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猫科人科目。  作者: 黒字
8/35

8.事実は奇なりと申します。

暗示。


昨夜の夢もどきは『私の力が十分整いました。もう直ぐこの姿で会いに行きます。』と云う暗示なのだそうだ。


ベッドの上で突っ伏して丸くなる(現実逃避状態中)。

(むー。あれでは困る。あのままでは困る。あの感覚は一糸纏わぬ姿だったよねー。あー。フェイに見られたのかなー。あー こっぱずかしい。)

フェイはお城に「精霊石」を取りに行くと言って出かけて行ったし。

ララァも急な買い物が有るとか出かけて行ったし。

シャァドは(今日に限って)次々と来る商人さんとの接客で忙しそうだし。


今日は放っておかれて嬉しいです。




所詮猫。考えるとか悩むとか出来ません。何時でも何処でも眠れます。





窓から色取り取りの沢山の花びらが舞い込む夢を見ました。

(最近よく夢見るなぁ)





「ん・・・」

髪を優しく撫でられてる気がする。すごーく優しくて心地好い。

そーっと目を開けて見る。

「フェイ」

ベッドの端に腰掛けて私の髪を撫でている。

「起こしたかな」と言いながら額に頬にくちづけが降り注ぐ。

「・・・んっ」やさしくキスをされ・・・彼の首に自分の腕を回す。

自分の腕・・・白くて綺麗だな・・・what?


「わぁー!!」

自分の声にビックリして自分で自分の耳を塞いでしまう。

(元に戻ったのか?ヒトになったのか?化け物になったのか?誰か教えてくれ!)

耳を塞いだ手を解かれる。

「お帰り、ヒカル。」

「・・・フェイ。フェイ。フェイ!」涙がポロポロ零れ落ちた。


私の叫び声に慌ててララァが飛び込んできた。

ベッドの上で毛布に包まりフェイにしがみ付いて震えている『私』を見つけ、最初は驚いて、でも直ぐに喜んで、また慌てて部屋を出て行った。

僅かの時間で戻ったララァの手には沢山の着替えがあり「ヒカル様、お手伝い致します。」と言ってこの部屋の主人を追い出したのであります。




それから約一時。

バン!という勢いのある音を立てて寝室の扉が開いた かと思ったら、嵐の様な質問攻めにあったフェイであります。

「私の黒髪黒目は何処に行った!何で違うんだ!どうして言葉が通じるんだ!お前は何者だ!何故幼くなってるんだ!ここは何処だ!どうして私はここに居るんだ!私の体を返せぇー!」

フェイさん不敵な笑みを湛えてお出迎えして下さいました。隣の部屋だけど。

(まず落ち着け自分。)



背恰好や体の作りとかの基本情報は合ってると思われる。今までの自分から色素と云う遺伝子を取り除くとこうなるかな~?位の納得は出来そうな気もする。

真っ黒で肩まであった髪の毛は銀色。長さは同じ位だけど、クルクルと内巻きになってて顎のライン。(おしゃれで巻いた訳では無く、どうやら癖毛らしい)

瞳の色も真っ黒だったはずが、青と紫のオッドアイ。(猫なら納得なんだけどさ、人でオッドアイってどーよ 猫科人科目かしら)

で、どちらかと言うと色黒肌だったのが、色白。(自分で言うのも難だけど、抜けるような白い肌。めっちゃ綺麗なのよ!羨ましいわ)

元々小柄で顔も小さく童顔。シミは有るけどシワは無かったので若く見られがちだった。そんな私から色素を抜くと、多分、若く見えると思われます。(自己分析しんどいわ)

鏡を前に私がした事。顔を引っ張ったり抓ったり。髪の毛も引っ張ったりかき上げて地肌を確認したり(ヅラかと思ったのよ)。下着姿の体をまじまじと眺めぽっちゃりお腹を摘まんでみたりもした。(そうそう、気が付いた時は丸裸で毛布を巻きつけた状態だったのよ。フェイに見られたのかな・・・後で聞いてみようっと)


ララァが用意してくれたのは(急いで買い物に行ったのはこの為だったらしい)かぼちゃ型のパンツ(おへそまであって楽ちん)お馴染みのブラに近いけどワイヤー無し綿100%の胸当て(妊婦さんが使ってたのに似てる)その上に膝丈のキャミソールと言うよりシュミーズ(古っ)って感じのインナーを着る。胸元にレース入り(絹だ!すごーくサラサラして気持ちいいぞ)ここまでは全て白。

次に着せられたのはすみれ色のAラインワンピース。丈は脹脛の下、足首が見える長さ。ふんわり膨らんだ七分袖、胸の下で切り替えが有り紐で調整できる。紐の色は白。胸元はスクエアーネックでインナーの白いレースが覗いて可愛らしい。白いレースの短めソックスに黒のワンストラップの靴。

何だか萌えるよ。鏡の中の自分。横で連続溜息のララァが萌え死にしそうだ。「ありがとう」と洋服の事や今までの感謝を込めてお礼をしておく。追い打ちをかけたようです。

驚いたり喜んだりしながらのお着替えは大変エキサイティングでした。




私の変身で大騒ぎとなった為、この後遅いお昼を頂くことになりました。


やっと人になったヒカルちゃん。聞きたい事も話したい事も山積みです。

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