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87話 世界最強の魔導士誕生

 レナは服のいろんな場所にその札を当てたり、保存状態自体を調べたりと、いろいろ試していた。少なくとも、これまでの儀礼用の服に対する取り組み方とは全然違う。


「布自体の材質も最高級品だし、これは間違いねえな」


 レナの中で結論が出たらしい。


「姉御、今のローブはやめて、これに変えたほうがいいぜ」


「それは、そんなにいいものなの?」


「いいなんてものじゃない。おそらく、着用者のステータスを上昇させるタイプの加護の魔法がかかってる。一言で言えば、強い姉御がさらに強くなるかもしれねえんだ」


「呪われてるわけじゃないんだったら、ありがたく着させてもらおうかしら」


 ミーシャは部屋の隅で着替えをした。

 そういえば、ずっとミーシャはそのローブを着てたな。ミーシャの場合、ステータスが高すぎるために、装備を買い替えるということがずっと行われてなかったのだ。


 それと、そのローブはミーシャが変化魔法で一緒に生み出したものだ。いわば、黒猫の毛皮みたいなものだ。脱いでほかのものを着ることはできるけど、そういう発想が長い間、なかったのかもしれない。


 あと、ローブなんていうのは、装備品としての種類も鎧と比べればかなり少ないので、ランクアップさせていくのもやりづらい。

 魔法を使う冒険者は戦士系の冒険者より少数派だから、商品の数もどうしても減ってくるためだ。


「ステータス上昇系の効果があるものはステータスを見ればその変化が確認できますから、見てみてください」


「そうね。まずは試着ね。たしかに肌触りは悪くないわね――あっ」


 ミーシャがどこか間の抜けた声を出した。


「これは、本当にすごいかもしれないわ! ものすごく力があふれてくるのがわかる! 何か大きなものに守られているみたい!」


「姉御、ステータスはどうなってる?」


「そうね、今、見てみるわ」


=====

ミーシャ

Lv72

職 業:大魔法使い・聖戦士

体 力:695 

魔 力:662 +50

攻撃力:774 +50

防御力:605 +50

素早さ:908 +50

知 力:714 +50

技 能:言語使用、回復(5+1)、毒治癒(5+1)、麻痺治癒(5+1)、幻惑(5+1)、洗脳(5+1)、炎(5+1)、氷(5+1)、風(5+1)、地面(5+1)

=====


 元のステータスとは違うボーナスなので表記がちょっと独特だけど――これ、体力以外の全ステータスがプラス50されたってことだよな……。


 ミーシャのステータスがもともと高いのでわかりづらいが、たとえばLv31の俺の攻撃力や防御力は250前後だ。つまり二割はステータス上昇するほどの効果となっている。

 レベルで言えば5は上昇したような違いがある。


「着ただけで、レベルが5上がったような効果って、それ、強すぎるだろ……」


「よほど特別な人だけが着ることを許されたもののようね。最高位の役職用かしら」


 そして、上がったのはステータス面だけじゃない。


「魔法の威力も上がってるよな……」


 +1というのが威力を現す5についている。


「そういえば、魔法の威力って最大が5よね。5より上は存在しないはずだけど」


 だから、ミーシャの魔法の威力も5で止まっているのだ。


「逆に言うと、通常のレベルによる成長とは別のものなら足せるってことじゃないのか?」


 つまり例外的にミーシャは「炎(6)」とか「回復(6)」といった魔法を使えるのだ。


 でも、「回復(6)」って何なんだろう……? 死者でも生き返らせることができるんだろうか。


「なるほどね。それぐらいの変化があってもおかしくないぐらい、体は軽いわ。自己ベストを更新できそうな気持ちはあるかしら」


 ミーシャ本人はけっこうマイペースだ。元から本人が強すぎるから、しょうがないのかもしれない。


「あぁ、それって、今の姉御はほぼ確実にデータ的に、この世界最大の威力で魔法が使えるってことじゃないんですかね」


 言っているレナのほうがミーシャよりはるかに驚いていた。


 正真正銘の世界最強の魔導士が目の前にいるのだ。


「炎(5)」なんてものが使える魔導士はほかにも数人はいるかもしれない。でも、「炎(6)」は事実上ありえない。


 俺たちは実はとんでもない場面に立ち会っているんじゃないだろうか……。


「そっか。じゃあ、ここで何か攻撃魔法を使ってみようかしら」


 ごく自然にミーシャが言った。


「やめとけ! ダンジョンでやると取り返しがつかないことになる!」

「姉御! 試すのは地上でやりましょう!」


 嫌な予感がしたのは俺だけじゃなかったらしい。レナと一緒に止めた。

 ダンジョン自体が崩壊するだなんてことも絶対にないとは言い切れないからな……。


 ――と、俺たちの部屋にゴーレムが入ってきた。

 俺が新しい剣で倒した上級のゴーレムだ。


「じゃあ、どう力が変わったか見てみようかしら!」


 ミーシャは小走りでゴーレムに近づくと、その中心部目がけて、猫パンチを繰り出した。


 中心部からひびが全身に入って、ゴーレムが崩れ去った。

 この階層でも武器なしで倒せるのかよ……。


「一撃で倒せるわね。でも、これって強くなったのかしら?」


「たしかに、お前の場合、強すぎてわかりづらいな……」


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