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16話 ミーシャとのイチャラブ

本日で第一部(獣人になっていちゃらぶ編)は一段落です。

まあ、明日からもかなりいちゃらぶしますが!

 俺はミーシャを連れて、おかみさんのところに会いに行った。


「あの、この子は俺の――」

「ああ、獣人の子かい……。もしかして娼館に売り飛ばされた境遇かい……」

「違います!」

 この人、話聞かないな!

「身請けしようってのなら止めはしないよ。ゴールドスライムを倒しにいったのもそういうことなんだね。うんうん、そういう愛もあるよねえ」

 おかみさん、勝手に納得しすぎ!

 そんな江戸時代の吉原の小説みたいな展開じゃないぞ!


「私、ミーシャ、ご主人様の飼い猫なんです」

「ああ、変化魔法を飼い猫に――」

「いえ、私自身が使ったんです」


 おかみさんにならミーシャが冒険者としてチート級の強さを持っていることも言ってもいいだろう。

 もちろんただの猫として隠し通すこともできただろうが、それでわざわざミーシャに気をつかわせるのも悪いと思ったのだ。


 あと、俺一人の宿代しか払わないのも今後アンフェアな気がしたというのもある……。

 今のミーシャは人間そのものだもんな……。二人分の宿代払ったほうが罪悪感もない。宿代ケチらないといけないほど金に困ってもないし……。


 ミーシャは自分が冒険者としての力を持ってしまったことや、俺のために人間になろうとしたことなどをすべて話した。

「今の私の話、信じてくれますか?」

「信じるよ。そんなウソつく必要もないからね」


 それから、おかみさんはちょっと悲しそうなため息をついた。

「こんな想い人がいたなら、うちのルナリアがふられてもしょうがないねえ」

「えっ……」

「娘の気持ちぐらい聞かなくてもわかるよ。ほら、ルナリア、聞いてるんだろう?」


 奥の部屋からルナリアが申し訳なさそうに入ってきた。

 おそらく聞き耳でもたてていたんだろう。


「おめでとうございます」

 ルナリアは少し儚げに笑った。

「愛し合う二人がこれで結ばれますものね。あの、私のことで気をつかわせてしまってたら申し訳ないです……」


「私こそごめんなさい」

 泣きそうになっていたルナリアの肩をミーシャがそっと抱いた。

「もっと早く私が人間の姿をしてたら、あなたももっと早く諦められたかもしれないわよね」

「いえ、ミーシャさんは幸せになってください……」


 あまり見ていいものでもないな。

 俺は一度席をはずして、部屋に戻った。


 そのあと、苦笑しながらミーシャが部屋に来た。

「ルナリアって本当にいい子ね」

「俺もそう思う」

「もし、私が人間の言葉をしゃべれてなかったら、きっとあの子に取られてたわ」

 たしかにそんなことも起こりえたかもしれない。

 でも――

「俺が愛してるのはミーシャだけだ」


 このことはちゃんと伝えておこう。

 これまでも何度も伝えたかもしれないけど、何度目だからって伝えることには意味がある。


「もちろん、私も知ってるわ、ご主人様」


 今度は俺のほうからミーシャに手を伸ばした。


 日本からずっと俺を支えてきてくれた女の子。


 ミーシャとなら一日中抱き合っていてもきっと嫌にならない。


「この姿なら堂々とご主人様と冒険ができるわ。いろんなところにだっていける」

「まだ俺が足を引っ張っちゃいそうだけどな」

「ちゃんと鍛えてあげるわ。ご心配なく」


「そういえば、魔道書を手に入れるって目標の次は何を目指してたっけ?」

 ミーシャは以前にこの世界での活動方針を話していた気がする。

「次は住む場所の確保だったわね。ご主人様との愛の巣を手に入れるの」

「残った金がそれなりにあるから、次はそんなに難しくないな」


「住む場所も決めずにいろんなところに冒険に出る生き方も悪くないかもしれないけどね。けど、やっぱりご主人様とらぶらぶに暮らしたいわ」

 たしかにここに来たばかりの頃と比べると、俺も本格的な冒険者になってきて、その生活が板についてきた。


「まあ、どっちみちもうちょっと強くならないとな。世界を旅するにしては心もとない。それに――」


 俺はミーシャをベッドに押し倒した。

 今度は俺が倒す格好になったな。


 ミーシャの長い黒髪がさっと開くように乱れる。

 髪が黒いのはきっと黒猫だからだろうな。

 そのくせ、色白な細面ほそおもての顔立ち。

 熱をこめたら、そのまま溶けてしまいそうだ。


「しばらくミーシャといちゃいちゃしたいな」

「私もまったく同感よ、ご主人様」


 その夜はミーシャとゆっくりと時間をかけて、何度も愛し合った。

 同じベッドの中で言葉をかわしあう。

「これが、いちゃいちゃするってことなのね」

「ミーシャの夢がかなったのかな」

「うん、すごくうれしい」

 また、ぎゅっとミーシャが俺に抱きついてくる。

 たまに爪が痛いけど、それぐらいは我慢しよう。


 そういえば、サラリーマン時代、ミーシャが布団に入ってきて、一緒に寝たことなんて何度もあったな。

 まさか、その時はこんなことになるなんて当然考えたことなんて一度もなかった。考えてたら、かなりヤバい奴だけど……。


 すぐ前に獣人のミーシャの顔がある。

 夢を見てるみたいだ。


「この世界に来た時はどうしようかと思ったけれど、こんな未来が待っていたなら、来てよかったわ」

「うん、俺もだ」

 転生できてよかった。

 あと、俺じゃなくて、ミーシャを最強にしちゃった女神様にもありがとうと言っておこう。

 それと、ミーシャをこんなに美少女にしてくれたことにも、ありがとうだな。


今なら、日本で死んじゃったことも、ミーシャとこの世界に来ちゃったこともすべて運命だと信じられる。


「ミーシャ、獣人として暮らしたいか? それとも普段は猫のままがいいか?」

 けっこう、これは大きな選択肢だ。俺たちはどっちでもよくても周囲の認識がまったく異なる。しゃべる猫というものに市民権はないらしいから。


「私は私だから、猫の姿でないとダメってことはないわ。人間でもいい。一度、変化の魔法を使えば時間制限みたいなものはあまりないみたいだし。それに――」

 ミーシャが俺の頭に手を伸ばす。


「こうして、ご主人様の頭を撫でることもできるしね」

「たしかにミーシャに撫で撫でされるとはな」

 長く生きているといろんなことがある。


「私の願いは、これからできるだけ長く、ご主人様と一緒にいることぐらいね。ほかは全部どうでもいいわ。だから、それにはどうしたらいいか考えるの」

 ミーシャが考え事をしている間、尻尾がわずかに動いた。


「よしっ!」

 ミーシャの中で何か決意が固まったらしい。


「私もギルドに登録するわ。それでご主人様と一緒にダンジョンで戦ったり、旅に出たりする!」

次回から第二部です! ギルドに入って、あと、新居を購入して愛の巣でいちゃらぶします。

次回も昼12時頃の更新予定です!

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