81話 宝の山の34階層
俺達は一日休んだあと、再びダンジョンの地下深くを目指して進んだ。
前回、33階層まで行ったので、そこまでは未知のところに踏み出す怖さもない。とはいえ、モンスターが実力者揃いなのは間違いないので、戦闘は緊張する。
俺とレナのレベルも深いところで戦っているうちに一つずつ上がった。
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ケイジ
Lv31
職 業:戦士
体 力:300
魔 力:134
攻撃力:256
防御力:254
素早さ:211
知 力:149
技 能:刺突・なぎ払い・兜割り・力溜め・二刀流・鑑定(剣)・毒耐性・マヒ耐性・早期回復・急所突き
その他:猫の考えがある程度わかる、猫の嫁。
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ついに体力が300になった。地下30階層より下はモンスターの攻撃力も高いので体力が上がるのは純粋にほっとする。死にづらくなるわけだからな。
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レナ
Lv29
職 業:盗賊
体 力:222
魔 力: 0
攻撃力:262
防御力:141
素早さ:350
知 力: 67
技 能:高速回避・かすめとり(高度)・武器奪取・カギ破り(高度)・聞き耳・声真似・気配察知
その他:オオカミに姿を変えられる
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レナのほうは相変わらず、素早さがおかしなことになっている。もう、レベルの低いモンスターだと攻撃を当てることはほぼ無理じゃないだろうか。
「レナ、もう、王都で一番素早いんじゃないか?」
「ははは、旦那、それは絶対にないですぜ。だって、姉御は私の倍以上のステータスなんですから」
「あ、そうか……ミーシャ入れるとそうなるな……」
ミーシャは「素早さ:908」だった。
もう、異次元の領域だ。普段はそんなに高速で移動している雰囲気もないんだけどな。
「なあ、ミーシャ? お前が全力で移動したらどんな感じになるんだ?」
「全力で移動したことって、多分ないのよね。だから、よくわからない」
ミーシャとしてはとくにその力を誇る気持ちすらないらしく、ごく普通に答えた。
おそらくだけど、バトル漫画でよくある、気付いたら背後に回りこんでいたというシーンを再現できるのではないだろうか。
「少なくとも、今のところ、私の攻撃をかわしたモンスターはいないと思うわ」
「そんなモンスターが出てきたら多分全滅するぞ」
ちなみに地下33階層ではまた温泉に入った。
温泉につかること自体は今回の目的ではないのだが、ここで一区切り入れるのがちょうどよかったのだ。ここから未知のエリアに進んでいくわけだし。
とはいえ、あんまりゆっくり温泉につかっていると、今日の仕事がすべて終わった感じになってしまうので、それはそれで問題だった。また戦闘に切り替えるのに、ちょっと時間がかかった。
「レナの動きが微妙に遅くなってる。あと、ご主人様も少し気がゆるんでるわ」
入浴後の33階層での戦闘でそんなことを言われた。
とはいえ、ミーシャもほかほか気持ち良さそうな顔してたけどな。ステータスが高すぎるので油断が形に表れないのだ。
俺やレナでも、たとえば低階層で出てくるモンスターとぶつかっても動きが遅くなってるかどうかなんてわからないので、実力の差の問題だろう。
かといって、地下の深いところで出遅れると命に関わるから、そこはできるだけ気持ちを入れ替えてのぞむことにした。
「よし、この調子なら大丈夫ね」
ミーシャも俺とレナの動きが戻ったと判断して、すでに見つけていた地下34階層への階段へと向かう。
そのフロアに下りて、最初に感じたのは――
「なんか、ほこりっぽいな、ここ……」
どうも、ほこり臭さがあるのだ。
周囲は神殿みたいな内装だが、これまでと比べるとそれも質素な感じだった。
「そういえば、天井も低いわね。ちょっと薄暗いし」
ミーシャはまず天井に目を向けていた。猫だからか、人間と比べて空間把握の方法がちょっと違う気がする。人間だったらまず天井を見るってことはあまりしない気がする。
「これまでは、どっちかというと開放感があったけど、ここは圧迫感があるな」
ダンジョンだから当たり前と言えば当たり前なのだけど。むしろ、まともなダンジョンに戻ったっていう感じだ。
しばらく神殿めいた空間を移動している印象があったので、これはけっこう意外だった。
「たしかに空気がよどんでますな。でも、こういうところにいると盗賊の心がうずきますぜ」
なぜか一人、レナはテンションが高い。
「降りてきたばっかりだけど、そんなに面白い要素なんてあるのか?」
「こういう空気のところには、いいお宝があるってことが多いんですぜ。ほら、あけっぴろげにお宝を隠す奴はいないでしょ?」
まあ、ここは盗賊の勘が当たるかどうか見てみるか。
「断言しますけど、このフロアは宝の山ですぜ。ライカンスロープはそれなりに鼻がいいですから、よくわかるんでさ!」
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