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ヘクセンナハトの魔王  作者: 四季雅
第0章 魔法が苦手な魔法使い編
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51話 プロローグ 【エピソード3 真紅の女王と盟約の鎮魂歌】



 やあ。今日は魔人の種族についての話をしようか。


 魔人には様々な種族がいる。魔法使い以外にも、妖怪、吸血鬼、悪魔、エルフなど。


 魔人たちの仲は……良いものもあれば悪いものもあるといった感じ。

 それぞれの魔人にも事情や価値観があったりするのでなかなか仲良くともいかない場合もあるのだ。



 その中でも「吸血鬼」は他種族と比べると「特殊」だと言えるだろう。



 もう予想の通りだと思うが……吸血鬼は血を吸わないと生きてはいけない。


 年齢が9歳までは他の魔人達と同じ食生活でも活動できるし命の心配もない。体で言えばほぼ他種族とまったく同じ。


 吸血鬼が10歳を迎えてからはおよそ月に1回のペースで一定量の血液を摂取しないと死ぬことになってしまう。


 別に同族の血でも問題はないのだが……あまりにマズすぎて飲めた物ではないらしい。

 ちなみに味のレベルでいうと「吸血鬼<他の魔人<<<<<人間」。こんな風に美味しく感じるのだとか。特に人間の血は絶品物。


 なので吸血鬼は基本的に人間を攫ったり殺したりして、そこから血を摂取して生活をする。


 他にも吸血鬼には色んな面倒なルールが体に刻み込まれているらしいのだがそれらは他種族に隠していることも多く、噂の域を出ないものばかりだ。




 ん? なぜ急に吸血鬼のことについて語ってるのかって?




 さて……それはなぜだろうね。これからめくるページにその答えがあるのかもしれない。……実に楽しみだ。


 見てみよう。魔王に選ばれた少年の物語の、次なるページを。





   ♦





 これは少女がある日の夜に見た夢。


 少女は自分よりも背丈の高い少年と手を繋いで目の前に広がる一本道を歩いていた。


 少年はよく笑う人で、優しくて、自分とたくさん遊んでくれて、自分のために戦ってくれた人だった。

 彼は魔法を学ぶ学院に在籍していて、でもその少年は魔法があまり得意ではなくて。それでも努力する姿は少女からはとても眩しく見えていた。



 綺麗で、綺麗で、綺麗で。もしかすると少女は少年のことが好きだったのかもしれない。



「次は何をして遊ぶっ?」



 少女は笑顔で少年に問いかけた。

 彼も笑顔を浮かべて、手をギュッと強く握り返してくれて。



「何して遊ぼうか?」



 少年は少女に問い返した。


 自分達の進む道の先には少年の友人である人達が待っていた。


 勉強が好きでいつも少年に怒っている女の子。人形のように無表情で今自分と手を握っている少年のことが好きな女の子。不真面目ではあるがよく気が回りピアノが得意な男の子。


 皆、自分と遊んでくれる優しい人達だ。


 急に少女の胸はポカポカと温かくなって、感情を吐き出したくなる。



「アスト。あの時、わたしを助けてくれてありがとうっ!」


「うん。これからもずっと……ずっと遊ぼうね」




「うんっ! わたし、アストのこと……だいすき!」



 少女と少年はまた笑顔を浮かべて、道を歩いて行った。




 それが、少女がとある日の夜に見た夢だった。


 6月1日。その日の夜の夢。


 覚めて起きると横には健やかな寝息を立てて眠る少年。それを見て安心して再び眠りに入る。




  ああ、わたしは生きている




 少女は笑顔を浮かべて少年の横で眠りについた。

 


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