3。8歳の誕生日パーティーにて
さて。満8歳になったということで、私こと侯爵令嬢ユリアーナの誕生日パーティーが開かれることになったのだが。だが。
めんどい。
普通は満6歳から社交の場への同席は許されるものの、大きな誕生日パーティーを開くのは偉い貴族の当主くらい。
娘の誕生日パーティーは社交界にデビューする13歳くらいの娘の顔見せと婿捜しの布石。
つまり、私が主役になるのはまだ早いんだけど、家の都合だから仕方ない。
仮病を使っても、『翌週に繰り越されますよ。永遠に』と執事のセバスチャンが言ってた。
無限に追いかけられるらしい。何それ怖い。
てか、前例がいたらしい。お母様ってば。
で、赤毛に合わせた白と濃いめのピンクのひらひらドレスを着せられて、様々な貴族にお祝いの言葉を頂く私が居た。
あー、疲れたなー。
昔からじっとしてるのは苦手だったけど、にこにこ笑って定型文を吐くだけなら、機械に任せればいいと思う。
よし、大人になったら影武者を探そう。
「さて、主役が席を外すにはまだ早すぎる時間ではありますが、我が娘ユリアーナはまだ8歳。後で終宴の挨拶に伺わせますので、無礼をお許しください。では、皆様。暫しご歓談を」
と、半分意識が飛んでた頃に、お父様の良く通る声で現実に戻ってきた。わーい、休憩タイムだ-!
スキップしそうになるのを抑えて会場から出ようとしたら、お父様にさりげなく引き止められた。