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祈る人を癒す人・3
「なあ、ドルグワント」
「なあに」
「俺が死んだら―また創ってよ」
「なにを?」
「次の俺をさ」
一瞬、ドルグワントが、泣きそうな、嬉しそうな、なにかを産むような顔をした。
「ちゃんと、アンタの為に創れよ。それで大事なものは、離さず持っとけ」
そう、そうね、とうわ言のような返事が返ってくる。
「なんだよ」
「だって、前と同じことを言うんだもん」
きっといつか遠い未来で、不老不死の薬が見つかればいい。
きっといつか遠い未来で、彼女が笑って死ぬことができる日がくればいい。
何番目かの俺が、その前の俺よりも一日でも長く生きられればいい。
今はこうすることしか出来ないけれど、未来永劫、俺がきみの側に居られるように。
〈完〉