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56話 愛の再確認

 レナがビッグアイに素早く投げナイフを撃ちこむ。


 今度はすぐ振り向きざまにワイトの体をナイフで切り裂く。


「ふぅ、レベルが上がったみたいだな」


 ダンジョンの壁にもたれてレナがひと息つく。


「やっぱり、盗賊はコツさえつかめばレベルを上げるのも早いな」


「いやいや、これも旦那と姉御のおかげですぜ」


「あなたにも今後、本格的な戦力になってもらいたいからね。共通の利益があるわけ」


 ミーシャは地下28階層でも涼しい顔をしている。


 俺とミーシャは冒険者として活躍したいレナのためにレベル上げに付き合っていた。


 ヴェラドンナが加入したおかげで、使用人的な仕事が減ったおかげだ。


 それと、レナも以前の大会で決勝まで進んで、久しぶりに冒険者的な楽しみを思い出したらしい。


「ちなみに、これでレベルはいくつだっけ?」

「Lv27だぜ」


 もう、その次元か。


=====

レナ

Lv27

職 業:盗賊

体 力:206

魔 力:  0

攻撃力:239

防御力:127

素早さ:325

知 力: 60

技 能:高速回避・かすめとり(高度)・武器奪取・カギ破り(高度)・聞き耳・声真似・気配察知

その他:オオカミに姿を変えられる

=====


「もう、これは王都最強の盗賊だな」


 Lv30に近い冒険者は数えるほどしかいない。


「へへ、そう言ってもらえるとうれしいかな」


 まんざらでもないらしく、レナは頭をかいた。


 引き締まった脚、よく見ると筋力のついている腕。


 とことん、健康的な美しさでレナはあふれている。


 とくに脚は今はホットパンツを履いているから、余計にそう感じ――


「じぃ~」


 わざわざミーシャが口で言っていた。


「レナの脚を見てなかった? ご主人様?」


「悪かった……。じゃあ、そのお詫びだ……」


 俺はミーシャの肩に手を置くと――

 しっかり口付けをする。


 いきなりのことだったからか、今のミーシャが少し慌てているのがわかる。


 顔を離すと、ちょっと赤くなっていた。


「も、もう……前触れがなかったから、びっくりしちゃったわ……」


「嫌、だったか?」


「ううん、もちろん、うれしいけど……」


 ミーシャの尻尾が立っているから機嫌がいいのは確実だ。


 不満が蓄積してもいいことはないし、すぐに愛情で埋め合わせる。それが一番いいことだと思っている。


 俺はもちろんミーシャを愛しているけど、そこは男のさがで、ほかの美しい女性を見たら、やっぱり美しいとは感じてしまう。


 こればっかりはもう本能的なものだから、どうしようもないのだ。


 でも、そのたびにミーシャが不安になっちゃうとしたら、これはいいことじゃない。


 これも生理的なものなので、やむをえない。

 たとえば、飼い猫が自分しかいなくて主人の愛を独占できているところに、ほかの猫がやってきたら――

 その猫は主人との時間が奪われると思って、心配になるはずだ。


 なので、その不安は早めに取り除いてあげようと思う。


「二人の愛が本当にまぶしいですぜ」

 横で見ていたレナがおどけるように言った。


「だいたい、こんな深い階層でキスしてるカップルなんて前代未聞ですぜ。たいていは生きるか死ぬかってことに冒険者もなってるのに」


「私とご主人様は昔から特別なのよ」


 ドヤ顔でミーシャは俺に抱きついて、顔をレナのほうに向けている。


「まあ、赤い糸で結ばれてたんだろうな」


 こっちに転生してこないと結ばれることもなかった数奇な縁だ。


 ある意味、本当に奇跡的な確率の上に成立したカップルなわけだ。


 俺もミーシャをぎゅっと抱き締めてやる。


「あ~あ、私も恋がしたいぜ」


 わざとらしく、レナが両手を首の後ろに伸ばしながら言った。


「でも、まずはLv27の実力をどこかで発揮したいな。そっちの気持ちのほうが強いぜ」


 そして、レナの希望は割合、早くかなえられることになった。


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