level0 最初からクライマックス
ノリです!
魔界。
そこはだれもが一度くらい聞いたことある世界。
ゲーム、漫画、アニメなどでよく見たり聞いたりするあれだ。
行ったらさぞ刺激的な毎日が送れるだろう。退屈なんてまずしなさそうだ。
モンスターを倒したり、魔王を倒したり、お姫様と素敵なラヴロマンスをしたり、世界の半分をもらったりしたいといろいろ空想したものさ。
だって!高校生だしな!だって高二の夏は一度なんだから!
だがしかし、憧れてただけで本当に行きたいわけではないんだ。あると思ってないし
しかし、今俺-勇紗巴は魔界にいます
そして
魔王とラストバトルの真っ最中です!
「ちょこまか逃げるな!人間」
そんな声が耳元で聞こえるたびになんかすごい音が聞こえ、寿命が縮む。
「うるせぇ! 逃げないと俺の人生がデッドエンド確定だろうが!」
「ワシにとってはハッピーエンドだな! ガハハハ」
笑いながら丸太のように太い腕を振り回しながら迫ってくるヒゲダンディー-魔王。体なんか身長160センチある俺の優に三倍くらいある。こんな背がバカデカイオッサンに追いかけられるなんてどこの地獄絵図だ!
「ちょっと勇者! なにやってんの!さっさとパパの首をスパーンと跳ねちゃってよ! スパーンと! 」
カン高い声のほうに視線をむけると真紅のドレスを着た金髪ツインテールが声援?らしきものを送ってやがる。
「あのね?アル様。あんた馬鹿か! 竹刀で首を跳ねれるか! 」
竹刀をぶんぶん降って斬れないアピール。君に届けこの想い!
「なんで!? シナイって勇者の伝説の武器でしょ?ぶったぎってよ」
頭の上に疑問符を浮かべ首をかしげるアル-アルナリッヒ。くそ!届かなかった。しかし
なんて可愛らしさだ
「竹刀は剣道に使うものであって人を斬るものじゃ、うぇぇ!」
魔王の拳を紙一重でかわせた。俺の運使いきったかも。
「そんなショボい剣でワシが斬れるわけないだろ! というか魔王だぞ! 弱っちい人間なんかと一緒にするでない!」
そりゃそうでしょうよ。アンタの拳、かわすたびに石畳壊してますからね。人間には無理ですからね。竹なんて一撃でしょうよ。
「斬れ勇者! 斬って血の雨を降らすのよ!」
おそろしいことを言いやがる。
「くっ、アルナリッヒ。そんなにもパパが憎いのか!?」
魔王-パパ上が文字通り血の涙を流しながら娘に叫ぶ。なんか不憫だなぁ
「憎いというか、魔王の座をとっととアルに譲りなさいよ!勇者やっておしまい!」
拳を振り回すパパ上にビシっと悪の女幹部のごとく指を指すアル。
「ぐ、ぐぉぉぉぉ! 我が娘をたぶらかす勇者!許すまじぃぃぃ」
理不尽なことで怒りのボルテージが、上がった!
「た、たぶらかされたのは俺のほうですよ!パパ上!」
「きさまぁぁぁなどにぃぃぃ!パパ上とよばれたくないわぁぁぁぁぁ!」
あれ? 火に油注いじゃったかな?
「勇者! 覚悟ぉぉぉぉ!」
「斬れ!勇者!クビチョンパだ」
唸る豪腕。響く罵倒のような声援。
「俺の‥‥俺の普通の生活をかえしてくれぇぇ!」
もうこれは叫ぶしかないよね