Last Cross Online‐ラスト・クロス・オンライン‐

『――――少年よ、元の世界を見てみたくはないか?』　ヴァーチャルリアリティの技術が始めてお披露目された2054年。それから、数年の時が経ち純日本産のゲーム開発会社、レグルスによって新たなVRゲームのβテストが開始された。　その名は、【Last Cross Online(ラスト・クロス・オンライン)】通称:LCOと呼ばれるゲームだ。　『世界に散らばった属性のクリスタルを集めよ』という既出のVRMMORPGとは、少し変わったストーリー性から脚光を浴びたゲームだった。　そのゲームに幸運にも弟がベータテスターの権利を二人分入手した事でベータテスターとなれた柊太一【男】は、ネカマ不能と呼ばれたこのゲームでログインすると美少女のアバターになっていた――。　そして、VRゲームを荒らし回る"ある組織"。　コアサーバーのシステムが改変された事で加えられた新たなる制約、『戻らずの交錯【アンリターンズデッド】』。仮想世界での死が現実での死に直結しない代わりにそのアバターの熟練度とアイテムを全て初期状態に戻し(消去)し、熟練度が溜まっていた武器の使用を禁ずるという凶悪な制約と共に現実世界へログアウト不可能となったLCOの世界を太一たちは、駆け抜けていく。