入学編3
一応、毎日更新するつもりですが、いつまで続くかなぁ・・・とか考えてます・・・
検査は案外あっけなく終わった。というのも、脳波の測定で使うような機器を頭につけられ10分ほど、じっとしているだけだった。結果は今日の昼に配布されるらしい。そしてそれまでに新入生・・・まぁ、半分ほどになってしまったが・・・は寮へと案内された。そして、唖然とした。寮というか高級マンションだった。
「マジか・・・」
思わずそう漏らしたのは俺だけでは無かっただろう。特に俺は孤児院育ちだから、こんなところに住むなど欠片ほども考えていなかった。みんなでドン引きしていると、引率の教員が口を開き
「ここが、皆さんが住むことになる寮になります」
「・・・・・・」
「部屋はすでに決まっていまして、部屋阿割はこちらになります」
そう言って全員にプリントを配布した
「なお、午後からは検査の結果発表や軽い自己紹介などをするホームルームがあります。それまでの1時間ほど部屋でゆっくりしていても構いません。決してホームルームに遅れないように。では解散」
皆、唖然としていたがこの学校においては驚いたら負けなような気がして、俺は早々に部屋に入った。
部屋は6階で部屋に着くとすでに、荷物が運び込まれていた。さっさと荷ほどき(最低限のものしかないが)
を済ませ、音楽を聴いていた。ちなみに、最近のお気に入りはLINKIN PARKで洋ロックに手を出し始めていた。
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そうしているうちにホームルーム15分前になり教室へと向かった。寮から教室までは5分ほどで着き、クラスを確認して教室に入った。ちなみに俺は、4クラスあるうちの2組だった。
席に着くと目の前に座っていた男子から声をかけられた。
「ずいぶん早いな」
「どちらかというと、こっちのセリフのような気がするが?」
「まぁ、気にすんな。井上 快だ」
「空木 史音」
「よろしく」
「で、井上はここで何をしていたんだ?」
「快でいいぞ。部屋で寝ると起きれなくなるから、ここで寝てた」
「そんなに寝たかったのかよ・・・」
「眠くてしょうがなかった。昨日全然寝れなかったしな~」
「それにしても、よくお前みたいなやつがあの脅しに耐えれたな」
「何それ?」
「は?」
つい間抜けな声を出してしまった
「何って、入学式の時の理事長の・・・」
「あぁ~たぶん寝てた」
「肝が据わっているというのか何というのか・・・」
思わずため息をつきそうになるが、いくら少し打ち解けているといっても初対面の相手だ。さすがに礼儀み欠く。
それから、2.3分、快と喋っていると生徒が集まってきて、教師も入ってきた。教師は女性で結構若い。28くらいではなかろうか。
「はい、時間になったのでホームルームを始めたいと思います。遅刻者はいないですね。よろしい。ちなみに、遅刻や無断欠席、授業中の居眠りなどはすべてチェックされ、あまり多いと授業を受けれなくなるかもしれないので気を付けるように」
ホントにこの学校はしれっととんでもないことを言ってくる・・・快とか、1週間も持たないんじゃないだろうかなどと思いながら前の席の席の様子をうかがうと、恐ろしく緊張した面持ちで必死に目を開けていた。
快の様子には違和感を覚えたが、気にしないことにした
「それでは、今朝の検査の結果をお返しします。人に見せても見せなくても別に構いません。また、書類についても破棄してもらっても構いませんが、過去に似たような能力を持っていたデータも載っているので捨てない方が良いかもしれませんね」
封筒を開け、中身を見た。結果は・・・まぁ、知ってた。
「音・・・なぁ・・・どう使うんだろ」
今どきのライトノベルなどを読んでいえば多少アイデアも浮かんだだろうが、あいにく俺にそんな財政的な余裕はなく読んだことがない。そのため、あとでいろいろ調べる必要があるだろう。
あとこれを他人に見せるかどうか。いや、見せないでおこう。あくまで保険だが。まぁ、隠す必要がないと分かればそれから言えば良いだろう。
「あと、中に入っている学生証は絶対に無くさないようにしてください。その学生証はクレジットカードの役割を兼ねていて毎月皆さんに振り込まれるお金はそのカードでのみ使うことができます。あと、実験室や訓練場、実戦場に入る際にも必要となるので常に携帯するようにしてくださいね」
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教師の説明が終わると、自己紹介の時間となった。
「私が今年、皆さんの担任をすることとなった桜井 早苗です。よろしくお願いしますね」
妙に演技臭さがあるが、その前に、桜井・・・?確か・・・?まぁ、良い。順番に自己紹介をしていき俺の番になった。
「空木史音です。趣味は・・・特にこれと言ってありません。よろしくお願いします」
何故、趣味は音楽を聴くことですと言わなかったのか。これは単純に趣味から能力を特定されてしまうと思ったからだ。なら、別の趣味を言えばよかったのでは?とも思うかもしれないが残念ながらそこまで頭が回らなかった。
そのあとも自己紹介は続き、さっき隣にいた女子の番になり
「あいつ、確か・・・」
「桜井心です。趣味はあえて言うなら、ピアノです。よろしくお願いします」
「可愛くね?可愛くね?」
嬉しそうに話してくる快を無視して、考え事をしていた。考え事というほどでもないが、あの二人について少し考えていた。やはり姉妹なのだろうか?まぁ、間違いないか・・・それにしても、妹の方が妙に険悪な雰囲気を出していた気がするが・・・?
なんで、こんなどうでもいいことを考えていたかというと、性格的に答えが分かる前に分かっていたいと思ってしまうからだ。
俺がそんなことを考えている間も自己紹介は進んでいき、今日のホームルームは終わった。