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第百一話 良い事と悪い事では、どちらが先の方がいいでしょうか?

 久しぶりに本社の流人専用部屋で、色々指示を出す流人、

事業の幅を広げた事を悔やんでいた。


 元々はこの世界で流人自身が何か出来るのか?

 この世界の人達の為に何か出来ないか?


 魔法は使えないがポーションの製造だったら

密かに提供出来ないか?


 そんな軽い気持ちで事業にしたが、この世界の美への探究心と執念を

流人は甘く見ていた様だ・・・。


 「では、salon of sister'sの顧客中心に販路を開始して下さい。」

「国内販売より先で宜しいのでございますね?」


 顧客からアンケートを取って色々糧としているが、

その中でも強い要望が商品の開発だった!


 「髪用のシャンプーとトリートメント系?」

「現在サロンで使っている、

シャンプーとヘアートリートメントを販売して欲しいとの事です。」


 「そう言うのって、ヘアーサロンで購入するんじゃないの?」

「・・・効果が違うので是非との強い要望です。」

 「ボディーソープも同じ意見なのかな?」

「御意。」


 化粧品と同様に、ポーションを薄めて造った業務用製品、

ひょっとしたらっと言う思いはあったが、

こんな早く求められるとは思っていなかった。 


 髪にシャンプーとトリートメントに、身体にボディーソープとクリーム、

癒し系と快眠用のアロマオイルなどなど、

高級エステサロンに相応しく、

会員の皆様に最高のおもてなしをさせて頂いていたのだが、

目で確認出来る効果に会員達セレブが過剰な反応を示していた。


 「商品化は可能なのでしょうか?」

「それは可能にございます、

既に僕達も商品化へ向けて幾つか考案を出して来ております。」


 「僕が考案?」

「大それた事と思いますが、

下級魔族達に取っては、目に見える結果に高揚しておりまして・・・、」

 「戦闘能力以外の発揮場所ですか?」

「はい、咎めて意欲を下げても如何なものかと?」

 「褒める事はあっても咎める必要はないでしょう、頑張っているのですから!」

「我も同意にございます。」

 「折角やる気になっているんだから・・・商品化しましょう。」


 salon of sister'sで販売している商品は、

アリスの忠告に沿って価格を上げているのに購買量は国内販売量と大差なかった!


「妾達も賛成だぞ!」

 いきなり現れた、ティナ・サフィー・エメルの3人が現れた!


 「これはようこそ♪ 如何なされましたか?」

 流人が驚きながらも3人を歓迎していた。


「流人! 商品化の話を耳にしてな、早々に参ったのだが・・・」

「我々も商品化に賛成する!」

「賛成するどころか、さっさと造ってくれ!」

「「「頼む!流人!」」」


 危機感を感じる程3人から強い要望が来たが、流人は疑問に思った。

 「皆さんがお使いになられるんですか?」

「妾達に必要なかろう!」

「そうだ、これでも精霊神の頂きに立っておるのだぞ!」

「物に頼らなくても意思でなんとでもなる!」

 「確かに・・・ではどうして?」

 

 不思議に思う流人にティナが事情を説いた。

「眷属達がのぉ・・・爆ぜそうなのだ!」

 「??」


 セレブ達は個が強過ぎる、海外では当然なのだが自己顕示欲が強過ぎて、

対応している眷属達の疲労が計り知れない程になっていた!


「そのストレスの原因が商品化への要求なのだ!」

 「・・・あ!」


 流人はアリスの事を思い出していた!

 

 富裕層である自分達に買えない物はない、

そう思う顧客を宥める事の苦労を流人は想像した時冷や汗が出た!


 「理解出来ました・・・恐ろしい。」

「理解出来た様だな?」

「直ぐにでも商品化を致せ!」

「必要な物は妾達も協力するからな!」


 協力と言っても、用途に応じて調合して薄めるだけなので、

苦労はないのだが、訴訟大国だけ認可だけは頂きたかった。


「「「その様な事、直ぐにでも通させよう!」」」


 「それでしたら、大丈夫だよね紅丸?」

「問題はございません、 ただ・・・」

 紅丸が少し含みを持たせ焦らしていた!


「なんじゃ、赤の! なんなりと申せ!」

「そうだぞ! 眷属達の反発を抑える為じゃぁ」

「さっさと申さぬか!」


「商品化につきまして、容器が不足する恐れがございます。」

「確かにのぉ」

「流人様の商品は全て切り子と申しましてガラスで出来ております。」

「そうなのか、それで?」

「その資源の輸入を少々加速させて頂きたいのですが?」

「加速?」


 早い話が海運業を充実させたいと申し出た紅丸に対して、

「そんな事か!」「直ぐにでも認可を戴ける様に致そう!」っと

ゴードングループに運送業が加わった!


