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「これ本当にばれないんですか?」
今僕は伊達眼鏡をかけフードをかぶりフード店の前にいる。
他のみんなも何かしらの変装(?)をしている。
一応夜なので人は少ないが、こんなのでばれないものなのだろうか。
「腹が減っては戦はできぬ、って言うじゃん。」
アカラギは笑いながらフード店へ入っていった。
あの人の神経はどうかしてる気がする。
フード店に入り窓側を避けた席に座った。
確かに人はいなく、十数人いるかいないかくらいだ。
「でも、怖いね。なんでみんな人を殺してまで欲に従うの…?」
カナが悲しげに顔をしかめてみせた。
「願いを叶えたいだけじゃないんじゃないかな。」
アカラギがぽそりと言った。
僕にはその言葉の意味がわかる。
今は法律の働かない時間と化している。
そんな時がこなければ、人を殺せる機会なんて滅多にないだろう。
「快楽犯…」
「まぁ五割がその類いの方々なんだろうね。」
…しかし平和だ。
なんとなく、僕達に気づかないここにいる人達が怪しく感じてきた。
普通こんな変装でごまかせれる訳ない。
僕の予想はあたった。
突如カナの後ろの席の人間が立ち上がった。
「カナちゃん、後ろ!!!」
その手に持っているのはナイフ。
ナイフは加速し、一気にカナに降り注ぐ。
「止まれ!!!!」
「あ、あっ…」
嫌と言うほどにその光景は目に焼きつき、僕は叫ぶ事も出来ずに固まった。
カナの頭をナイフが突き刺し、首の中央より少し外れた場所から血の色をまとった刃が飛び出ている。
刃は少し捻じりながら入ったのか、頭のさけめから中身が少し見える。
突如吐き気が襲い僕は口を手で抑えた。
間に合わなかった。
「い、嫌だ…違う、僕が求めるのはこんな、こんな現実じゃない…!!!」
知らずのうちに過呼吸になる。
「も、戻れ…」
「戻れよ!!!!!」
「戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ!!!!!」
何も信じたくない。
何かが歪んだ様な気がした。
「時人、大丈夫…?」
カナの声がきこえる。
顔をあげるとカナが生きていた。
「あ、あれ…?」
「顔真っ青、能力使いすぎなのはわかるけど大丈夫?食べれる?」
ついさっきまでの出来事は何だったのだろうとでも言うかの様にカナが僕を心配している。
なんだ、夢なんだ。
「ううん、大丈夫だよ、ありがとう。」
違う。
「止まれ!!」
そうだ、悪夢だったのだとしたら確かめなきゃ。
この中に僕たちを殺そうとしてくる人がいるんだ。
立ち上がって周りを見渡す。
「なん…で…」
敵だらけではないか。
どこもかしこもいつ殺そうかという顔をして僕たちの様子を伺っている。
「戻れ…」
逃げなきゃ。
「逃げよう。」
「え?」
ユウトが旧に表情を強張らせた。
「まさか…」
「やっぱり外になんて出るべきじゃなかった…みんな敵だよ。」
なるべく、小さな声で話す。
「でももう逃げ切るのは無理じやない?だって…」
アカラギの目線が横を見る。
わかってる。
「でもここで諦めるのは絶対ダメだよ」
「じゃあ何人かに別れて逃げよう。僕は中沢くんと、田中さんは横田くんと、時人くんは…あー、一人でいっか。」
「えっ!?」
「よし、最初のマンションの屋上で会おう!」
「時人、大丈夫?」
カナが心配そうに見てきた。
「う、うん…それに時を止める能力あるし…いざとなった時は使うよ。」
「そっか、あの能力なんだか他に人がいたら使いづらそう…だしね。」
はっきり言われると胸が痛い。
「カナちゃん、少しお願いがあるんだ。」
「何?」
僕は聞こえないように携帯のメモ欄に内容をうち、見せた。
「…うん、わかった。また会おう、時人。」
「うん、じゃあね、カナちゃん。」
不安を胸に蓄えながら僕は走りだした。
「逃げるぞ!殺せ!」
独りの戦いが始まる。