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191話 ヴェラドンナの進化

「世の中には無理なこともたくさんあるけど、何度か試すと、そのうちどうにかなることもかなり多いのよね」

「だな。今回はミーシャに教えられた」


 とはいえ、ミーシャ以外の人間がやるなら絶対に火薬でどうにかしたりしたほうがよかったけど。

「それじゃ、このまま突き進むからね! でも、その前に回復魔法をかけておこう……」

 あっ、痛いことは痛かったんだな……。


 そこから先は急激に効率がよくなった。何度も強い衝撃を受けた石も弱っていたのか、一回殴るごとにぼろぼろ石が崩れていく。


 そして、ついにミーシャのパンチが石を最後まで貫いた。

 空いた穴の奥に通路がのぞくようになった。


「やったわ、ご主人様! 開通よ!」

「ほんとにミーシャ、すごかったぞ!」


 俺たちは、喜びをハグで表現した。これはミーシャにしかできない大手柄だ!


 ちなみに俺たちがしっかり通れるまで壁をしっかり壊したあと、ミーシャは入念に回復魔法を手にかけていた。右手がかなり赤くなってたからな。そのある種の自己犠牲の精神に敬意を表したい。


 その先にはあっさり地下4階層へと下りる階段があった。やはり、石壁で防衛ラインを作っていたということのようだ。



 地下4階層に進むと、魔族たちもかなり困惑した顔をしていた。

「なっ! どうやってあの壁を乗り越えた!?」「そう簡単には進めないはずだぞ!」


 まさか、あれを殴って解決されるとは思わないだろうな。

「あんなの猫パンチでどうにかなるわよ!」


 ミーシャの非常識な発言に魔族たちも混乱した。


 地下4階層はそこそこ魔族の数はいたが、気にせず、俺たちは先に行く。魔族の強さもこれまでととくに変わらない。どうやら、この世界におけるザコキャラの最高レベルあたりがこのダンジョンの1階にいた連中であるようだ。


 ミーシャは別格だけど、俺の力もかなりアップしている。これまでなら苦戦してた敵を御していった。剣が敵の肉を切り裂く。


「これはかなり、きついぞ……」「とんでもないのが来た……」


 魔族たちもかなり撤退していく。

 よし、地下4階層も行ける。だんだんと冒険者の幽霊が言っていた地下45階層――魔王のダンジョンの地下10階層が見えてきた。


 そして、敵の経験値が高いのか、レベルアップもあった。


=====

ヴェラドンナ

Lv27

職 業:暗殺者

体 力:188

魔 力:118

攻撃力:190

防御力:172

素早さ:214

知 力:187

技 能:急所突き・忍び足・隠密・二刀流(短剣)・背後攻撃・急速覚醒・拷問・自白強要・変装・連続攻撃

その他:キツネの獣人・使用人・冒険者・超長命

=====


「よかったな、ヴェラドンナのレベルも30に近くなってきたぞ」

 俺たちのパーティーにいるからわかりづらいけど、これはこれですでに恐ろしい実力の冒険者だ。ぶっちゃけ、ステータス以上にヴェラドンナは危険な力を持っている。


 しかも、今回のレベルアップでさらにとんでもない技能が備わった。


「この連続攻撃というのは、とても便利そうですね」

 あまり驚きもせずにヴェラドンナが言っているが、それ、おそらく極悪な技能だと思う。


 幸い、実験台ならいくらでもいた。


 リザードマンにヴェラドンナはザクザクと二回刺してから、距離をとった。

「くっ……なんて速さだ……」

 再び、接近したヴェラドンナにまたリザードマンはグサグサと胸を二度刺されて、ダメ押しで胸を斬り裂かれて、そのまま絶命した。


「相手に隙があれば、何度も攻撃を続けられる技のようですね」

「お前、それ、チートだぞ……」


 こんなの、動きが遅い敵はなす術なくやられるだけだろう。止める手段がどこにもない。


「ヴェラドンナもこのパーティーにふさわしくなってきたわね」

 ミーシャが偉そうにする分には誰も止める権利がない。


「これで私も戦力になれれば幸いです」

 いや、ヴェラドンナはすでに間違いなく戦力だけど。一地方の英雄になるぐらいの能力はもともとあったから。職業柄、あまり前には出られなかったかもしれないけど。


「よし、このまま、ガシガシ行くぞ」

 ただ、一人、微妙にテンションが低い奴がいた。


 レナはちょっと面白くなさそうな顔をしている。

「なんだ? ヴェラドンナがちやほやされて嫉妬してるのか?」

「違いますよ。このダンジョン、あまりいいお宝がないんですもん」


 そりゃ、魔族の城の中に宝箱はないだろうな……。

「そのうち、何かあるかもしれない。地下34階層のアイテムだらけのところも急に出てきただろ」

「まっ、そうですね」

 レナのやつ、魔王退治より宝を見つけることが目的になってるな……。


「どうせなら、みんながウィンウィンになれる展開になればいいわね」

 ミーシャの言うとおりかもな。魔王を倒すというのがパーティーの目的だけど、個人の目的は別にあっていいし、それが達成されるならそのほうがいい。


 俺たちは地下5階層への階段を見つけて、降りていった。


2巻公式発売日、15日を過ぎました。もう、各地の書店で売っているかと思います! よろしくお願いいたします!

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