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189話 再び魔王のダンジョンへ

 俺は王であるアブタールにすぐに礼を言った。アブタールはこれは国のためでもあるから問題ないと言って、ただ、一つだけ要求してきた。


「その代わり、君が聖戦士になったことは広く喧伝させてくれ。なにせ、国の士気が上がるからな。もしかすると、それだけで祭りが開かれたりするかもしれない」

「わかりました。好きなだけ国策に使ってください」


 多少の恥ずかしさはあるけど、聖戦士がそれを恥ずかしがっていちゃダメなんだ。今度は魔王を倒して、祭りになるぐらいにしないと。


 その日は王都のレストランに大金を出して、ものすごく豪華な食事をした。

 ヴェラドンナは家で作りましょうかと言ったけど、ヴェラドンナの負担になるし、ここは王都にお金を落とそう。


 聖戦士の祝いだと聞いた店主はほかの客に無料で酒を振る舞ったりしていた。王都が明るくなるなら、素直にうれしいと思う。


「さて、これでまた魔王攻略に頭を切り替えないといけないわね」

「ミーシャ、やる気だな

「というより、新しいご主人様の力を早く見たいの。弱いモンスターと戦ってもよくわからないでしょ?」


 それはたしかにそうだ。ザコのモンスターとやってもすぐに勝ってしまうので変化が読めない。


「差し当たっての目標は決まってるだろ。いわゆる地下45階層だ」

 その言葉を聞いてミーシャも、すぐに「そうね」と同意した。


「それが私たちの知っている範囲での冒険者のレコードだものね」

 王家の一族の冒険者(の幽霊)は地下45階層までたどりついて引き返したと俺たちに語った。


 つまり、魔王がいるダンジョンにおける地下10階層だ。王都のダンジョンから計算すれば地下45階層目になる。おそらく、幽霊はそこが魔王がいる場所だとは知らなかったのだろう。


「ということは、地下10階層までは最低でも、あのダンジョンは続いているということですね。また長い戦いになりそうです」

 ヴェラドンナはお酒が入っているはずなのに、今日も冷静だ。


「そうだな。でも、温泉を経由して進めるわけだから、当初の想定よりはずっと楽だろ」

「それもそうですね」


「魔王のダンジョンもしっかり探索してお宝を見つけますぜ!」

 レナもいいモチベーションがあるらしい。いいことだ。


 それで、ひとまずのお祝いは終わったつもりだったけど、もう少しだけ続きがあった。


 その日の夜、風呂に入って部屋に戻ってきたら、ミーシャとレナが下着姿で待っていた。


「お祝い、まだ残ってるわ」

「ゆ、ゆっくりと楽しんでいってください……」


 ああ、魔王の攻略目指してる間はそれどころじゃなかったしな……。

 その日は俺も思いきり二人と楽しむことにした。



 そして、休息も十分にとった俺たちは王都近郊のダンジョンを重装備で潜っていった。


 地下30階層を過ぎたあたりで聖戦士になった成果が出始めた。


 ダンジョンに生息できるサイズの小型ドラゴンを俺は一撃で斬り捨てた。

 これまでなら確実にもっと長引いていたはずだ。少なくとも一撃で倒せたことはなかったと思う。


「ご主人様の力、確実にアップしてるわね」

「とはいえ、お前の攻撃力、実質800オーバーだからな……。それと比べたらひよっこだけど……」


 そういう時、あらためてミーシャが化け物だと気づかされる。

「人によって成長の速度は違うわ。それに私の場合、運みたいなものだから、そこは威張ることじゃないし」

「女神の手違いで生じたことと言えば、そうか」



 そして、俺たちは地下35階層から、魔王のダンジョン地下1階層に魔法陣でワープした。

 少しその階層を移動すると、すぐに驚いている魔族に会った。

「人間どもだ!」「い、いなくなったはずじゃ!?」「なんで、また戻ってきたんだ!」


 そっか、長期間消えてたから、災厄は去ったと思ったのか。

「悪いけど、まだまだ健在だからな!」


 俺はまず紫色のトロールみたいな奴に斬りかかる。

 剣に熱がこもったような感覚があった。


 実際、「あちっ!」とトロールが熱した刃物に触れたような反応を見せた。


 これが聖戦士の特殊能力か。魔族にはさらにダメージを追加できているらしい。


「よし、このままいかせてもらうぞ!」

 俺の剣が再びトロールを斬る。数回の攻撃でトロールは絶命した。


 ほぼ苦戦もなしに、あっさり倒せたな。

 これまでと比べると戦闘が格段に楽になっている。


「ご主人様、すごいわ!」

「旦那、強くなってますよ!」


 ほかのパーティーからもそれはわかるらしい。


「よし、慢心せずにしっかり攻略していくぞ!」


 すでに一度まわっていたせいもあって、地下2階層に俺たちはトラブルもなく降りていった。

 ここの敵もそれまでの階と大差ない。あと、そこまで敵の数も多くない。俺たちはサクサク進んだ。このまま、魔王のところまで突き進んでやるぞ!


 俺たちはさらに地下3階層にも到達した。

 あの幽霊の冒険者が地下45階層まで行ったという意味、わからなくもないな。

 魔王のダンジョンの頭を乗り切れば、しばらくは同じレベルでも先に進めそうだ。


チート猫2巻の見本誌が来ました! 今月は早売りが本気で早いようなので、公式発売日15日前に売っているところも多いかもです。見つけられましたらよろしくお願いいたします!

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