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チートな飼い猫のおかげで楽々レベルアップ。さらに獣人にして、いちゃらぶします。  作者: 森田季節
獣人ミーシャとのいちゃらぶ同居生活編

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116話 遅い食事

 自室に戻ったら、俺は並べられた料理をどんどん胃に流し込んでいった。

「ご主人様、はしたないし、だらしないわよ」

 そう言うミーシャの口にもケチャップみたいなのがついている。


 ドアが開く。ヴェラドンナが皿の並んだトレーを持って入ってきた。

「次をお待ちいたしました。そろそろテーブルに置けないので、ほかの部屋から追加テーブルを持ってきたほうがいいですね」

「悪いな……。お願いできるか? 床に皿を置いておくのもまずいだろうし」


 ヴェラドンナはすぐに新しいテーブルを用意してくれた。これで皿で埋もれる危険はなくなりそうだ。


「あ~、なんかこの野菜、トマトに近くて食べるとほっとするな」

「そういえば、この世界ってトマトはないのよね」

「イモは近い種類がなくはないんだけどな。その分、見たことない野菜もあるけど」


 セルウッド家の領地は王都メイレーとは気候が違うのか、出てくるも料理もけっこう独特だった。この世界に来たばかりの頃、食堂で食べた料理とは食材からして全然違う。そもそも、貴族のもてなし料理と宿の料理だから違うのは当たり前だが。


「それにしても、よくお食べになりますね」

 ヴェラドンナは無表情だが、もしかするとあきれているのかもしれない。


「おなかがすいていたとはいえ、もう二人前はお二人とも食べてらっしゃるんじゃないですか?」

「実は食べようと思えばかなり入るんだ。これ、Sランク冒険者だからなのかもしれないけど、代謝が昔よりよくなってる気がする」

 戦闘だと瞬間的に力を出さないといけないので、その分、エネルギーを使うのかもしれない。


「それはミーシャ様も同様ということですか。ここまでたくさんお食べになられてはいなかったと思うのですが」

「それは猫だからだと思う」

 とくに家猫は食べることがなによりの娯楽なのだ。日本時代のミーシャもそうだった。自分の食事が終わっても、俺が人間用の料理を並べていたら、たいてい「ちょうだい」という顔でやってきていた。魚と肉の系統をミーシャはほしがる。


 もう食べただろうと放置していると、前足を出してちょっかいをかけてくる。「ちょうだい、ちょうだい。それ、ちょうだい」鳴かないけど、何を言ってるかはだいたいわかる。それでも放置していると、テーブルにぴょんと跳び乗ってくる。


 あと、こちらが寝ていても夜中に「おなかすいたからなんかちょうだい」という声で起こしてくることがある。その時は「にゃー、にゃー」と鳴くのですぐにわかる。


 あれは人間の赤ちゃんが夜中に泣き出して親を起こすのとよく似ているらしい。だからなのか、大きくなった子供が一人暮らしをはじめると親が猫を飼いだしたり、まだ若い独身者が猫を飼うと「あっ、結婚は諦めたな」とい言われたりする。


 さすがにミーシャが異世界に来てからは鳴いて起こすだなんてことはしないけどな。もう、すっかりミーシャは人間となっている。


 話がずれたな。元に戻そう。


「俺、猫を飼っていたことがあるからわかるんだけど、猫って明らかに食べすぎだろってぐらい食べてても、食べたいものがあったらどんどん食べようとするんだよ。セーブするって気が全然ないんだ。欲望に忠実なんだ」

「それって、最後は吐いてしまうのではないかと」

「うん。まさに本当に吐くんだよ。びっくりするぞ」


 そんな話を他人事みたいにミーシャは聞いていた。

「私はそんな恥ずかしいことはしないわよ。ただ、まだまだ入るってだけだから」

 おそらくだけど、ミーシャもそのチートな力を使うために、代謝がよくなって、食べようと思えばいくらでも入るってことなんだろう。

 あるいは胃袋もチート並みに強化されたという可能性もある。


「これはまだまだ持ってこないといけないですね」

 ヴェラドンナもびっくりはしているのか、表情は淡々としているもののいつもより瞬きが多い気がした。


「悪いな。まだ俺とミーシャで食べられそうだ」

 あと、貴族の料理は品数は多いものの、一皿の量は少なめなのだ。いろんな味をたくさん楽しむべきだという思考に基づいているのだろう。これが安い大衆食堂とかだと同じ味をたくさん食べるということでおなかをふくらせようとするから、その逆だ。


「いえいえ。こちらも余らせてしまってももったいないですので、どんどん食べていただければけっこうです」


 ヴェラドンナが出ていくと、ミーシャはさらに食べる量を加速させた。


「ふぅ……人の目が減ると気が楽ね……」

「お前、そんなに食べられたんだな……。家ではここまで食べてたことないだろ……」

「私も驚いてる。家の量でもおなかがすいたりしたことってないんだけど、実はこの体ってこんなに入るのね」

 もしや、人間になってから、適正な量がよくわからなくて、知らないうちにいつもダイエットみたいな量に抑えてちゃってたってことか……。

 そもそもレベルが70を超える人間なんて普通は存在しないので、誰も加減がわからないのかもしれない。


 結局、そのあともデザートだけでもミーシャは五皿食べた。

 俺は二皿で止めた。

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