プロローグ0ー3
部屋の中。
キッチンにてお湯の沸いたヤカンからティーパック入りのコップにお湯を注いでいく。
すぐ隣の洗濯機の蓋の上には一冊の開いたノート。
先程そこにいくつかの事を書き留めた。
1つは自らの名前。年齢。生年月日。住所などなど。
この部屋の元の世界での自分自身の記録だ。
無意味かも知れないが必要になることもあるだろうと結論づけている。
その他は既に私にとっては「当たり前」な事が記されている。
例えばだ・・・
・この部屋に入れるのは私のみだ。
→転じて他者が入ろうとした場合、この部屋は消滅する。
例:現状の巣穴のような入り口を他者がくぐった場合、巣穴としての常識が優先され消え失せる。
・入り口の形状は変えられるが、入り口でなければならない。
(そもそも私が入れなければならない。)
・現在地点(広場のような所)を中心に5㎞✖5㎞を拠点として認識できる。
(正直、最近読んでたダンジョン作成物の影響だな・・・。付随してその辺に関わる能力がこちらではある。)
などだ。
そして、ノートの表紙には
今日の日付と今の時刻と共に
「とりあえず精一杯生きよう!」
と書き記した。
私がこういう存在として此所に在って、此所に生きる事。
そこに疑問を抱かない為、元の世界に帰るといった目的は生まれないのだ。となれば生きる事が優先される。
そして折角の家を失いたくないからこそ必要な抵抗はしようと思う。
幸い。ガスも水道も電気も使えるようだし・・・
理由や理屈はわからんが、下手に気にして途絶えてもかなわないしな・・・。
最もさすがに圏外ではあるのだがな・・・。
そこで気付く。
デジタルなのに時計が動いてない事を。
新たにもうひとつ書き足す事にした。
・この部屋からは基本持ち出せず、持ち込めない。
(別の空間として隔離されていて、隔離当初の機能を有する為に必要な措置。)
後々おそらく後悔もするだろうが
一定の生活水準はおそらく守られた。