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都市夜光  作者: にゃんころ餅
3/6

2話 彼女の家

 探そうと思ったって、普通の大学生に何ができるというのだろう。

 警察へ行っても相手にされなかったし、赤の他人である僕に情報を漏らすわけもなかった。

 写真を持って近所の人に尋ねて回ったけど、つい最近越してきた彼女を知っている人すらいない有様だった。

 僕は途方にくれてしまった。

 そんな時に幸運にも彼女のアパートの大家さんに会えたんだ。

 大家さんは僕のことを彼女の恋人だと思ったらしく、物を持ち出さないならという条件で彼女の部屋に通してくれた。

 僕たちはまだ付き合っていなかった、彼女はどう思っていたかわからないけど告白はしていなかった。

 だけど僕は勘違いを利用することにした、他にあてもなかったしね。

 彼女の部屋にはなにもなかった、多少の家具とパソコンと布団、たくさんの服とカバン、いかにも独り暮らしという部屋だ。

 掃除は行き届いていて、というかぐちゃぐちゃにするほどの物がなかった。

 玄関の脇にゴミ袋があったそうだが、今はなにもなかった。

 入ってすぐになにか変だなと思ったけど、それがどうしてだがわからなかった。

 僕はなにかないかとパソコンをつけてみた。幸いパスワードはなく、なにかのキャラクターらしい壁紙のデスクトップ画面になった。

 悪いとは思ったけど、メールをチェックしたりブログをやってないか探したりした。でも不審なものはなにもなかった。

 なんとなく履歴を確かめると、大手動画サイトを見たのが最後の操作だった。

 履歴には操作時間も残っていて、大学に来なくなった日の午前2時だった。

 僕は毎日彼女に会っていたし、カレンダーで確認しても間違いなかった。

 つまり彼女は夜ここに居て、朝にはいなくなっていたということだ。

 そんなことありえるのだろうか。

 パソコンで遊んでいるうちに夜も更け、急に家出したくなって行方知れずになる。

 やっぱり変だ。

 考えていると玄関で感じた違和感の正体に僕は気付いた。

 玄関にはなにもなかった。靴すらも。

 つまり彼女は外にでたのだ。

 深夜に誰にも言わずに外出する、僕には心当たりがある、コンビニに向かったんだ。

 夜中まで遊んでいるとき、僕たちはたびたびコンビニを利用した。

 深夜のコンビニは人がいない、でも商品は昼間と変わらず便利だった。

 カップラーメンを買ってその場でお湯を入れたこともある。

 彼女はコンビニに行って、そして帰ってこなかったのだ。

 これは想像だけどきっと真実だ。彼女は事件に巻き込まれたのだ。

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