②ミリアドの復讐者
笑顔を咲かせる人々。様々な文化が集まり交流盛んな光の街。
ここはミリアド。10のエリアで割られた、人間最大の国─「ミリアド王国」だ。
「はっ はっ はぁ……」
少年は走る。自分の住んでいる「ミリアドエリア8」から、今は「ミリアドエリア1」に来ている。そして、「彼女達」が待っているあそこへ行くために……。
「おい! ここから先は立ち入りを禁じている! 何をしにここへ来た!」
少年が自分の目的地としていた建物の中へ入ろうとすると、すぐにそこにいた「門番」に止められた。
「なにするんだよ!」
「ここはミリアド城だ!! お前みたいな子供が来るところじゃない!」
門番の言うことは正しかった。ここはミリアド王国の要にして最高権威。ミリアド城だ。
子供が嬉々として容易に入れるところでないことは誰でもわかる。
「オレは『マナ』に会いに来たんだ! あと、あのウザったい『占い師』の奴にも……!」
「貴様……姫の名を軽々しく口に出すなっ!」
門番はとうとう少年に手を出そうとする。言っても聞かない子供に折檻をするように。
周りの人々も巻き込まれないようにと見て見ぬ振りをしていたが……これには小さな悲鳴が口から漏れる。
「やめてくださいっ!!」
そこに1つの大きな……というより女性特有の高い声が。
その声には門番の手が止まる。止まらざるをえなかった。
なにしろその声は……彼らが仕える者にしてこのミリアド王国の姫─「マナ・クーリア」に違いなかったからだ。
「姫様!? どうしてこのようなところにまで……」
「彼は私の友人です。そろそろ来る頃だと思い、出迎えようとしていたのです」
「そ、それは……申し訳ございません! まさか姫のご友人の方とは知らず……」
門番はすぐに引き下がった。もう少しで姫の友人を傷つけようとしていたと考えると冷や汗が止まらなかった。
「いえ。事前に伝えていなかった私が悪いのです。いつもお仕事頑張ってくださってありがとうございます」
マナは門番に笑顔を向ける。そのおかげか、門番も少しは安心することができた。
「では行きましょうか…………『ハゼル』」
「! うんっ!」
手を取り合って、城の中へと入っていく。
少年の名はハゼル・ジークレイン。これは13歳の頃の……大切な物を失う前の記憶である。
「マナ。今日はエリア8で出たでっかい蛇の魔物の話をしてあげるよ」
ハゼルはマナと共に彼女の広い私室へ入ると、早速いつも2人になった時にする自分の身近で起こった面白い出来事を話そうとする。
これがハゼルとマナの「遊び」でもあった。
ハゼルの父は「王国騎士」と呼ばれる、ミリアド城を守護する……エリア1にいる異能者の精鋭の1人だった。
そんな付き合いからか幼き頃から城の中へ入ったことのあるハゼルは、同じく歳の近いマナと幼馴染である。マナが忙しくない日はいつもこうして自分のエリア8での出来事を話していたのだ。
「でさ! その蛇をユーゴが手刀で真っ二つにぶった斬ってさ! やっぱハンターってすげぇってなって……」
「ふふっ それはすごいですね」
といってもハゼルが話すのはほとんどがハンターがあの魔物を倒したという話ばかり。これはハゼルがハンターを志しているからである。
「ハンターといえば……ハゼルはもう『天使の儀』は受けました?」
『天使の儀』……それは魔人が知らない、人間達が異能を授かる儀式のこと。
10歳を超えた者にその資格が与えられ、「神水」と呼ばれる液体を入れた杯を飲み、神に祈ることで自らの深層心理にある「望み」や、人間としての「器」や「運命」を、『力』へと形作ってもらう。
そこで神からのお告げが聞こえてくれば無事合格となり、その使いである天使から「異能」が授けられる。
俄かには信じがたい話だが……実際に儀式を受けた者は皆、これをバカにしない。
遥か昔からその儀式のことはそう言い伝えられており、その『神水』は天に祈りを捧げることで神へと捧げた水が「異能を獲得することができる神秘の水」に変質するとのこと。これも信じられないが……どうやら本当らしい。
「いいや、まだ受けてない。もっと修行して強くなってから受けるんだ。めっちゃ強くなったオレを神様に見てもらってすっげぇ強い異能をもらうんだ! 俺が欲しいのは……『皆を守れるような異能』だからなっ!」
その時の「実力」と「獲得する異能」はあまり関係ないのだが……願掛けのようなものだろう。
なにしろこの異能獲得の儀はたった1回しか許されていない。しかも不合格となれば手に入らないこともあるのだ。そうなれば少しでも強くなってから……と考えるのも無理ない。
「そうですか。頑張ってくださいねハゼル」
