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ヘクセンナハトの魔王  作者: 四季雅
第0章 魔法が苦手な魔法使い編
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21話 エピローグ 【エピソード1 漆黒の竜と勇気の花】(完)


あの後、アスト達はベルベットの体調(というかお尻)が回復すると『ラーゲ』でアーロイン学院へと飛んだ。その日はすぐに休んで後日に報告を行った。


 エリア7のリーダーが「魔物使い」と呼ばれる危険なハンターだったこと。


 地下にAランクの魔物「グランダラス」を飼っていたこと。


 そのグランダラスは大量の人間と魔物を捕食しており異常進化が見られたこと。



 そしてそれら全てを撃破したこと。



 このクエストのことは学院中で大きな話題となった。

「エリアリーダー」というハンターの中でも大物を1人倒したことや1年が初クエストでレベルBクエストをクリアしたこと。


 そしてなによりまだ学生である2人が推定でSランク近くとされる異常進化したグランダラスを討伐したこと。これが注目されたのだ。

 「アスト・ローゼン」と「カナリア・ロベリール」の名が学院で広まった時、その2名が底辺の3組である事実も注目された原因だった。


 これは余談だがベルベット・ローゼンファリスは許可を得ず勝手に究極魔法を使用したことがバレてアスト達とは違ってすごく怒られて罰金刑を食らった。

 さらには次こんなことをやったら禁固刑だと偉い魔法使いの方達から言い渡されたらしい。


 それと……アストとカナリアが救出した使用人の女性はあの後、突如発生した謎の氷魔法の発生源と思われる館へと偵察に来たハンター達に回収された。

 ハンター達は発動された氷魔法の強さから館にはかなり上位の魔法使い─『ベルベット』がいたのではないかと考え、彼女に事情聴取を行った。

 だが彼女は(かたく)なとして「気を失っていて何も見ていない」と言い張っていた。館の惨状も「氷の魔法を使った魔物がいたのではないか」と。

 これには聴取を行ったハンターも困り果てていた。魔法使いの仕業であることは明らかだったが見ていないという言葉に何も言い返すことができなかったからだ。




  ♦




 さてさて、とある人間と魔法使いの物語はこれにて1ページが記された。これが始まりであって終わりでもある。これから先のページはまだまだ白紙だ。どうなるかなんてわからない。


 魔王の力に選ばれ魔人の世界で生きることになった人間「アスト・ローゼン」。


 この世界を変えようと願う最強の魔法使い「ベルベット・ローゼンファリス」。


 彼はその謎の力を知り、この世界の真実を知り、自分を知ることはできるのか。


 彼女はいつか来る破滅から逃げながらこの世界を変えることはできるのか。


 奇異な運命とは絡み合うことで混沌とした運命となる。その結末はどうなるのか。

 これから記されるページにそれがあるかもしれない。


 …………実に楽しみだ。




 ♦




「アスト、剣を持つ時は力を抜いて。もっと楽な体勢で」


「こう……かな?」


「そうそう。で、ズドーンと動く!」


「ず、ズドーン……????」


 あれから僕はベルベットから剣を教わっている。けれどベルベットは天才にありがちなすごい感覚派なので言うことが全然身に入らない。

 カナリアに教えを()うても「また今度ね」と言われて(かわ)されまくるからベルベットに頼むしかないのだ。


 あれから魔力を纏う練習も継続して行ってるし魔法を使わない戦闘も練習してる。魔王の力も使ってはいないけど自分なりに自己分析している。


 努力を続けなければいけない。僕はできないことが多すぎる。あのグランダラスとの戦いだってギリギリでカナリアが死んでいてもおかしくなかった。

 それにクエストを通じて僕の中である想いが強くなった。……人間と魔人、この2つの種族のことをもっと知りたいという想い。


 人間の世界を見て、魔法使いの世界を見て。


 どちらも美しく、無くしてはいけない世界だ。……争うべきではないと僕は思っている。お互いが協力すればもっと美しく素晴らしい世界が広がるとも。


 人間と魔人は分かり合える、そんな理想を語ることは誰でもできる。実現がどうとかよりまずはもっと知らなければいけない。

 人間のこと、魔人のこと。それ以外にも過去の自分のことやベルベットのこと。

 それらのことも含めて、僕はもっと強くならなきゃいけない。


 明日は今日より強くなっていよう。その明日はもっと。その次の明日も……



 そうやって僕はこの「世界」を生きていく。いつか「全て」を知るために……。




エピソード1【漆黒の竜と勇気の花】終了。

エピソード2【電導する旋律と聖なる星】に続く。

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