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チートな飼い猫のおかげで楽々レベルアップ。さらに獣人にして、いちゃらぶします。  作者: 森田季節
獣人ミーシャとのいちゃらぶ同居生活編

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98話 見事なサプライズ

 さて、普通のカップルなら夕飯もどこかしゃれたレストランで食べるんだろうけど、そういうわけにはいかない。ヴェラドンナがちゃんと料理を用意して待ってるだろうからな。


 最初からこんなにガチにデートをするつもりなら、夕飯はいらないって言っておけばよかったんだけど、まあ、すでに十分に楽しんだし、いいだろう。


 ヴェラドンナもちょっと遅く帰ってくるぐらいでいいって言っていたし、時間としてもちょうどいいはずだ。


「今日はほんとに楽しかったわ、ご主人様」

「そうだな。俺もまったく同意見だ」


 俺とミーシャはゆっくりと道を歩く。

 変な話、帰りたくないというか、二人だけの時間をもっと伸ばしたいぐらいだった。

 二人の関係はけっこう長いけど、まだこれだけいちゃいちゃできるようなら何の心配もないな。


「また、こういうデートしようね、ご主人様」

「ああ、是非計画することにする」

「次はもっと遠いところに行くのもいいかもね。馬に乗って王都の外に出るの」


 ミーシャの中でいろんな想像が広がっているらしい。たしかに本格的な旅行はほとんどしてないもんな。ダンジョン探索が一段落したらそういうのもいいかな。


 途中、ミーシャは少しパンを買っていった。


「パンならもうヴェラドンナが買ってると思うけど、そんなにそこの店のパンが気になったのか?」

「ちょっと、これが必要なのよ。ちなみに私が食べるためじゃないからね」


 謎かけみたいなことをミーシャは言う。食べるためじゃないんだったら、いったい何にパンを使うんだ?


 そしたら、町はずれでミーシャが立ち止まった。

 それから、「にゃー、にゃーっ!」っといかにも猫といった声を出した。いや、もともと猫なんだから、猫みたいな声を出すのが得意なのは当たり前か。


「なんで鳴き声出してるんだ?」

「にゃー、にゃー、にゃーっ!」


 まだミーシャは手を口に当ててメガホンみたいにして、鳴いている。何かの練習かと思ったが、じきに理由がわかった。


 どこからともなく、猫が一匹現れた。茶色と白の模様のいわゆる、茶白と言われるやつだ。

 続いて、長毛種のやつと、灰色一色のすらっとしたやつと、白猫っぽいけど足のあたりだけ黒いやつと、その他もろもろ十匹ぐらいの猫が集まってきた。


「はい、これが答えね」

「なるほど。仲間を呼んでたのか」

「このあたりに住んでる野良達よ。以前に買い物に出たりしてた時に知り合ったの」


 ミーシャはパンを取り出すと、それをちぎって猫達に配っていった。


「はいはい、焦らなくても全員分あるからね。ケンカせずに食べるのよ」


 これは餌付けなんだろうか。それとも猫同士の互助? 野良猫がミーシャを助けることはできないから互助ではないか。


 パンを食べ終えると、猫達はにゃーにゃーミーシャに向かって鳴いた。多分、お礼を言っているんだろう。


「お待ちどうさま。じゃあ、帰りましょうか」

「やっぱりミーシャは猫のことが気になるんだな」

「当たり前でしょ。人間の姿になれるからって、心はまだ猫よ。もし、猫をいじめる奴がいたら絶対に許さないんだから」


 そんな話をしながら、郊外にある屋敷の前までたどりついた。


 すごくいい一日だったなと改めて思う。


「今日の夕飯は何かしらね?」

「まあ、ヴェラドンナだからはずれはないだろ。あいつ、刃物を持つと性格変わって怖いけど、作る料理は見事だからな」


 玄関の前まで来ると、ドアが勝手に開いた。俺とミーシャが帰ってきたのに、ヴェラドンナが気づいて開けてくれていたのだ。


「おかえりなさいませ。さあ、お食事の用意はできていますので、こちらへ」

「うん、今日は何がメインなんだ?」

「そうですね。一概には申せませんね」


 どういう意味かよくわからなかったが、テーブルの前まで行ったらすべてわかった。


 そこに並んでいるのは、いくつもの皿。もちろん空っぽじゃなくて、豪華に料理が盛り付けてある。

 複数の冒険者パーティーが合同で宴会でもやるような規模だ。


 そして、レナがぱちぱちぱちと拍手をしている。


「旦那、姉御、Sランク昇格おめでとうございます! それとついでに私も!」


 ヴェラドンナもレナに合わせて拍手をはじめた。


「こ、これって……もしかしなくても昇進祝いの料理なのかな……?」


「そういうことになります。準備に時間がかかるので早く帰ってこられてしまうとばれてしまうところだったんですが、どうにか間に合いました」


 真顔でヴェラドンナが言う。それから、「おめでとうございます」と真顔のまま続けた。


「ありがとう、二人とも!」

 ミーシャが元気な声でお礼を言う。

「こんなの、ちっとも考えてなかったわ! 最高のサプライズよ!」

「俺からもありがとう。うわ、これは不意打ちだ……」


 ちょっと涙ぐんできた。


「さあ、どんどん食べてください。そうしないと思い切り余ってしまいますから」


 その晩、俺とミーシャはおなかいっぱいになるまで食べまくった。


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