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猫科人科目。  作者: 黒字
4/35

4.良薬は苦い物です。

困惑している私を他所に、フェイと一緒にお風呂に入っています。

何故だ!?

確かに臭い。何故臭い。と思いながら寝ていたのは確かである。

起きたらシャワーだな。何だか体がだるいし。そんなに飲みすぎたかな。などと夢うつつにもぞもぞしていると、「おはようございます」と声を掛けられた。

私の口から出てきたお返事は「にゃ~」である。

あーうー説明プリーズ!


「ヒカルの時【次元】から私の時へ移動する時、そなたが手を離したから悪いのだ。」

「にゃ?」(手?)

「一緒であればそなたも人のままで来られたのだが、別になったが為に自分で私の道筋を探さねばならなくなったのだ。ヒカルの時【次元】では霊力の補充が出来ぬ。身の内に持っておった霊力を使い果たした為小さき物に姿を変え、私の時より遅れて辿り付いたのであろう。」

「にゃおぅ・・・」(知らないし)

「私の作った道筋だから必ず私の元へ来ると確信しておったのだが、一晩待っても現れぬ。何処かで迷ったかと思い探しに赴く為、寄合いを抜け出し馬車に乗ったのだ。出発する様声を掛けた矢先、私の前に辿り着いたのだよ。」

「・・・・・」(で?何があったのよ)

「・・・受け止め損ねてな。私の手の上を弾いて石畳脇の溝に落ちてしまったのだよ。すまぬ。」

『肉きゅーパーンチ!』(お前、強制同伴に失敗したのか。格好悪いし。そんでもって黒猫じゃないし、灰色になったし、臭いし、サイテーだぁ!)ぺしぺしと顔面攻撃をしてみるが子猫なので威力無し。

思いっきり落ち込んでいる私を宥めながら、薔薇の香りの泡で何度もやさしく洗ってくれました

(何度も洗わないと綺麗に成らなかったという事実は聞かない事にして下さい。)



のぼせてグッタリ、現状聞かされてゲッソリ。

そんな私を待女のララァさんが親身にお世話をして下さいます。

折角綺麗になったのだからと、床は可哀想とテーブルの上でミルクを与えて下さいました。

(躾け上は宜しく無いよね。でも中身は猫じゃないし。うふふふ)


先程「猫では無い」と言う旦那様の言葉に瞳を輝かせたララァとは、間違いなく友達になれそうな気がします。


「んーーーっ」と伸びをしながら欠伸をしてみる。

たっぷりミルクを飲んだら睡魔に襲われ、そのままテーブルの上で突っ伏す様に寝たように思う。イケナイ、ココデネテハイケナイ。良心の呵責に少しの格闘の末、1歩踏み出したはずだが後の記憶が無い。


辺りを見回してみる。(朝目覚めた時の部屋では無いなー、だってあのでっかいベッドが無いし。)

天井には装飾が控えられたシャンデリア、使い込まれた木目のチェストやテーブル、鮮やかな青色(凝った折柄入りで手触りが気持ち良い!)ソファーが3つで、1人掛けが2こ5人は座れそうなのが1こ、大きな窓にはソファーと同じ青色のカーテンが脇に一纏めにされている。全体的に素気ないが気品のある男性らしい趣味の部屋に、結構居心地が良かったりする。(僅かだけどタイムの香りがするなぁ)

私はその青色の1人掛けに白い刺繍入りクッションを布団にして寝ていたようだ。(1人掛けにしてはでかいよね~3回転がっても余裕あるよ~こっちの人どんだけデカイのかね)

窓の外はピンク色の夕暮れで、随分寝ていたんだなぁーと戸惑いつつ、外の様子をもう少し見たくて背伸びをしてみる。 けど届きそうもない。(何でこんなに小さくなったかな・・・)

等と考えているうちにまたもやうとうとと睡魔に襲われかける。


サーっとカーテンを引く音に耳がピクピクと反応する。

「ヒカル様、お目覚めになりましたか? そろそろお夕食に致しましょうね」

そ~っと声を掛けてくれるララァなのだが、如何せんまだ眠い。丸まって聞こえない振りをしてみたが、「体力を付けなければいけませんよ」とやさしく持ち上げられる。

台所まで連れて行かれると、椅子の上に置かれ「ちょっと待ってて下さいね」と言い残し、大きな鍋の前で配膳の準備をしている。

香ばしいパンの香り、野菜スープのやわらかな香り、猫の嗅覚にはエライ刺激的です!

(やっぱりお腹すいたかもー。)と催促してみる。「にゃ!」

ララァがニコニコしながら具無しのスープを深めの皿に入れて持ってきてくれる。

あらかじめ冷ましてくれていたようで、少し暖かくて飲み頃です。(ありがとう~)

ララァの分も整い一緒に夕食です。相変わらず私はテーブルの上でお食事です。(やっぱり行儀悪いかな・・・)

私が作っていた手抜き料理とは程遠い美味しいスープを飲んでいると、すっと横から小さなスプーンが目の前に飛び込んできた。一見するとパセリ多めのマッシュポテト?みたいなペースト状。ミントの様な香りが仄かにします。

「疲労回復の薬草スコットです。体が楽になりますよ。」とにっこり薦められるので、大きく口を開けて食べさせてもらう。味わった途端、体中の毛が針のように立って固まった!(にーがーいーーー!涙出るーーーーー!良薬は甘い方がいいってば!)涙目の私に、急いで水を持って来てくれたララァは満面の笑み。「偉いですよ」と褒めてくれました。


ララァの片づけが終わるのを椅子の上で待って、今夜はララァのベッドで一緒におやすみです。ララァの金色の長い髪とほんのりピンク色の肌からはバニラのようないい匂いがします。薄緑色の瞳に感謝を込めて「にゃ~う」(おやすみ)です。


4話まで連続投稿してみました。続きは校正してからになります。

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