第一話 異世界に召喚される。
はしめまして、最初に申し上げたい事が御座います、
この作品は、あくまで地球に似た異世界のお話です。
登場人物や企業、商品名に似ている物が多々あると思いますが、
あくまで別世界のお話なので、暖かい心で、お楽しみ下さい。
199Ⅹ年7月、
この世界の住民は、伝説の予言者の予言に湧き立っていた。
一部の民衆が、予言の書文が実現する様、
集団で天に祈りを捧げていた。
「我等は神聖な信徒にございます、どうか我等だけはお救いくださいますよう。」
「世界が滅んでも私達だけはお救いください。」
「神様ぁ〜」
大気が乱れて、プラズマが火花になって飛び散る、
爆ぜる光が周囲を異常と思わせてゆく。
「わ!なんだ?」
「危ないぞ!」「危険だ!逃げろ〜」
祈りに集っていた民衆が、蜘蛛の子を散らす様に去って行く。
火花が集合して少し大きく爆ぜた瞬間・・・一人の中年の男が現れた!
「如何やら召喚された様ですね?」
薄汚れた灰色のローブを纏ったおっさんが周囲を確認しながら、
身体の異常を確かめていた。
「おかしいですね、召喚されたはずですが、呼び主が居りませんね?」
地面には、爆ぜて分からなくなった模様の様な絵文字が書いてあったが、
魔力は感じず、周囲にも召喚の儀が行える魔導師や召喚師の姿が見えなかった。
「儂を呼んだのは誰でしょうか?」
少し大きめの声で周囲に問うが誰の返しも無かった。
「困りましたね、呼んだ者以外、元の世界には、戻せないのですよ。」
周囲を確認しながら少し歩き始めたが直ぐに足が止まった!
「何ですか!あの建物は?!」
木々の隙間から見える、木々より高い建物を見つけて男は驚いていた!
「巨人でも居るのでしょうか? それにしては細長い建物ですね?」
・・・。
数分、周囲を歩き回り男は疲れ座り込んでいた。
「私が居た世界とは、全くの別世界で驚く物ばがり、少々疲れました。」
馬がいないのに猛スピードで走る馬車に、人々の多さと着ている服装!
短剣すら持っていないうえ、魔力も感じられない。
「余程治安が良いのでしょうか?」
男は懐より果実水の入った水袋を取り出し口にした。
一息ついて、落ち着いた男。
周囲の人達と明らかに違う自身の姿に警戒して、何処か隠れる場所を探す。
「狭いですが空は夜、それなのにこの人混みは?
祭りでも有るのでしょうか?」
地上は人声や馬車の音で騒がしいので空を見上げ飛ぶ!
[魔法・飛翔] :中級魔法、
体内の魔力をコントロールして集中すると空が飛べる。
熟練者なら無詠唱で発動可能。
高層ビルの上空へ向かい屋上に舞い降りる。
「此処なら静かで考慮出来ますね。」
屋上から地上を眺めると、建物の間を流れる様な光の川が見えた!
「あれは、先程の馬車の群れでしょうか?
どれだけの者達が、馬車に乗っているでしょう?」
「警告! 警戒者が接近中!」
「大変ですね、迷彩と認識阻害を・・・」
[魔法・迷彩] :初級魔法、
魔力で周囲の視覚能力を低下させる。
熟練者なら無詠唱で発動可能。
[魔法・認識阻害] :中級魔法、
体内の魔力をコントロールして周囲の視覚を阻害する。
熟練者なら無詠唱で発動可能。
「おい、本当に不審者が居たのか?」
「あ〜モニターに一人映ってた、間違いない。」
「だが扉には、鍵が掛かっているぞ、中に取り残されたのかな?」
屋上の扉を開けて二人の警備員が入って来た。
「誰かいますか?」
「おい、ドロボーだったら如何するんだよ!」
「馬鹿!それで逃げてくれたら儲けもんだろ!」
「確かに、・・・誰かいますかぁ?」
警備員の二人が、周囲をライトで照らしながら確認する。
「モニターに映っていたのは、あの防犯カメラだよな?」
「こちら屋上、確認に来ましたが不審者は見つかりません。」
無線機で確認する警備員と周囲を照らしながら探索する警備員に、
「確認出来ない様だったら、確り施錠して戻るように。」
「了解しました、お〜い戻るぞ!」
「了解、周囲異常無しです。」
「分かった、何だったんだ?」
「分かんない、まさか!・・・。」
「おい!やめてくれ!俺、そっち系統は苦手なんだから」
「夜間の警備あるあるでしょう?」
「早く警備室に戻るぞ!」
扉が閉まり鍵が掛かる音した。
「とっさに逃げてしまいましたが、不審者とは儂の事だった様だな。」
警備員がライトで照らしていた防犯カメラをゆっくりと眺める。
「此奴に見られていたのか?、魔道具の様だが、魔力を感じ無いのぉ?」
「ヒィ〜!」 建物の下の階層から悲鳴が!
「また見つかったか!? 逃げるとしましょう!」
「あのカメラと言う魔道具は少々厄介だなぁ、気をつけなと。」
男は再び上空に飛んで、何処か次に休めそうな場所を探す。
しばらく上空を移動すると良さそうな場所が見つかった。
「図書館!!♪」
[魔法・索敵] :初級魔法、
周囲警戒・捜査・探索が可能な便利魔法の一つ。
能力と熟練度で精度が変わる。
「なるほど、此処にも警備員がいる様だが就寝中のようだな。」
[魔法・不可視化] :中級魔法、
体内の魔力をコントロールし透明にする魔法。
迷彩の上位魔法で難易度が高い。
「やはり扉は閉まっておるな、あのカメラも有りそうだしなぁ、
それなら、違う場所から・・・」
男は壁を触りながら周囲を確認して!
「ゲート!」
[魔法・空間移動門 :超上級魔法、
場所と場所をイメージして亜空間で繋ぎ移動出来る門。
空間認識と、認識能力が高くなくては発動出来ない上級魔法の一つ。
能力と熟練度で移動距離が異なる。
「素晴らしい! これ全てが書物ですか?」
壁から中に入った男は、大量の本を見て喜びを隠せないでいた♪
「流石の儂でも短時間で全てを読み尽くす事は無理であるなぁ、
代わりを頼みますよ三賢者!」 了解!
「特殊契約・三賢者] :希少固有精霊賢者
特殊な契約を結び、体内を寄生木として棲む希少精霊体
精霊のまま進化せず、知識を重ねた三体の精霊が賢者の称号を同時期に所有
三体の賢者精霊が一つの寄生木として男の脳に棲む。
男は周囲を警戒しながら身体を隠して眠りについた。