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猫科人科目。  作者: 黒字
33/35

31.人は見た目では判断出来ないものです。

「ドール!シア!これに着替えて頂戴!」

「サン・・・また作ったの?」「今度はどんなのかしら!」

「乗馬服よ~♪」

最近サン(サンディカ)は良く遊びに来るようになりました。

それはシアとも気が合うからだと思います。そのシアは週の半分は私の家で過ごしております。待女の方も一緒に来て、ララァから料理を習っております。

「これ着易いよ!フェイに作ったやつと似てるね」私の乗馬服は七分袖で袖の折り返し部部と襟の裏がドット柄、パンツもゆったり目で七分丈で折り返し部分とポケットの裏側がドット柄であります。以前、フェイ用に頼んで作ってもらった洋服とそっくりの女性用です。フェイのは柄部分を千鳥柄にしてもらいました。

「男性用の七分ズボンが凄い評判が良くて注文が絶えないのよ!ドールのお蔭ね。だからお揃いでドールの分を作ってみたの。これはプレゼントよ」とウインク付きです。

「ちゃんと報酬貰ってるよ。でも嬉しいな」最近の私はサンのデザイナーとして仕事を頂いております。日本での服装を基本に動きやすい服を教えてるだけなのだけど、それって基本こちらでの男性服になってしまいます。それが思いの外好評だったりします。

「そう言えば神官のジローさんも七分ズボン履いてたよ。可愛かったな」

「ジローさんはお得意様よ!でもあの人センスが悪いから困るのよ」

私とフェイが着ている洋服がお城の人達に好評で、一部の人にサンを紹介しました。(だって宮廷専門の仕立て屋がいるから大っぴらには宣伝できないんだよ)どうやらその時にジローさんとレオンさんの奥様に気に入られた様です。



シア用の乗馬服はとても優雅です。(何故かな?)

七分袖のゆったりとした袖付けに見頃、襟は立ち襟で少し小さめです。ズボン丈は同じ七分だけど折り返し無しで小さなベルトで絞る形になってます。シャツの裾はズボンに入れて太目の編み込みベルトで絞ります。

「シア!素敵だねー」

「これは大変着心地も良くて、楽ですわ!」と大喜びです。

「胸を余り締め付けないデザインにしたのよ。楽でしょう」とサンもいろいろチェックしております。どうやら商品化を目論んでいる様子です。

「胸・・・ね。だから私のは違うんだ」自分の胸を見下ろして少し凹みます。

「ドールはそのままでいいのよ!少年っぽいのが可愛いんだから」

「そうよ。大きな胸のヒカルなんて気持ち悪いわ」(あんまりだ)

「なんなのよ!二人共!褒めるか貶すかはっきりしてよー」


胸の大きな二人には何を言ってもしょうが有りません。そう、サンの胸もデカいです。大柄な体格に合う位に大きいです。これは豊胸術でも何でもなく自然な胸なんだそうです。こっちの世界でも稀にハーマフロダイト(半陽陰・双成)が生まれる事があり、男性女性の区別が無い性別として知られているのだそうです。サンの場合は私は女よと言っておりますので、心は本人の属性に任せている次第です。

さて、シアが何故サンを直ぐに受け入れたのかは彼女の友人にもハーマフロダイトの男性が居るかららしいです(その人も仕立て屋なんだって、それも帽子専門らしいです)。シア自身も見た目で人を判断する人間では無いので、彼女も至って普通に接しております。神様も受け入れてくれる人の傍に置いてくれているのだと思ってます。だって一人きりは誰しも寂しいじゃない。ね。


「シアのも試作品だからプレゼントするわね。沢山着て宣伝して頂戴」シアにもウインクがサービスされました。

ふっとだけど、日本では定番のジャージ(スエット)を教えたらどうなるだろうと少し考えて見る。おっさんとおばたりあんの巣窟になる図を想像して、自分の心の中で脚下した。


