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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

発酵ゾンビ-ゾンビを食ってみたら旨かった-

作者:デニムズ
突如として町に大量のゾンビが現れた。原因も前触れも一切ない。やつらは小説や映画と同じように街中を徘徊し人間へと襲い掛かってきた。政府は更なる拡大を防ぐために町を壁で覆うことを決定し、それは直ちになされた。普段からは想像できないほど迅速な処理だった。その後、一切の連絡がないのだから我々壁の内側の住人はおそらく死んだことにでもされたのだろう。

政府による援助が行われなかった我々は、ゾンビからの襲撃を警戒しながらの毎日を過ごさなければならなくなった。
そんなある日のことだ。私が食料を探すためにとある商店を探索していると、商品棚の影から一体のゾンビが現れた。突然のことで対応できなかった私の肩口にゾンビの指が食い込む。あまりにも強く掴まれて思わずうめき声が漏れた。ゾンビは一般人よりはるかに力が強い。一度捕まってしまえば逃げることは不可能だ。このまま何もしなければ、きっと私は他の不幸な仲間と同じような最期を迎えることになるだろう。そんなことを考えている間にも大きく口を開いたゾンビがゆっくりと黄色の歯を見せびらかせるように近づいてくる。どうせ食い殺されるくらいなら…。その時の私の精神状態はかなり異常なものだったろう。私はそのゾンビの頭を両手で掴み、噛みつこうとするソンビの首元へ逆にかみついてやった。襲い掛かる以外に意思のないはずのゾンビだったがその瞬間どことなく面食らったような顔をしていた気がする。シャクリ、シャクリ、シャクリ。腐敗して柔らかくなったゾンビの肉に私の歯が突き刺さる。急所に当たったのか、三度目のかみつきが成功した時、ゾンビは動く死体から動かぬ死体へと変わっていた。
ゾンビとの死闘から難を逃れた私の体へ突如として感動が電気のように走った。安堵からくるものではない。それは口の中に残るゾンビの肉片からくるものだった。

ゾンビ旨っ!

供給の乏しいこの町だからではない。生まれてから一番だといっても過言ではないほどの味だ。私はこの事実を大急ぎで町の生き残りへ伝えた。ゾンビは旨い。この気づきは町の中の状況を一変させることになる。この日から、町の人間はゾンビのことを「腐った死体」と呼ばず「発酵した肉」というようになった。
そもそもゾンビは動きが鈍く捕まえることが簡単だ。それに、力が人より強いというが、牛だって豚だって、人が素手で倒せる生き物ではないので今更だった。また、ゾンビに噛まれると感染してゾンビになるといわれていたが、ゾンビを食べることで抗体ができるのか、ソンビを食べるようになってから感染者数は徐々に減少していった。ゾンビは完全に人類の天敵から食料へと格下げされることになったのだ。



こうしてゾンビを食料とするようになってからおよそ5年が経った。今日ついに町の封鎖が解かれることとなる。今ではゾンビは完全にコントロールされている。ゾンビ同士を繁殖させるゾンビ農場は安定した供給に成功している。ゾンビをさらに発酵させ、体液を絞って作るゾンビワインも好評だ。
さぁ待ちに待った時がきた。長いこと私たちの町を封鎖していた扉が音を立てながらゆっくりと開き始める。扉の向こうには数人の男たちが見えた。手に持っているのは火炎放射器だろうか。彼らは全員が宇宙服のような形をした防護服に身を包んでいる。


ひさしぶりに見た外の人たちは何だかとっても旨そうだ。

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