マナはそれを応援するが……
「どうせざっこい異能渡されて終わりよ。無理無理」
そこにハゼルの機嫌を逆撫でする声が。
その声の主とは……
「なんだと…………ベルベット!!」
マナと同じ歳くらいの可憐な少女にして王国の「占い師」という立場にある……ベルベット・ローゼンファリス。彼女がいつの間にか部屋の扉の前に立ってハゼルの話を聞いていた。
ハゼルほどの長い付き合いではないが、ベルベットもまたマナの数少ない友人だ。女性である分、もしかすればハゼルよりも付き合いやすい部分もあるかもしれない。その証拠にハゼルとは違って毎日一緒にいるらしい……。
ハゼルにとってはそれが少しだけ気に入らないというのもある。
「見てろよ……! すげぇ異能手に入れてお前を驚かせてやるからな!!」
「はいはい」
ハゼルは部屋を飛び出していった。ベルベットにこう言われては遊んでいられない。すぐさま修行だ。
「もう、ベルベット。そんな言い方しなくていいじゃない」
「戦うことを何にも知らない奴が『力』を手にすることにワクワクしてるなんて腹立つのよ。…………戦いなんて良いものでもないのに」
マナはベルベットの顔を見て何かを察する。
マナとベルベットの出会いは突然だった。ボロボロに傷ついてミリアド王国付近の森に倒れていたベルベットをマナが拾ったのだ。
その状況からして、何かの戦いの後だったとわかる。恐らくは「戦争」。直近の戦いから考えて……例えば、『第三次種族戦争』。
そんなベルベットを放っておけず、「占い師」としてミリアド王国に匿っているのだ。
幸い、ベルベットは国の未来を占うといったことを行えるというのがこの設定に行き着いた理由にもなるのだが。……といっても当たったり外れたりであるが。
「戦いが無くなればいいのにね……」
「無くならないわよ。ああやって力を求める者がいる限り」
「そう? 私は……そうは思わないけれど」
マナは今はここにいないハゼルの姿を思い浮かべる。
「力にもきっと色んなものがあると思うの。誰かを救おうとする力……そんな力なら、あっても良いと思わない?」
「そんなもの、あればいいけど」
「あるわよ。少なくとも私は1つ知ってる。それは……『勇気』」
その答えにベルベットは疑問を隠さない。難しそうな顔をしてマナの答えに続きを求める。
マナもそれに気づいて、
「どんなに弱くたって、大切な物のために立ち上がる。どんなに恐怖を抱えても、誰かを救うために逆境へと歩を進められる。そんな力。誰もが最初から持っていて、誰もが成長と共に簡単に忘れたり失ったりしている力。魔人が使うっていう『魔法』や私達が使う『異能』なんかより素晴らしくて、強い力よ」
「そんなヒーローみたいな奴いるわけないでしょ」
「ベルベットもこれから先に出会うわよ。そんな人に」
─きっといつか。そんな「ヒーロー」に。
ベルベットは話半分で聞いていたが、マナはそんな様子の彼女にクスっと笑っていた。
♦
~エリア8~
「おいユーゴ! 修行つけてくれ!」
ハゼルが向かった先は自分の住む街「ミリアドエリア8」。主に研究に関して盛んなエリアだ。至る所に様々な分野の研究機関が設置されている。科学都市……そんな言葉が当てはまる場所。
「まーたかよ。ガキは家帰って寝てろ」
ハゼルが会いに行った人物は20代後半ほどの男。名は「ユーゴ」。
髭を残していたりするせいで歳よりも大人っぽい印象を持つこの男はこのエリア8のリーダー。つまり一番強いハンターだ。
異能は『剣士の体現者』。手足を剣のような性能に変質させ、刃物を使わずに……例えば手刀や蹴りだけで「物体を切断することができる異能」だ。
一見弱い異能に見えるが使ってみれば便利な異能である。武器を携帯する必要もない上に、武器以上のスピードを誇る「拳」で殺傷能力を秘めることができる。戦闘を行う者ほどこの真価に気づく。
「ベルベットを見返すためにオレは強い異能が欲しいんだよ! ユーゴみたいなしょっぼい異能じゃなくて超すげぇ奴を!」
「テメェ喧嘩売ってんのか……?」
ハゼルのあまりの物言いにユーゴも笑みが引きつく。子供の言うことだからと怒りはしないが。
「はぁ……なんで俺はこんなガキの相手しなきゃならんのかね~。娘はエリア6の全寮制の学校とやらに行っちまって会えねえし……あっちで男なんか作ってたら俺は……」
「どうせ今頃男と遊んでばっかじゃねーの」
「テメェコラー!」
「いてぇー!!!!」
ハゼルのさすがの物言いにユーゴはとうとうキレる。頭をホールドし、締め上げる。
子煩悩であるこの男のキレるラインを忘れていた。非常に大人げないが自分も言い過ぎたかもしれない。
