった、

その影に隠れて、支援系の僕、武器の製造や装備やアクセサリーなど

前線で活躍は出来ないが、

戦いを支える重要な僕達は正当な評価が受けられていなかった。


 この世界ではその支援系の僕達が活躍出来る為、

支援系の僕達の活動が活発だった。


 「精密機器と小型化?」

「はい・・・」

 

 一部の僕達が、小型化の技術に目醒め、精密機器の製造を嘆願して来たと言う。


 「おもちゃを作りたいのかな?」

「そう言う訳ではなさそうです。」


 詳しい思考を聞きたく、僕達を呼んで望みを聞くと一本のアニメを見せられた。


「流人様、このシーンにございます。」

 敵の飛行機から小型の殺戮兵器ロボットが次々と降下して来る!

迎撃しようにも的が小さく破壊できず次々と住民が小型ロボットに殺戮され、

街が壊滅状態になっていた。


 「これを作るの?」

「恐れながら申し上げます、 今は世界がステルスに夢中になっておりますが、

近い将来、世界の中心は、無人のロボットに変わると思います。」


 僕の言葉に、先程のアニメのワンシーンが、

この国の住民達が逃げ惑う風景に被っていた。


 「何処かが開発するって事ですか?」

「アニメと小馬鹿にしていれば宜しいでしょうが・・・」

 「君達と同じ考えを持つ者もいるって事ですね?」

「はい、少なくともこのアニメを作った人間は考えていたと思います。」

 「確かにそうだね・・・出来るの?」


 不安になった流人がその辺の事情を聞くと、

あからさまに軍事用に開発している企業は少ないが、

介護や補助としてパワードスーツやロボットを開発している企業が、

この国にも数十社あって、業界でもトップレベルと評価されていた。


 「我々も開発したほうがいいって事かな?」

「是非、その任を我等にお与え下さいませ! 流人様。」


 開発、研究、製造、整備などの支援系の僕達が流人に直訴など、

今までには無かった行為だったが、

流人達にない発想と、思考を流人は大切にしたかった。

 

 「どこかいい場所はありませんかね?」

「失礼ながら流人様、

この開発だけは僕達だけに任せては如何でございましょうか?」

 「人間は信用出来ませんか?」

「裏切りは考えておりませんが、魔族の思考を受けた人間がどう発想するか?」

 「良い方向だったらいいが、悪い方向だと・・・って事ですね?」

「はい。」


 流人達はこの世界のロボット技術的な物を既に持っている、

魔石と属性霊石でゴーレムを作れば、ロボット並みかそれ以上の働きをするだろう


 魔石と霊石を組み合わせPCに息吹を与えキットを創りあげた時のように、

想像を超えた産物が出来る可能性も高いが、悪意に使われる事を流人達は嫌った。


 「超小型動力は、私達には魔石や霊石がある為必要としませんが、

 敢えて開発しているのもいいかもしれませんね?」

「超小型でございますか?」

 「あのアニメの様に、小型化された武器は破壊が大変ですからね♪」

「発見も難しい、ステルス以上の兵器となり得ますな!」

 「そうだね、

 その世界の主導権を私達が掴んでおく事は重要かもしれませんね。」



 巨大ロボットの制作ではなく、極小ロボットの制作を考えていた流人達、

改めてアニメや漫画などから参考になりそうな思考を見つめ直していた。


 「こんな考え方で今まで漫画を読んだ事がなかったですよ!」

「儂らもじゃ!」

「然し、僕も面白い事に気付いたのぉ」

「誠よのぉ〜! 想像と夢の宝庫がアニメや漫画だからのぉ〜」


 太陽光を集めて高出力の兵器にしたり、

 小型兵器を自由に操り敵を破壊したり、

 映画などからはパルスレザーガンやレールガンなど、

流人達の想像を超えた発想だった。


「どれも実現可能な、開発中の兵器らしいが、小型化が進んでおらん様じゃな」

「特に、パルスや超電導などは、膨大な電力を必要とするからな」

「戦車や飛行機には搭載出来んだろう?」

 「やはり小型化が至難ですかね?」

「「「そうなってくるのぉ」」」


 僕達の発想がどの程度までこの世界で通用するのか?

流人達だけでは、とてもではないが想像の範囲が狭い事を自覚した。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