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「ゲロゲロゲロ~。それで現在の兵数はどうなっておる?」
白を基調にした廊下と壁の真ん中を赤の水晶で道を作る。その道の先に段差を交えた先に装飾の施された椅子。そこに座するものが放つ言葉の先には、段差の下で控え頭を下げるもの。
「ゲロッ。現在約5万3千。新たに生まれたものが5百となっております。」
座するもの。控えるもの。共に大きな目を乗せた姿をしている。蛙族だ。
「ゲロゲロゲロ。順調順調。また3日後には我が歌声を響かせるとしよう。」
座するものが満足げに言葉を放つと、
「ゲロッ。王の仰せのままに。」
控えるものもハッキリと返事を返すのであった。そして
『ゲロゲロゲロゲロ』
と二つの鳴き声が響き渡るのであった。
ーーー
森の中。転がる3つの遺体。女性のものが1つと蛙族のものが2つ。
『ここ』で狩猟されたが故に私ができる事がある。コケもいくつか使い組み上げていく。
光に包まれ生まれるのは3つの姿。
1つは、蛙族の姿。
1つは、女性の姿。
そしてもう1つは、蛙族を模る半透明の姿。
肉体の欠損・魂の欠損。どちらも相応にはあると思われる。あまり大きく弄るつもりも元々ない。
それでも、3体を揃えるのに1体を犠牲にしたのは間違えないだろう。もっとも・・・頭を下げる3体を前に。言い訳がましい偽善と妥協を感じるのであった。