「あのなぁ。別に修行したって手に入る異能は変わんねーんだよ。そいつ自身の『運命』。これが全てだ。生まれた瞬間から決まってんだよ。さっさと『天使の儀』を受けりゃいーだろ」
「うるせぇ!」
「おぶっ!」
ハゼルはユーゴの腹に体当たりだけして、そこから去っていく。
ユーゴも自分の味方にはなってくれない。こうなれば自分だけで修行するしかない。
「やれやれ……。これだから娘以外のガキは嫌いなんだ。ベルベットを見返してやりたいだって? そりゃつまり、自分にとって一番に見てもらいてぇ奴ってことじゃねーのか……?」
去っていくハゼルの背中に向けてユーゴは呟く。
それは届かない言葉。少年が理解するにはまだ早い言葉。けれど、一番の核心を突いているかもしれない言葉だ。
そして時は経つ。あの事件へと……。
♦
~数年後~
「ミリアド城に何者かの襲撃だ!! 姫様達がまだ中にいる! 救出を急げー!!」
ハゼルが15歳の頃。突如としてミリアド城が火に包まれた。魔人の襲撃があったのだ。
その時のハゼルは自室で修行をしていた。まだ「異能」という戦う力を持ってはいなかったが、体が動くまでの時間は数秒となかった。
「マナ…………ベルベット!!」
城にいるはずの2人の少女。その2人を助けるために。
中には魔人がいるかもしれない。けれど、自分に力はない。それでも「勇気」を振り絞って。
ハゼルは城へと急いだ。
♦
「マナー! ベルベットー!! いたら返事をしてくれー!」
業火の中を進行する。大きく燃える炎の息は肌を焼き、視界を蝕み、喉を貫く。
声は絶やせない。助けに来たのだと伝えなければいけないからだ。
(ベルベット……まだオレの異能を見せてないんだぞ。こんなところでくたばる奴じゃないだろお前は……)
あの憎たらしい口を叩く少女ならきっと生きている。そしてマナを見捨てずに共にどこかで救出を待っている。そう信じていた。
「いたぞー! 姫様だ!!」
その声はハゼルにとっても救いの物だった。早く彼女達の安否を知りたい。マナは。ベルベットは。大丈夫なのか?
助けに来たと言っても、本当は自分の目で最も早くそれを知りたかったからなのかもしれない。
「マナ! ベルベット!」
ハゼルは急いだ。そこで見た景色は……
「あ……」
絶望だった。
胸─心臓部から大きく血を吐き出しているマナを抱きかかえてこちらを見るベルベット。その手には「杖」が握られている。
老人が杖を持つならその意味を考える必要などないが……少女がそれを持つとなると意味が変わってくる。それも、こんな時にそんな物を持っているとなれば。
「ベ…………ルベ……ット。どういう………それ……え……?」
「ハゼル? お願い助けて! これは─」
ベルベットが何か言う前に、ハゼルの背後に控えていた騎士やハンター達は叫んだ。
「ベルベット!! これは……貴様の仕業だな!」
その声が、湖面に石を投げ打つがごとく、自分の中に波紋を作る。
答えが誘導されるように、ピタリとはまる。
「違う!! これは私がやったことじゃない!」
「じゃあその杖はなんだ!! 貴様、『魔人』だろう!!」
「…………ッ!!」
ベルベットは否定しない。まるで、「しまった」という顔をしている。
「おい……ベルベット。どういうことなんだよ……なんでマナが……お前……なんで……」
「ハゼル……私は……」
せめて。その少女から聞きたかった。本当のことを。
そして助けを求めてくれれば、きっと自分は助けようとする。
「私を信じて」って言ってくれれば、ハンターや騎士達に向かって「あいつを信じてやってくれ!」と言う。
だから……自分の口で言ってくれ……「私を信じてくれ」って……そうすれば……オレは…………
「ごめんなさい……」
ベルベットはすぐにその場を去った。ハンター達から逃げる……魔人のように。
「おい…………おい!!!!! なんだよ『ごめん』って……! なんで逃げるんだよ!! 逃げるな!!!! 逃げるなよ!!!! ベルベットおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。今まで信じてきたものを非難するように。
涙を流し、ただ叫ぶ。自分から離れていく卑怯な者を罵倒するように。
今までのあの温かな日々は、マナに向けていた笑顔は、全部全部、嘘だったのか、と。
その時、ハゼルのすぐ近くにあった柱が倒れてきた。悲劇に次ぐ悲劇。助ける対象がいなくなった自分にその命すら奪おうという不幸。
それを、どこからともなく現れたユーゴが阻んだ。
「ボーっとしてんじゃねえ!」
倒れてきた燃え盛る柱に手を向けると、急に柱が破裂した!!