 「ウチで造ればよかったのでは?」

「手続きが大変にございますので、お願いしたほうが、

ティナ様、法的対策も勿論?」


「当たり前であるぞ!」

「海運事業は色々面倒が多いからな」

「いつでも必要な物資を運んで来れるぞ!」


「ア◯◯カには世界有数の石英の採掘場がございますので、

そこから運び入れましょう。」


「承知した。」

「100万tタンカー2隻分じゃぁ足りるであろう?」

「他にもいる物があるなら申せ!」


「出来ましたら、鉄鉱石もオーストラリアから運んで頂きたいのですが?」


「「「容易い事!」」」


 急いで横須賀の工業地に溶鉱炉と製鉄所、

それに切り子用のクリスタルガラスの工場も造る様に僕達に命じる。


 「これで眷属達の不満も解消されますかね?」

「そう願いたいぞ!」

「眷属が不満を溢すなどあり得ん事だったのだがな」

「現状を見てみたら納得したのだ、大分苦労を掛けていた様です!」

 「お優しいのですね♪♪」


「当たり前です、妾達は眷属がいてこそ、威張れるのですからね♪」

「そうであります、誰も居ない場で威張ってどうするのですか!」

「ドン引きですよね♪」


 上に立つ者達も大変な様です。



 ティナさん達が帰って行った後、流人達は次の案件に取り掛かっていた。


「新しい綿花で、生地の試作品が出来上がりました。」

 「早いですね?」

「異空間でも生産が可能でしたので、僕達に任せておりました。」

 「なるほど・・・」


 紅丸が取り出した生地は4種類、

1.厚手で兎に角、丈夫さを突き詰めた生地

2.シルクの様な光沢と滑らかさで薄い生地

3.通気性と吸水性、そして速乾性に特化した少し厚めの生地

4.通気性と保温性に特化した少し薄めの生地


 「羊毛の様な綿も出来たんですね♪」

「はい、如何でしょうか?」

 

 一枚一枚確認してゆく流人、

 「この2と3を合わせる事は可能でしょうか?」

「可能にございます。今回は綿の特徴を分かり易く記事に致しましたが、

其々を合わせる事も出来ます。」


 「では、2と3を合わせ新しいタオルを作ってください。」

「タオルの一新でございますか?」

 「新しいシリーズとして売り出したいと思います。」

「なるほど、承知いたしました。」


 「それと1と3、1と4のデニム生地を作って、

 洋服の生地にしたいと思います。」

「2は必要ございませんか?」

 「パーティードレスには使えると思う今は浮かびません。」


「それでは生産量を調整致しましょうか?」

 「いや同じ様に生産して下さい、マフラーやストールに使えるでしょう?」

「承知致しました。」


 望んだ物とは言っても、詳細に望んだ訳ではないので、

現物を見て、職人の仕事が丁寧に行われているのが分かった。


 「かなり高額になりそうですね?」

「生産量が多いので、軌道に乗って安定すれば価格も変わりましょう。」


 安価で一般向けな商品には難しい様だが、流人は納得していた。



 次の報告は少しだけ不快な事だった。

 「銃器の製造ですか?」

「勿論この国では違法になりますのでア◯◯カで生産する予定にございます。」


 早くも、グアムでの訓練で培った経験を反映したいと、

狙撃銃と短銃と自動小銃のカスタマイズを申し出て来ていた。


 「私達が造った武器で一般市民が犠牲になる事は避けたいのですが?」

「承知しております、

最初は我が社のシークレットサービス用に、考えております。」


 いきなり生産は無理なので、市販の銃器をカスタマイズして、

アメリカにある我が社の警備員達に所持させたいと願い出ていた。


 「その社員は人間ですか?」

「全員僕達にございます。」

 「・・・それなら了承しましょう、呉々も・・・お願いしますね?」

「一切承知しております。」


 流人は敢えて言葉にしないで紅丸に確認をとった。

今後は、銃器の所持が安全に繋がると流人も思っていたからだ。


 「最後のこれは?」

「はい、以前流人様が公言しておりますので、」

 

 秋の鎮魂祭と題した花火大会の書類だった!

 「群◯で行うの?」

「地域住民との親睦も兼ねておりますので、既に許可は頂いております。」


 長月のお彼岸に、御霊の鎮魂行う為に花火大会を開催する許可を、

県の行政と地元の住人達から頂いていた。


 「ベイビーモスとのコラボ?」

「はい、和楽器の演奏に合わせて花火を上げる予定にございます。」

 「楽しそうだね♪」

「それはもう、メンバー達も張り切っておりましたから♪」


 「2万発以上・・・以上?」

「僕達次第にございますが、頑張っております。」

 「僕達が作っているの?危なくない?」

「ご安心下さい、必要となる資格は皆所持している物達ばかりにございます。」


 花火師になるのに資格はいらない、ただ、

色々な資格を所持していないと花火などの火薬を扱う事ができないそうです。


 火薬類取扱保安責任者と、煙火消費保安手帳の2つが必要だった。


 合格率30%前後の火薬類取扱保安責任者の国家資格だが、

同じ国家資格である火薬類製造保安責任者の資格を持っていれば無条件で

取得できる為、解体事業などで必要としていた僕達が所持していた。


 そして問題の煙火消費保安手帳だが、花火師だけしか受講出来ない為、

我々には受講出来ないのだが・・・そこは魔法(みりょう)で受けさせて頂いた。


 「凄いね♪」

「我も僕達の器用さに驚いております。」


  武器の製造で不快だった流人が、花火の事で夢中になっていた。


 「花火大会の日、台風って事はないよね?」

「流石にそれは・・・」


 台風11号が上陸している大雨の中のお話でした。



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