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第十一話 まだ未成年でした。

 2000年問題とか、世紀末だとか、

巷では、色々騒ぎもあったが、深刻な問題や災害などなく新年を迎えた。


 年末に何故か、証券会社や銀行から面談の電話が鳴り続けていた為、

黒天と紅丸が対応に大忙しだったが、

年が替わると今度は早々に自宅への詣で詣りが始まり苦慮していた。


 「三賢者!又なにかしたでしょう?」

「失敬な!」「していない!」「っと思うぞ?」

 「おかしいよね?去年は電話が頻繁に鳴ってたし、年が替わった早々に、

 大勢の人が押し掛けて来るって変でしょう?」

「変ではない。」「電話は鳴る為に有るのだ!」「そうだぞ」

 「そうだけど如何して番号や住所が、バレているの?」

「それは・・・」「申請時に記入したから」「知って当然だ!」

 「って事は、三賢者が原因だよね?」

「流人は気にする事は無い!」「そうだ二人に任せておけ」「安心致せ!」

 

 三階の隠し部屋で隠れている流人、

下の階では、黒天と紅丸が来客の対応に忙しそうです。


 七日が過ぎて、来客もピタッと止まり静音が戻って来た。


 「ご苦労様です、黒天、紅丸。」

「「流人様の為でしたら灰に成ってもお仕え致します。」」

 「ありがとう、これ飲んでね。」

 流人が新年の挨拶に屠蘇を二人に注ぐ。

「「流人様御自身から頂けるとは、この上ない幸せ!」」

 「静かな生活が戻って来たね。」


 近所の高級日本料理店にお願いしてお節を作って頂き、

この国の正月と言う新年を祝う文化を味わう流人達です。

 「この国の成人は十五歳では無く二十歳なのですね?」

「そうじゃな、」「大人として扱われるのは二十歳からだ」「流人は今年だ!」

 「酒が飲めないのは予定外だったなぁ〜」

「我慢致せ、」「誕生日に成れば飲めるぞ!」「そうだ二十歳だからな」

 黒天と紅丸が美味しそうに日本酒を飲んでいるので羨ましい流人。


 「僕も29歳にすれば良かった。」

「それは問題だぞ!」「そうだな、」「色々問題だな」

 「なんでですか?」

「先日迄の来客騒動、覚えておるだろう」「「未成年だから逃げ遂せたのだ」」

 「そうなの?」黒天達を見つめると

「「はい、主人は未だ未成年ですのでとお断りを・・・。」」

 「そうなんだ! じゃぁ、今年は大変じゃん!」

「心配するな!」「大丈夫だ!」「直ぐに対策を打つ」

 「大丈夫かな?三賢者に任せて・・・。」


「流人様、この後は如何致しますか?」

「何か御用でも御座いましょうか?」

 「無いけど、どうしたの急に?」

「でしたら、外へ出てみませんか?」

「良きイベントが御座います。」

 「イベント?」

「はい、詣でに参った者達から聞いた話に御座います。」

「如何でしょうか?」

 考えている流人に三賢者が説く。

「又詣でに来る者がいるかもしれんぞ。」「皆で留守にせよ」「出掛けよう。」

 「そうですね、出掛けちゃえば良いんですね。」


 支度をして、一応厳重に結界を張り、交番に一声掛けて皆で出掛ける。

目的地はお台場にある大ホールだそうだが、電車より車の方が便利との考え、

近くのホテルまで歩いて行き其処からタクシーで向かう事にした。


「流人様、此処で少々お待ち下さい、」

「直ぐに車を拾って来ます。」

 黒天と紅丸が慌ててタクシーを探しに消えて流人は独りぼっちになった。


 ホテルからメガネを掛けた少女が独り出て来た!

「こんにちは!」 少女が元気よく挨拶して来た!

 「こんにちは、」 

 挨拶を返した流人に少女が近づく! その瞬間!

 何故か流人が少女に・・・!!


「どうして?」 

 「わからない、ただ・・・我慢出来なかった。」

「もう一度する?」

 「え!」

 再び唇が重なり合った・・・。   〇〇○〜!

「またね。」と言葉を残して少女が去って行く、

 如何やら母親に呼ばれていた様だ。


「お〜い」「流人〜!」「聞こえておるかぁ〜」

 「・・・」

「こら!」「確り致せ!」「流人!」

 「!! なに?」

「何では無い」「いきなり接吻など!」「一体誰なのだ?」

 「知らない・・・誰?」

「知らないって!」「知らぬ少女と接吻したのか?」「気は確かか?」

 「まるで魔法に掛けられた様だったが?」

「魔力は感じて無いぞ」「それに」「流人からしてたしな」

 「(ぼく)から?」

「そうじゃ!」「覚えておらんのか?」「二度したであろう?」

 「二度? なんで?」

「儂に分かるか!」「こっちが聞きたい」「全くだぁ〜!」

 「誰なんだろう?」

「知らん、すまん。」「慌てたから、」「調べ忘れた。」

 「またねって言ってた。」

「確かに」「それは我等も聞いたな」「逢えるのかな」


「「お待たせ致しました、流人様」」

 事情を知らない二人が、タクシーに乗って迎えに来た。

 乗り込む流人達が向かったお台場と言う場所では、

大勢の人混みが出来ていた。

 「何か祭りでもあるの?」

「祭りと言えば祭りで御座いましょうか?」

「オーディションが御座います。」

 「オーディション?」

「女子が審査を受けて選ばれる大会に御座います。」

「オーディションに御座います。」

 「人身売買の場?」

「ちっ違います。」

「女子自ら応募して来るのです。」

 「何で態々、来るの?」

 少し不快になる流人に、ちゃんと説明する二人

 テレビに出ている人間は、タレント事務所と言う会社に所属して、

演技や歌、漫才やバラエティーに出演する仕事をする。

 その職業に憧れて、事務所が主宰するオーディションに応募して来る子供達、

その中から、素質の有りそうな子供を事務所が受け入れる狭き門が、

今から此処で行われるそうです。

 

 「テレビや映画に出たいのかね?」

「普通の子供達は憧れているそうです。」

「夢の職業との事に御座います。」

 「ふ〜ん、それを見て如何するの?」

「才能溢れる子供を、」

「我々も受け入れては如何かと思いまして?」

 「他所の事務所が行っているイベントに割り込めって言うの?」

「否!」

「おこぼれを頂ければと?」

 応募した全員が事務所に入れる筈も無く、殆どが夢半ばで諦めるのが現実、

その中で違う才能が有る若者を向かい入れたいと二人が言う。

 

「我等は芸能の才は求めておりません。」

「左様、違う才に御座います。」

 「主催者とは被らないって事だけど、子供達の意志とも違うよね?」

「「確かに」」

 「まぁ〜どんな者か見てみましょう。」

「「御意。」」


 一般の入場は禁止して有り、特別なパスが無いと中へは入れないのだが

何故か二人はパスを持っていた。


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