序章 ~目覚めの刻々~
目の前に広がる世界。ここはどこ、僕は誰。
今すぐ行かなければ。でも、どこへ?
そうだ、僕は僕だ。他の誰でもない。
八雲澪。それが僕の名前だ。
「あれ・・・。なにしてたんだっけ・・・」
何も思い出せない。むしろ、思い出そうとするほど頭に痛みが来る。
「とりあえず動かないと」
そう呟きその場に立ち上がろうとすると、衝撃が痛みと共にやってくる。
思い出した。帰らないと、あの場所へ。
仲間が血にまみれて敗北している姿。そんな映像が頭を過ぎる。
<青年、起きたか。ようこそ、完全な敗北者がさまよい進化する世界。[虚無の世界]へ>
「虚無の・・・世界・・・」
<そうだ、早く甦るんだ。あの場所に>
「そうだ、帰らなくては」
だがしかし、帰る方法を澪は帰る方法を知らない。
「クソッ、帰る方法わかんねぇ。でも、帰ったところで力が・・・」
<お前に2つの選択権をやろう。どちらを進むかはお前に任せる>
「選択権?力をくれるっていうことか?」
<そうだ。だが、信じるのは自分だけだ。お前はどちらを選ぶ?>
目の前に表れたのは白い扉と黒い扉。扉の真ん中には次元の歪みが生じている
「俺は自分の道。我が道を行くに決まってる」
そう言って一歩を踏み出した。次元の歪みに向かって
<面白い答えだね。そうかそうか、そうだね。君は面白い>
「俺は強くなる。もう誰も一人にしない。誰にも屈しない。そのためならば修羅の道だって進むさ。」
ありがとうな、道を示してくれて。そう呟くと前に向かって歩き出した
<君は面白い。強くなれる。だからこそ『白夜』と『黒陽』の力を渡した。見させてもらうよ。君の傍で>
楽しみだな。そう呟いた彼も澪と一つになる事をまだ知らない。
彼らは目を見開いた。