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幕間2 神改め悪魔のその後

「なぁーもういい加減見つかってもよくね?どこ行ったの俺の魂の欠片」


「中々見つからないですねーどこいったんでしょー本当にー」


ミナマエがグリーンドラゴンと戦う少し前、相変わらず魔神と下級悪魔は魔神の魂の欠片を見つけられずにいた


「痛い…一思いに殺せ…痛い…」


「これで何度目だ…もう何年経った…まだ穢れは落ちないのか…」


以前と違うとすれば、魔神と下級悪魔の前に、瀕死の人間が二人いることか

ここは地獄

死んだ人間が、魂の穢れがなくなるまで悪魔たちに弄ばれる場所である

今日も今日とて、悪魔たちは人間を嬉々として拷問にかける

地獄に落ちた彼らの肉体は、彼らの魂の穢れが落ちきるまで、何度壊れても再生する

精神が壊れようと、肉体が壊れようと、彼らは終わることが出来ないのだ

永遠とも言える時間の中、ただただいつ終わるとも知れない痛みと苦しみに晒される

悪魔は生物の血や絶叫、絶望は何よりも大好きなものなのだ

まさに、悪魔にとってここは壊れる事の無い玩具が無限にある夢のような場所だ


「いやー流石にもう見つかってもいいんじゃない?って思うわけよ」


「でもー現実見つからないわけですよねー」


魔神と下級悪魔は談笑しながら、ごく自然に人間の眼球に焼きごてを突き刺す

人間の絶叫と、肉の焦げる何とも言えない臭いが辺りに漂う

人間の眼球には依然として焼きごてが刺さったままであり、その目は破壊と再生を同時に行い続け、常に新鮮な痛みを人間に与える

叫ぶ人間の喉からは悲痛な金切り声が聞こえ、叫すぎて喉が擦り切れ、それでも声にならない声を張り上げ続ける

魔神と下級悪魔は、そんな人間の絶叫をBGMに会話を続ける


「そうなんだよなー見つかんないんだよなー…悪魔の誰かが拾ってたらもう何かしら騒ぎになってるはずだもんな…あ、壊れちった」


絶え間ない破壊に耐えきれなくなった人間の頭が力無く垂れ、口からはだらしなく舌が飛び出ている

魔神は焼きごてを引き抜き放り投げると、まるで飽きたと言わんばかりに、人間の首を無造作に掴むと、まるでゴミを投げ捨てるが如く、その辺にぶん投げた

地面に叩き付けられた衝撃で頭は割れ、地面に赤い花が咲いた

人間の肉体はすぐさま再生を始めるが、魔神たちは既に見向きもしない


「ほんと、何処行ったんだか、別に無くてもたいして困んないけどさ…お?」


「んー?どうしたんすかー?」


「いやなんか、俺の力をどっかから感じて――まさか!」


魔神は服のポケットから小さな瓶を一つ取り出し、その中を覗き込む

瓶の中には、ビー玉のような丸い球体が入っており、まるでラムネの瓶のようだ


「魔神様ーなーんすかーそれー?」


「これはな、人間共が行った異世界の一つだ、いやーまさかこんなところに行ってたなんてなーこりゃ見つかんねーわけだわ」


「えー魔神様ー一人で納得してないで私にも分かるように説明して下さいよー」


「えー…今ので大体分かっただろうがよーまったく…んーとだな、異世界送りにした人間共いただろ?その中の一人が俺の魂の欠片をパクりやがったんだよ、何時の間にかな。んで、今そいつが俺の力を使ったんだ、だから分かった」


「おーなるほどーそんなこともあるもんなんですねー偶然ってこわいっすねー」


「まったくだよ、まぁ場所が分かったから安心したぜ」


そう言って魔神は瓶を再び服にしまい始める


「あれ?せっかく見付かったのに回収しないんですかー?」


「あぁこれな、こっちからこの中の世界には干渉出来ないように出来てるんだよ、俺でも無理だ。だから、この世界に行った人間が死んで出てくるか、マイナス点を無事返済して出てきたところを回収するんだよ」


「へー魔神様でも無理なこともあるんですねー」


「そりゃそうだ、俺だって万能じゃないからな…ま、とにかくこれで一安心だ」


「これに懲りたらーもう訳わかんない遊びは止めたらどうですー?」


「ばっか野郎お前悪魔から遊びを取ったら何が残るってんだよ、また何か面白そうなの思い付いたらやるぜ。てかお前だってたまに意味わっかんねー遊びやってんじゃねーか、それと一緒だ一緒。何だよ人間生け花って」


「あーあれ見られてたんですかー恥かしいじゃないですかーもー…でもいい出来だったでしょー?」


「駄目駄目、腕とか足をもいで土に生けるって発想が駄目だな、俺なら無理な体勢ででっかい鉢植えに立たせて、動いたら殺す、24時間動かずに耐えられたら刑期一年短縮とかそんなふうにするな、やっぱ何でもゲーム性が無いとな」


「あーなるほどー面白そうですねー今度一緒にやりましょー」


「おう、どっちがより芸術的な作品を作れるか勝負だ」


「ふっふー、魔神様相手でも負けませんよー」


「お、言ったなーっはっはっは」


「ふっふっふー」


地獄には、今日も魔神と悪魔の愉快な笑い声と、人間の悲痛な叫びがこだまする

ミナマエ君に、善行を積んで点数を稼いでも結局魔神様に回収されてしまうというフラグが経ちました

でも前からどうせ魂が綺麗になったらおいしく頂かれる予定だったからあんまり変わんないね、良かったね

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