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39話 追っ手疑惑

なんか不穏な感じになってますが、丸く収まる予定です。

 ミーシャいわく、

「ガタイのいい男をやけにこのあたりで見るのよね」

 とのことだった。


 俺は気づいてないが、ミーシャのほうがそのあたりの察知能力は絶対に高いはずだ。

 なにせ、猫だからな。

 なので、用心したほうがいいだろう。


「私、猫になって屋敷周辺をまわってみるわ。それで何かわかるかもしれないし」

「そうだな、お願いする」

「盗賊かなんかじゃないかしら。Aランク冒険者なら金持ってると思われても不思議じゃないし」


 そう言うと、ミーシャはすぐに黒猫に姿を変えて、屋敷を出ていった。


 一方で、俺も自分なりに対策をとることにする。

 掃除中のレナのところに行った。


「旦那、なんだか、ぴりぴりしてる空気ですな。獣人だからそういうのはわかりますぜ」

「レナ、しばらく買い物はいい。家でじっとしてろ」


 俺としては盗賊よりもっとヤバいものを懸念していた。

 レナの正体がばれていたら、非常によろしくない。


 なので、レナが外に出ないほうが安全だと思った。


「まさか、追っ手ですかい?」

「まだわからん。でも、もしそうだった時のために対策はとっておいたほうがいい」


 俺たちのステータスを考えれば街から離れて暮らすこともできる。

 屋敷を手放したくはないが、最悪そうするしかないな。


「旦那たちに迷惑はかけられないから、私なら捕まってもいいですぜ。どうせ、死刑になるつもりだったんだ」

「そんなこと言うな!」


 レナの両肩に手を置いた。


「そんなこと絶対にしないからな。俺もミーシャもお前を守る」


 レナは箒を床に落として、俺に抱きついた。

「そういうこと言うのやめてほしいですぜ……旦那に惚れちまったら、姉御に合わせる顔がねえ……」


 しまった。かっこいいことを言い過ぎただろうか……。

 けど、しょうがない。レナを見捨てるなんて選択肢は絶対にないんだから。


「とにかく、ミーシャの偵察の結果を待とう。それですべてがわかるはずだ」

 ミーシャが相手に遅れをとることなんて絶対にないからな。


 最悪、ここに立てこもって戦うことだってできる。

 相手が白旗あげたくなるまで籠もるまでだ。


 ミーシャは昼食に一度戻ってきたが、またすぐに猫になって偵察に出た。

 帰ってきたのは夜になってからだった。


「結論から言うと、こっちを見張っている男は一人。かなり体格のいい男ね」

 夕食の時間にミーシャと情報の共有をはかる。


「となると冒険者か何かか?」


「ただ、武器は何も持っていないみたい。もちろん、隠し持っているのかもしれないけど一般市民と言い張れなくもないわ」


「一般市民が俺たちの屋敷を見張る理由なんてないだろ」


 せっかくレナが作ってくれた食事も味わう余裕がない。

「もう少し、様子見ね。それで相手が諦める可能性もあるし」

「これなら、いっそ襲ってきてくれたほうが楽なんだけどな」


 不安を解消する手段がないというのは嫌だな。


 だが、翌日になって事態は急転した。


 昼前に屋敷を尋ねてくる者がいたのだ。


 ドアをどんどんとノックしている奴がいる。

 窓から見たら、明らかに体格がいい男だ。


「あいつよ」

 猫になったミーシャが言う。

 場合によっては猫の姿で襲いかかるつもりなんだろう。


「居留守を使うのもまずいな。俺が出る」

「私も敵が動いたらすぐにご主人様を守るわ」


 ミーシャも俺の横についてくる。

 荒事にならなきゃいいんだけどな。


 俺はドアを開けた。


「はい、何の御用でしょうか?」


「すいません、つかぬことをお聞きしたいのですが」

 男の声は思った以上に丁寧だった。


「こちらにミレーユという女性はいらっしゃいませんか?」


 俺はきょとんとした。


「いえ、そんな人間は住んでいませんが」


「犬の獣人の姿をしているかと思うのですが」


 つまり、レナのことだ。

 ヤバい。本当にあいつを捕まえようって奴か?


 この男を倒すことはできる。

 でも、犯罪者を捕まえようとすること自体は普通だ。

 これで男を倒せば不利になるのはこっちだ。


 ここはシラを切るか。


「すいません。何のことかよくわからないのですが、人違いでは――」


 その時、後ろのドアが開いた。


 レナが顔を出していた。

 おい、ここに来ちゃダメだろ!


 これ、いよいよ面倒なことになりそうだぞ!

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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで読んできて、 本文の上下の一言でネタバレしすぎなので 読まないように飛ばすのですが、めんどくさい、 とにかくネタバレしすぎ
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