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何も、言えなかった。
大丈夫だよ、とか絶対助かるよ、とか。
そうゆう曖昧に誤魔化そうとする言葉を言うくらいなら何も言わない方がましだ。
今が良いタイミングなのかもしれない。
俺は足に力を入れると一気に地面を蹴った。
「!!!!」
ナイフを喉にむけて。
こっちに気づいたアカラギはなんとか喉を切られるのを防ごうとする。
「無駄だ!!!!」
喉にナイフを刺した。
これで時を止める事はできないはず。
「かはっ!」
口から血を流し始めた。
いい気味だ。
しかし痛みを感じてないかのごとく俺の肩を思いっきり剣で刺して来た。
「うああああ!!!!」
何処から剣をだしたんだ!?
能力だろうか。
アカラギの方を見るとニヤリと笑っていた。
その目は絶望に満ちていた。
「え?」
身体が、動かなくなった。
重い。
まさか、能力なのだろうか。
まずい、非常にまずい。
このままでは殺される。
このままでは本当に殺される。
胸に剣を刺されたら終わりだ。
アカラギはペンを構えた。
ペン…?
ペンはみるみるうちに刀にかわる。
その長さは簡単に首を斬れるだろう。
俺の身体は全く動かない、石にされたみたいだ。
もう終わりだ。
そんな気持ちを遮るかのようにパァン!と乾いた音が鳴った。
銃弾だ。
銃弾はアカラギの頭を貫く事はなく手にあたり、構えていた刀はアカラギの手元から落ちた。
「ハルトさん!!はやく!!!!!」
それを合図に俺の身体が軽くなる。
アカラギの落とした刀を即座に掴み
「さよなら」
アカラギの首をはねた。
それは呆気ないほどに簡単にとび、地面にドサリと落ちた。