色鮮やかな端切れを手渡し、サンは仕事が残っているからと言って早々に帰って行った。


私とシアは先程までの作業に戻ります。

「えーと、ヒカル、ここはまつり縫いでしたわね」そう言いながら針と糸で縫い始めます。

「そう。出来るだけ細かくね」シアはシュシュを手作りしているんです。それもユゥイの為に。しかしここまで不器用な人も珍しいと思いますよ。1個のシュシュを作るのに3日目って凄くありませんか?いや、正確には数個作ったのですが人に差し上げるには少々難点が御座いましてね。結ぶときに輪を広げると縫い目がほどけたり、縫わさってなかったり、糸を引きすぎて伸びなかったり等。

学問の国の王女様なので、頭はとびきり良いですよ。10個近い学校を卒業されてますからね。今は私の先生もしてくれてますしね。

しかしお裁縫が苦手だったようです。後、料理も出来ないらしいです。まぁ、王女様だからね。今、シアの指先は針で突いた小さな傷が無数に有ります。それでも一生懸命作っている姿は可愛いです。

たまたま端切れの中から見つけた水色の生地。それを手に取って、「ユゥイの瞳の色だわ」と言った時から始まったシュシュ作りはもう少しで出来上がりそうです。

「ヒカル!出来た!」そう言いながら自分の髪に結んでみてます。

「うん。上手に出来てる。じゃぁこれも一緒に」と言ってピンク色のを手渡します。

「ありがとう!凄く嬉しい」そう言ってはしゃぐシアの手を握り、傷が治るようにと祈ります。うん。これで大丈夫だね。

「ヒカルの治癒をこんな事で使わせるなんて申し訳ないわ」と頬を少し赤くして俯いてしまいました。

「気にしないで、これも練習だからさ」とジローさんに言われた練習のついでだと教えておきました。



シアは身の回りを簡単に整え城へ行く準備を始めました。

「ハルちゃんの準備してるね」私は馬屋へ向かい、ハルに鞍を付けて準備をしておきます。ハルちゃんとシアは意思の疎通は出来ませんが、何となくの感情は感じる事が出来るのだそうです。

{姫、ガイアが寂しがっておりますよ}だからハルちゃんはシアと仲良しだ。

「えー昨日お城に帰ったばかりじゃない」

{ここの居心地が宜しいのでしょうね}気持ちは分かるけどさ。

「明日迎えに行くって言っておいてくれる?」

{伝えておきます}出てきたシアを見つけて嬉しそうです。

「じゃあ気を付けてね!」そう言って送り出しました。

私もシアも個人で行動する時は馬を利用します。フェイもユゥイも初めは駄目だと言っていたのですが、上のお姉さまローズ様が馬でお出かけになっていると言う話を聞き、お姉さまからの口添えを頂いて了承となりました。お姉さまから馬の指導も受けましたから公然の約束事になりました。私の場合殆どフェイと一緒なんですけどね。



ぐるっと玄関を回って庭へ行くとフェイとシャァが崩れかけていた塀の補修をしています。自分の家の事は自分達で結構する物なんですね。とても逞しく思います。

「皆行ったか」

「うん」

「久しぶりに静かになるな」ズボンの埃を払いながら立ち上がる。

「あ・・・ごめん」フェイのズボンに穴を見つけた。可愛い。

何気なく謝ったが、来るのはフェイの身内が殆どでそれ以外はサン位だよな。

「何故謝る」少し機嫌が悪くなる。

「騒がしいのは苦手なのかと思って」毎日誰かが来るのはどうしようも無い。

「ヒカル様が来る前までは毎晩の様に酒盛りしておりましたよね?騎士の方々と」とシャァがフェイを見る。

「今は来るなと言っておる、が、そろそろ痺れを切らす頃だろうな」フェイも笑ってる。

「えっ、そうなの。なら良かった」と笑顔に変わる。

ヒカルの腰を引いたまま芝の上へ腰を下ろし寝転がる。

「賑やかなのは楽しい。お前の笑顔が見れるからな」旋毛にキスをして見つめられる。

「じゃぁ、もっと楽しまなくちゃね」

二人で青空に浮かんだ雲を見つめて笑った。



サンディカPART2です。お楽しみ頂けたでしょうか。

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