ユーゴの異能はこんな能力ではなかったはず。しかし、今のハゼルにそんなことはどうでもよかった。
「殺す……殺す……ふざけんな…………あいつは……あいつだけは…………絶対にオレの手で……」
そこには、1人の復讐鬼がいた。
♦
事件が収まると、ハゼルはすぐに「天使の儀」を受けた。
もう修行なんてどうでもいい。強い異能なんてどうでもいい。皆を守れる異能なんてどうでもいい。
「天使の儀」はどこでも行えるというわけではない。
エリア1に設置された「天使教会」と呼ばれる、人間に「異能」を与えて救ってくれた神とその使いである天使を信仰する団体の本部に位置する建物の中でのみ行われる。
信者の1人がハゼルの前に杯を置いた。
「ハゼル・ジークレイン。その『神水』を飲み、今こそ己が器を神へと差し出せ!」
ハゼルは用意された杯に入っていた液体を飲み干し……目を瞑り祈る。神への対話へと耳を傾ける。
そこで、なんと不思議なことか。「声」が頭に響くように聞こえてきた。
─ハゼル・ジークレイン。貴方は……何を望みますか? どうか、私に聞かせてほしい。
ハゼルは少しの驚きを持つが……すぐにこれが「神の声」だと認識すると己の望みを伝える。
(オレに異能を寄越せ。どんな異能でもいい。他人から笑われる異能でも構わない。オレが欲しいのは……)
そう。ハゼルが欲しいのは、
『皆を守れる異能だっ!』
「ベルベットを殺せる異能だっ!!!!」
それを聞いたいつかの過去の自分は泣いている。
『強い異能が欲しいんじゃなかったの?』
『誰かに見せたかったんじゃなかったの?』
『その異能で、大切な誰かを守りたかったんじゃなかったの?』
黙れ。オレは……「復讐者」だ。
誰かに見せたかっただと? そんなこと、もう思い出せない。見せる、誰かなんて。もう……。
大切な誰かを守りたかっただと? そんな者もういない。全てを失った、オレには。
─貴方は、争いを望むのですか?
(争い? 違う。これは『復讐』だ!! オレを騙し、オレの大切な物を全てを奪っていった奴を……殺す。それだけだ……!)
─貴方の「望み」。「器」。そして……この先に待つ「運命」。全てを見通しました。良いでしょう。ハゼル・ジークレイン。貴方に、『異能』を授けましょう……。
─「人間」の子よ。私は与えることしかできません。どうか、貴方に幸せな未来が訪れますように……。
ハゼルは目を開けた。それと同時に、自分の中にある「力」を掴んだ!
今、手に入れたはずなのに生まれた瞬間から知っていたような感覚。何とも不思議な感覚だ。
そこで自らの『異能』の効果を知る。
「くく……ふはは、ははははははははははははははははははははははははは!!!!!!! これなら……殺せる!! この異能なら……!!」
その効果にハゼルは笑いが止まらない。なぜなら……ベルベットを殺すのにこれほど適した異能はないからだ。
「待っていろ……今度はオレがお前の全てを奪ってやる……!」
♦
そこで、ハゼルは目覚めた。
「む……夢か。懐かしい夢だな……」
目の端に滲む涙を拭い、過去の映像を頭の中で反復させる。今でもそれは鮮明に思い出せる。……「呪い」のように
「どうした? 随分とうなされていたぞ」
そこに現れたのは銀色の髪に空色の目を持つ少年。マジックトリガーの回収を頼んでいる、自分の協力者にある─「ゼオン・イグナティス」だ。
ここは自分の部屋だ。どうしてゼオンが自室に入って来たか。その理由は簡単だ。回収したマジックトリガーを届けに来たのだろう。
ゼオンは自室にある机の上に回収した赤、黄、緑のマジックトリガーを置いた。
「夢を見ていた。……とても良い夢だった」
「うなされていたのにか?」
「ああ。……おかげであの時の憎しみを忘れられないで済むからな……!」
ハゼルは拳を強く握りしめた。
あれから色んなことがあった。
エリア8のリーダーであったユーゴはその数年後に突如として失踪した。理由はわからず、誰に告げもせず。
そうして次のリーダーを決めることになったが……候補者に自分が入っていた。父が「王国騎士」だったこともあり家柄も十分とのことだろう。
あとは……実力。実力が未判明な自分はどうも周りの声が強く反発を見せた。
それらは自らの異能を使って、魔人の首を5つほど差し出せばすぐに黙った。
そしてただ1つ。「オレはベルベットを殺す」。それだけ言えばミリアドの民は歓喜に打ち震えた。
今はエリア8にある全ての研究機関を任され、そこのある1つの魔人に関する研究所と手を組んで、とある計画を進めてもいる。……マジックトリガーはその計画の礎だ。
全てはベルベットを殺すため。奴の全てを奪うため。
「まずはアスト・ローゼン……お前を壊してやる。この手でな」




