17
少しするとハルトが帰ってきた。
服には血が、付着している。
「次はアカラギだ。」
「…ハルトさんは、人を殺すのが楽しいんですか?」
声が震えている。
そりゃそうだ。
いつ殺されるのかもわからないのに。
使えなくなった時はあっさりスパンと首を切ってるだろう。
「殺したいとは思わないよ。」
「仕方なくなんて理由になりません。」
「お前が思っている以上に人はすぐ死ぬぞ。」
何も、言えない。
「行くぞ。」
握った手はとても冷たく感じた。
「あとさ…手つかんでくんの止めてくんね。」
「え?ハルトさん…照れてるんですか?」
ハルトの顔をみるととても青ざめた表情をしていた。
「女は嫌いだから…」
なんか…
「可愛い」
「死ねよ」
この人になれていっている自分がなんとなく怖く感じた。
アカラギのすぐ、そばまできた私とハルトはビルとビルの間に隠れている。
隙だらけの時に行かないと間違いなく殺されるらしい。
それもそうだ、相手は時を止めれるし剣も使える。
そして何よりハルトさんが胸を一突きされたら終わる。
あの人に触れられている間は能力は使えない。
つまり胸を貫かれたまま死ぬのを待たれると終わりなんだ。
「お前はここからでるな、殺されるぞ。」
「そんな…」
「お前がここからでたところで役にたつとでも思ってるのか?」
言葉が胸に突き刺さる。
「ハルトさんが死んだら、私は殺されるのを待つしか、ないんですか?」
何故かぽろぽろと涙がでてきた。
ふとハルトの手が、私の頭を撫でた。
ただ、無言で。
「護身用のナイフだ、じゃあな。」
ただ、無言で。