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162話 盗賊発見作戦

 俺たちはヘタレなボスから逐一詳しい情報を集めることに成功した。

 まず、最後に王国で残ってるボスは一見、人間に化けていて盗賊団のようなものを作っていること。


「そんなこと、ドライアドの集落のボスは言ってなかったわよ。あいつ、都合の悪いところは隠そうとしてたわね」

 ミーシャがむっとしていた。それだけでリザードマンは怯えている。戦っても勝てないからな……。


「それは、しょうがない。こういうのってある程度、俺たちが情報を持ってないと、具体的な質問もできないからな」

 前回はボスの場所程度でこっちが安心してしまったのだ。


 続いて、谷と沼。

 どこが比較的浅いかということをリザードマンは教えてくれた。


「谷もわかりづらくはあるが、よく探してみると、のぼりやすい道があるんだ。保守点検みたいなものもたまにはいるしな。人間が南側から来た場合はかなりわかりづらく作ってあるが」


 そりゃ、階段があるのがばれたりしたら、話にならないよな。


「とはいえ、魔族からしたらのぼったり下りたりしやすいというだけで、人間からすればとても道に見えんと思うぞ。大半の奴はドラゴンなどに金を払って谷も沼も越えさせてもらっているからな」


 高速道路の山越えのトンネルを使わずに、徒歩で峠の登山道を使う奴がいないようなものか。


「別にいいわ。存在を知れただけでも上出来だわ。じゃあ、次は魔王の城について聞こうかしら」

 けれど、リザードマンが頭を下げた。


「そればっかりは……。これでも魔王様に仕える者なのだ……。それに、残りのボスと道のりについて話せとしか言われていない……」

 もはや、忠義も何もないと思うけど、こいつにもプライドがあるんだな。


「ミーシャ、許してやろう。もう、悪さもできないだろうし」

「そうね。これからは堅実に生きるのよ。私たちもあなたたちを滅ぼすつもりまではないんだから」


 こうして、攻略の面倒な洞窟も無事に解決した。


 もっとも、王国に残った最後の一箇所がなかなかうっとうしいけど。

 盗賊団を探し出すって、骨が折れそうだな……。



 俺たちは王都の屋敷に戻って今後の作戦会議を開いた。


 レナの話だと、盗賊といっても、大きく二つのタイプに分かれるらしい。


「一つ目は私がやってたみたいに、根城を持ってそこから動かないタイプです。こういうのは、王都だとか大きな都市の近くにいて、定期的にそこを狙って仕事をします」

「うん、意味はわかる」


 見つかったら終わりのようだけど、森や山を完全に把握してる冒険者はほとんどいないし、隠れようと思えばどうにか隠れられるのだ。弱い冒険者なら返り討ちにできるし、ばれてからまた根城を移動させればいい。


「もう一つは、最初から各地を放浪して、いろんなところで略奪を繰り返すタイプです。こっちを見つけるのはそれなりに厄介ですよ。神出鬼没です。普段は一人一人が何食わぬ顔で生活していて、仕事の直前だけ町に集まってきたりする」


「たしかに、根城っていう場所を探すのより、厄介だよな」


「裏社会のネットワークは、私も持ってないんですよね。根城を持っているタイプの盗賊団は、移動するタイプとつながるメリットもそんなになかったんで」


 王国といっても広い。しかも、現代社会みたいに戸籍やデータで管理されてるわけでもない。逃げる手段や姿をくらます手段はいくらでもあると言っていい。


「質のいい探偵でも、音を上げそうね。どうやるのがいいかしら……」

 ミーシャも困った顔をしている。敵に負けることはないけど、敵を探すとなると、また話が違ってくる。ついには、椅子から降りて、部屋をうろちょろ歩き出した。


「素晴らしい高値のアイテムでも盗めるところに置いておいたらやってくるかしら? でも、、そんな上手い具合にその盗賊団が来るとは思えないしね……」


 すると、ヴェラドンナが真顔で、すっと手を挙げた。


「ヴェラドンナ、何か名案でも浮かんだか?」

「裏社会のことがわかればいいんですよね?」


「うん、そうだな。でも、そんなつながりなんてないし」

 言ってから、ふと思い当たることがあった。


「私はもともと殺し屋ですので。どこに行けば情報を探れるか、おおかたのことはわかります。もちろん今は交流はしていませんが、探し方ぐらいなら皆さんよりは詳しいのではないかと」


 なるほど。前職の経験を生かすのか!

 とはいえ、多少の懸念点はあった。


「それ、俺たちが犯罪者になったりはしないよな……?」

 自分が危険なことをするならともかく、家族に被害が及ぶのは避けたい。


「ご心配なく。私もその世界で伊達に生きてきたわけではありません。そこが問題だらけであれば、お嬢様のそばにつくことも許されなかったでしょう」

「それもそうか。セルウッド家に信頼はされてるんだな」

「そもそも、殺し屋というのは経歴をきれいに消し去っている者ですからね。でなければ、商売として成立しませんよ」

 言われてみれば、そうだ。


「それでも、お嬢様が参加されるとそれなりに危険ですので、今回はお留守番ということで。ミーシャ様は猫の姿で。それと、ケイジ様は変装をしていただきましょうか」


 裏の世界にちょっと関与することになりそうだ。

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