表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/205

180話 ドラゴンゾンビ破壊

 さて、幻惑でこのフロアは徹底して攪乱されていると思うのだけど――

 ドラゴンゾンビはどうも意に介していないらしく、また冷気を吐いてミーシャの火炎に止められていた。


「あっ、ドラゴンゾンビにはやっぱり効かないらしいわね。脳がない状態で動いてると思うから、しょうがないかしら」

「じゃあ、パーティーに被害が出ただけだな……」


 威力が上がって全体攻撃になるのはいいけど、味方にまで影響出るのはどうにかしてくれと思う。原則、この魔法は永久に封印だな……。もう一体ドラゴンゾンビがいたら、詰んでた恐れがあるぞ……。


 渦の奥でミーシャがドラゴンゾンビに接近した(ように感じるが、距離感が変になっているので詳しいことは不明)。


 ミーシャがボカスカ、ダメージを与えているようだけど、これもよくわからない。

 どうやらミーシャは打撃でドラゴンゾンビの肉体を物理的に破壊する手に出たらしい。まず、顔を豪快に蹴って、変な方向に折り曲げた。これで冷気は前には飛んでこないんじゃないか。


「翼も危ないわよね。突風がやってくるし」

 今度は翼に打撃を与えて、その翼を破壊する。じわじわとドラゴンゾンビの体が不格好になってくる。


 接近されてしまうと、ドラゴンゾンビもなす術がなくなってきたらしく、じわじわと解体されていった。さらに吐いた冷気が自分の体にぶつかって、勝手にダメージを受けていた。


 知能が高いわけじゃないから、こうやって壊していくことは可能か。


 ミーシャはさらに攻撃を重ねて、おなかも叩き壊した。これも金属の扉でもつぶすような音がした。


「あっ、魔法石があったわ」

 ミーシャが石というか岩にしか見えない魔法石を取り出すと、ようやく、ドラゴンゾンビは機能停止したらしく、ぐしゃりと倒れた。


「ご主人様、みんな! 倒したわよ!」


「そっか、おめでとう……」


「なんで、みんな、寝転んでるの?」

 ミーシャの声が聞こえてくるので、きっとそういうことなんだろう。


「私たち、まだ魔法が解けてないんですー!」

 レナの言葉に同意だ。俺は天井にへばりついてるイメージなんだけど、どうやら本当は床に倒れたままらしい。

 俺たちが床で寝転がっていると認識できるのは、それから十分ぐらいかかった。



 ミーシャは魔法石を両手で抱えていた。


「これまで見た中で最大のサイズだわ」


「これ、多分だけど値段つかないよな。換金しようとしたらギルドがつぶれそうだ……」

 洞窟で仮に拾っても、持ち帰れないと思う。


 奥ではスクラップみたいになったドラゴンゾンビの体が残っている。生身の体には見えるけど、ミーシャが戦ってた時の音を聞くと、機械を殴ってたような印象のほうが強い。


 しかし、突然異常に強くなったな。ゲームバランスが崩壊したような気分だった。

 ドラゴンゾンビの先にも魔族はいない。本当にこの一体しかいない吹き抜けフロアらしい。三階に進む階段が見えている。とはいえ、さらに強いのがいるときついので、すぐには三階には行きたくない。


 で、二階で休んでいたせいで、ふと、あることに気づいた。


「ここの内装、地下35階層に近くないか……?」

 そのフロアの壁などに施されている装飾に同じ文化を感じるのだ。少なくとも近い様式ではあると思う。


「旦那、それって、つまりラクリ教っぽいってことですか?」

 レナの言葉に俺はうなずく。


「否定はしない。どうも近い気はする。もちろん似た文明が大昔に普遍的にあったのかもしれないけどな」

「じゃあ、ラクリ教を作ったのは魔族だったってこと? ラクリ教徒はイコールで魔族?」

 ミーシャが食い気味に聞いてきた。


「それはおかしいと思う。千年前は、魔王を封印するのにラクリ教の魔法使いが活躍したって話もあるし」


 まあ、どのみちこのまま進めばどこかで謎が解けるか。


 俺たちはミーシャに回復魔法をかけてもらって、そうっと三階への階段をのぼった。いきなり、またさっきの中ボスが攻めてくるような展開になったらきついからだ。


 三階も吹き抜けだったが、敵の姿は何もなかった。がらんどうだ。


「何もないわね」

「そうみたいだな。このフロアにいた奴は故障でもしたのかな」

 何もいないのを幸い、俺たちは五階に進む。ここも同じように何もないフロアだった。宝箱すらない。


 ただ、装飾に関しては、やっぱり洞窟の地下深くで見たものと近い気がする。そこには何も流れていないが、お湯が流れていた水路みたいなものもあった。


 これ、共通点があることはほぼ確実だと思う。となると、これを作ったのはラクリ教の人間か、それを知っていた連中だな。魔族にも知性はあるわけだから、ラクリ教の文明を知っていればそれを使うことはできたとは思うが。


「これ、温泉でもあったらいいのにね」

 ミーシャがまたふざけたことを言った。

「少なくとも下のフロアには魔族がいるんだぞ。裸で温泉入る気にはならないな……」


 さて、次は六階か。しかし、この上に魔王がいるにしては、ガラガラすぎるんだけどな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