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123話 可否を聞きに

 すぐにドアが開いた。

 レナが顔を出す。


「あいよ。いったい、なんだ? また親から何か言われて――えっ! 旦那!」


 なんと、レナは思いきり下着姿だった!


 すぐにドアが閉まる。というか、ミーシャが強引に割り込んで閉めた。


「もう! なんで下着で出てくるのよ! ご主人様を誘惑するようなことになったらどうするの!」

「いや、夜なんていつも侍女ぐらいしか来ないから今日もそれかなと思ったんですよ……。男の召し使いは私のところには来ないですし……」


 なるほど、女子高のノリで生活してたら、そこに俺が来ちゃったわけか……。


「レナ、ちょっと大事な話があって来た。着替えが終わったら開けてくれ」

「わかりました! ちょっとお待ちください! ええと寝る時に着るやつ、寝る時に着るやつ……。準備できました!」


 あらためて俺はレナの部屋に入った。

 わかってはいたことだが、とてつもなく広い。五人姉妹ぐらいならこの一部屋で暮らせそうだ。ベッドも三人ぐらい同時に眠れる横幅だ。こんなの特注で作るしかないだろうな。


 だが、そんなことはどうでもよくなった。

「レナ、それ、パジャマだけど、透けて……」


 下着の上から夜着みたいなのを着てはいるのだが、完全に透けているやつで、かえっていやらしい……。


「ぱっと見当たる服が、こ、これしかなかったんです……。夜は出歩かないの前提だったんで……。服は早朝に侍女が持ってくるし……」


「わかったわ……。それでいいから……。もし、ご主人様がじろじろ見てたら、私が注意するから」

 注意って具体的に何をされるんだろう。目つぶしとかそういう制裁だと困る。じろじろ見る気はないけど、気になることは気になるぞ……。


「ええと、それで……いったい何の話なんですかね……?」

 俺はできるだけ目を下に向けつつ、話すことにした。けど、大事な話なのに、目を見て話せないのも問題かな……? ここは思いきって顔を上げるか。


「レナ、実は俺達は――」

「ご主人様、レナを見ようとしてるでしょ、ダメよ」

 すぐにストップがかかった。


「だって、こんな大事な話、うつむいてできないだろ……」

「わかったわ。じゃあ、顔だけ見て話してね。体のほうに視線を落としちゃダメ」

 それ、目の構造的に無理なんじゃ……。


「レナ、実は俺達、新たなる旅に出ようと思うんだ。具体的に言うと、魔王を倒す旅だ。どこに魔王がいるかもよくわからないし、長い旅になるかもしれないけど、よかったら一緒に来てくれないか?」


「はい、行きます」


「なんか、軽っ!」


 断られるとはとくに思ってなかったけど、それにしても即答だな。


「いや、探索する場がダンジョンじゃなくてフィールドになっただけでしょう? 行きますよ。むしろ、そんなに改まる必要がよくわからないぐらいですけど」


「それもそうか……。今更言うまでもないけど、ここで暮らすっていう選択肢もあるけど、まあ、言うだけ無意味だよな?」

「私の職業はSランク冒険者ですからね。Sランク冒険者は冒険しないとダメなんですぜ」


 まったくそのとおりだ。言ったこっちが恥ずかしくなる。


「わかった。じゃあ、レナ、ついてきてくれ」

 俺は手をレナのほうに伸ばす。

 その手がミーシャに下げられた。


「今、レナの体を見てたわ。目をつぶってやって」

「こんな重大な握手なのに……」

 よそ見をしながらするわけにもいかないので、目をつぶるほうを選んだ。


「今後ともよろしくお願いします、旦那。それと姉御も」


 視界が閉ざされてるからこそ、レナの手をしっかりと感じた。


「どうやら、ちゃんと目をつぶってるようね」

 本当に監視されてるな……。


 レナが来ることはこれで決まった。次は――


「それと、可能ならヴェラドンナにも来てもらいたいんだけど、本人の意志に任せたい。あいつはどこにいるかな」

「侍女の部屋に今は入ってるはずだから、一階を奥に行って、そこを突き当たって、二番目を左に行って、最初のところを右に行って、また次を左に行った四部屋目です」

「わからん」


 絶対に家の説明じゃないだろ、それ。どんだけ広いんだ。


「それならわかるわ。だいたい、この建物は空き時間に探検してたから」

「マジか……。さすが猫だな……」

 猫は引越した先の家は確実に探し回る。家主より詳しい可能性も高いと思う。よく猫が行方不明になるが、家の変なところに隠れていたりするのだ。


「レナはあの姿じゃ歩けないし、私達だけで行きましょう」

 ミーシャについていって、ヴェラドンナの部屋を目指すことにした。ミーシャの説明によると、この建物の中で部屋をもらっている使用人はかなりランクが高いほうらしい。もっと低いと使用人専用の建物に住んでいるからだそうだ。どうやら、準家族待遇ということらしい。


「はい、ここね。ほら、ヴェラドンナって書いてるわ」

 ネームプレートみたいなのが部屋にかかっていた。やっぱり、勤めてる人間でもわからなくなることあるんだろうな。


 コンコン。ドアを叩く。


「はい、どちら様でしょうか」

 

 すぐにヴェラドンナが出てきた。

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