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ヘクセンナハトの魔王  作者: 四季雅
第0章 魔法が苦手な魔法使い編
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69話 さぁ行こう、ウィザーズ・ランドへ!


 土曜日になり僕達はウィザーズ・ランドに遊びに出かけた。

 メンバーは僕、ガイト、カナリア、ライハ、ミルフィア、カルナ……


 と、


「あの……なんでキリールさんもここに?」


「いけませんか?」


 それぞれ私服に着替えた僕達+いつものメイド姿ではなく黒のブラウスに花柄のスカートを身に付けたキリールさんがそこにはいた。


「ベルベットのことを見てなくていいんですか?」


「あの方はアンリー様にお願いしてあります。それにアストさんはどうも……内緒事が多いようですので」


 キリールさんはチラリとカルナを見る。

 うっ……吸血鬼の件がバレてる。アンリーさんに聞いたんだな。学院には黙っておくって言ってたけどキリールさんには言うのか。


「ミルフィアにも報告は絶対だと言ったはずですがこの有様なので今回は私も同行します。別に邪魔をするつもりはありません。一緒に遊ぶ人が増えたと思ってくれればいいですよ」


 ミルフィアは視線を泳がせて気まずそうだ。それに対してカナリアやライハはむしろ嬉しいと喜んでいる。ガイトも「別に構わねえよ」と気にしてない。カルナはちょっと怖がっているが。


「なんだかメイド服じゃないキリールさんって新鮮ですね。館ではメイド服しか見てなかったので……」


 キリールさんの服はメイド服しかないんじゃないかと疑うくらいに今までメイド服しか見てなかった。どこに行くにもメイド服だったり部屋の中ではずっとメイド服だったし。さすがに寝る時はメイド服じゃなかっただろうけどそんなところ僕が見ているわけがない。


「遊びに行くのにメイド服では目立ってしまうと判断してのことです。お気に召しませんでしたか?」


「いえいえそんな! すごく似合ってますよ。綺麗です」


「ありがとうございます」


 キリールさんは口角がほんの少し上がるくらいの微笑みを見せる。普段はライハくらい表情の変化が乏しい人だからドキッとしてしまった。僕なんかでも褒められると嬉しいのだろうか……。


 と、そこで僕に向けられた3つの視線があることに気づいた。相手はカナリアとライハとミルフィア。

 どういうことかは察している。


「えっと……皆も似合ってるよ」


 カナリアやライハは休日に私服を見たこともあって目新しさはなかったがキリールさん同様いつもメイド服だったミルフィアが緑のキャミソールドレスをつけていたのは初めて見たから可愛いなと思った。


「ふんっ……」


「嬉しい……」


「わーい!」


 皆喜んで何より……ははは。


「ガイトのも褒めた方がいい?」


「は?」


「ごめん。冗談」


「急にそんなボケを飛ばすなよ……ビビるだろ」


 この流れでギャグを挟んでみたがガイト本人はギョッとしていた。なんか変なことを疑われている気がする。


「カルナも似合ってるよ」


 カルナもミルフィアとは色違いの白のキャミソールドレスを着ていた。非常に可愛い。


「ありがとう……」


 モジモジとしていたがニコッと笑ってくれたので良かった。


 ようやくランド内に入れる。男女比率2:5の偏りまくりパーティなのが少々気になってしまうがそんなこと今更だしちょっと前なら僕は女子としか会話してない奴だったのでなんの問題もない。ガイトがいてよかったー!


 入場するとさっそく何かのアトラクションに乗ろうという話になった。


「最初はどうする?」


「最初はやっぱあれじゃねえか?」


 そう言ってガイトが指さしたのは……ジェットコースターだった。

 ジェットコースターといっても人間が遊ぶそれとは若干異なる。人間の物はレールの上をひたすら走るのだが、魔法使いの物は途中からレールを外れて魔法の力で空を自由に飛び回るのだ。


「カルナも乗れるのがいいよね」


「そうか……それだったら、あれとかいいんじゃねえか?」


 次にガイトが選んだのは……ウォーターライド。

 乗り物で水の上を移動しながら遊ぶアトラクションである。途中に色んなギミックや急流などの要素があって楽しさはジェットコースターと比べても申し分ない。


「皆もあれでいい?」


 僕が聞くと皆は頷いてくれる。よし、あれで決まりだな。


 3人席ずつの乗り物なので、

 僕、カルナ、ミルフィア。ガイト、ライハ、カナリア。そしてその後ろにキリールさんが座ることになった。


「アスト! あそこにでっかいゴリラがいる!」


「わー、すごい……」


 あれは「ガイアビートコング」って魔物だ。

 ここでは水上を移動する間は端々に魔物が配置されていて乗客に対してアクションを起こしたりする。 中にはアトラクションを楽しめるように水しぶきを上げて水をかけてくる魔物もいたり。ちなみに配置されている魔物はちゃんと躾けられているので襲ってくることはない。


 にしても……あのゴリラの魔物、アーロイン学院の入学試験で見たな。なんかそのせいで見てもイマイチ喜べない。トラウマ的な意味で。

 そんな僕のことなんか知らずガイアビートコングはウホウホと胸を叩いている。カルナはそれを見て笑っているのでまぁいいや。


「兄様兄様! あそこに『キラーフィッシュ』がいます!」


 ミルフィアに促されて確認すると……前方には角が生えたバカでかい魚がスイスイと泳いでいた。僕達を乗せた乗り物が近づくとバシャバシャ!と動いて水を飛ばしてくる。


「初めて見る魔物だったなー。なんか強そう……」


 魔法騎士としては魔物を見た時にそんな感想が漏れてしまう。この場所ではそんな血生臭い感想は似合わないな。


「兄様。あの魔物は角が魔力感知の役目を果たしてて、それを切断すれば楽ですよ? あとは目から順にどんどん斬っていって─」


「ストップ!ストーップ!」


 横からもっと血生臭い感想、というか攻略法が飛んできたので口を押えて止めさせる。それが聞こえていた後ろの乗客はゾッとしてたしキラーフィッシュにも聴こえていたのかすごい速度で泳いで逃げていった。


「ここにいる魔物は皆優しい魔物だからそんな物騒なこと言わないようにね」


「そうなんですね……気を付けます……」


 ションボリとして反省するミルフィア。こんなところで水を差すようなことを言いたくはないけど後の場所でも失敗を起こさないようにするため。それに魔物の方も出てきた奴からどんどん攻略法を述べられていくのも可哀想だ。



 その後、ウォーターライドを出た後は皆でお昼を食べて各自で自由行動とした。時間と集合場所は決めてあるので最後に帰る時は皆で再度集まることになる。

 けれどカルナとミルフィアはまだ子供なので僕と一緒に行動することになった。



ここから各個人とのデート回に入ります。小出しになりますがちゃんと全員分あります。もう一度言います。「全員分」あります。

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