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194話 幽霊の到達地点へ

 俺たちは再び、魔王のダンジョンに戻ってきた。地下5階層まで攻略したので、そこまではさしたる苦労もなく、やってこれた。

 さて、今回の探索で地下10階層、つまり冒険者の幽霊が言っていた地下45階層まで行けるかな。もっとも、第二、第三の中ボスがいる可能性もあるが。ゲームによってはラストに立て続けに四天王と戦わされるものもあるぐらいだし。


 そんなことを考えながら、とにかく地下6階層に降りた。


 そこは一言で言うと、魔族の生活スペースの階だった。

 部屋の数がやたらとあり、多くは魔族が暮らしてる部屋のようなのだ。


「ここならいいお宝があるかもしれないです!」

 レナのテンションがかなり上がっていたが、しばらくは魔族の着替えの服みたいなものしか見つからなかった。

 これじゃマジで家探ししてる泥棒だな……。


「こんなところの部屋、全部開けていっても無駄でしょ。とっとと階段見つけて下りましょうよ」

 レナもミーシャの言葉に従った。逆に言うと、それだけしょうもないものばかりで気落ちしていたようだ。とても金にならないものばかりで、いわゆる宝と呼べるものはなかったようなのだ。


 ほとんど構造は建物の中なので、両側に部屋がある廊下をひたすら進む。

 ちなみに敵の数は全然見当たらない。逃げていったということだろうか。


 しかし、ここで奇妙なことになった。

 どうも、階段が見つからないまま一周してしまったのだ。


 その階は利便性も考えて、大きな外周でぐるっと一周できるようになっていた。そしてその中に下へ向かう階段がない。

 袋小路のような道もあるにはあるが、そこにも階段はない。


「また、謎にぶち当たったわね」

 さくさくとは進めないのでミーシャも少し機嫌が悪い。

「敵がいないから、縛り上げて聞くこともできないわ」

「どういうことだろうな。常識的に考えれば、どこかに階段があったはずだけど」


 ヴェラドンナが「ならば、常識的に考えなければいいのかもしれません」と静かに言った。

 どういうことかと聞くまでもなく、その先の言葉が来た。


「部屋だけならたくさん残っています。順に当たってみましょう。どこかにヒントがあるかもしれません」

 その言葉にレナの目がまた輝いた。ああ、やっぱり、部屋は調べてまわりたかったんだな。


「見落としているところに、もしお宝があったらと思うと、どうしても落ち着かないんです……。これで、心置きなく調べられます!」


 レナは開いている部屋は堂々と家探しし、閉まっている部屋は解錠して家探しした。


 その結果、勲章みたいなものはいくつかの部屋で見つかった。

 どうやら魔族の中でも高位の軍人に当たる連中が住んでいたようだ。

 勲章に価値があるかは怪しいところだったが、レナは持って帰ることにした。


 しかし、だらだらと全部屋を調べたが、やはり階段はない。

 さて、ここからどうするべきか。


 しかし、レナは「心当たりがあります」と言って、あっさり、特定の部屋に戻っていった。

 その部屋の机をどけると、ちゃんと隠し階段があった。


「あなた、最初から気づいてたわね……」

「まっ、そこは調べ物もしたかったってことで許してください……」


 時間はかかったとはいえ、レナがいなければもっと見つけるのに時間もかかったし、しょうがないだろう。



 そこから先はあまりにもあっけなかった。

 というか、構造上、地下へと下りた階段のすぐそばにまた下へ降りる階段がついているということが続いた。そのまま地下9階層にまでやってきてしまった。


 一応、どの階も中を見たが、ほぼ6階層の部屋だらけの階と大差がない。

「なんだか、大型マンションの中を進んでいるみたいね」

 ミーシャの言葉は的を射ていると思う。ただ、レナにもヴェラドンナにもわからないたとえだと思うけど。


「この調子だと、あっさり冒険者の幽霊が行ってた記録もう更新しちゃいそうだな」

 なにせ、あと、階段を下るだけでここの地下10階層、つまり幽霊が言う地下45階層にたどりついてしまう。


「もし、中ボス的なのがいなかったとすると、一人で行けたのも納得だわ。魔王がいないなら、ほとんど敵もこのあたりにいなかった可能性もあるし」

 たしかに魔王が封印されたままなら、あっさりそこまで行けるだろう。


「けど、旦那、それならこの下に何か引き返すしかないものがあったって可能性もありえますよ。もちろん、進みすぎるのが怖かったからってこともあるでしょうけど」

 レナの言葉もわかる。とんでもないものがこの一つ下の階にあるかもしれない。


「魔王を倒すのが目標なんだ。進むしかないけどな」

 俺たちは階段の下で互いに目を見て、うなずき合うと、階段を下っていった。


 階段はこれまでと違って螺旋状だった。しかも、やたらとずっと続いている。

「これ、すでに体感的には地下15階層ぐらいまで来てる感じなんだけどな……」


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