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猫科人科目。  作者: 黒字
21/35

20.類は友を呼ぶと申します。

パチっと目を覚ますと、隣には丸くなって寝ているルナが居る。

「ルナ、おはよう」

{良く眠れましたか}(薄目を開けてちらりと私を見てる)

「あれは、夢なの?」

{ヒカル様が会いたいと思う方の夢へお連れ致しました}(丸くなったままだし)

「それでなのはと話す事が出来るのね」

{その為に参りました}(目を開けてじっと見てる)

「私が一人で夢を渡るのを心配したんだね」

{森の主にあなたを守るように頼まれました}(そうだったんだ)

自分が夢を渡っていると確信は出来ないでいた。それでも時々なのはやみよちゃんの夢の中で佇んでいる自分を見つける事があったから、気になってはいたのである。

(なんだか、人から外れて来てる気がするんだよ最近)




自室でソファに掛けて窓の外を眺めていた。今日は何もする気になれず只外を眺めていた。

「ヒカル様、お茶をお入れしましょうか」ララァが心配している。

「ううん。今は要らないよ。少し疲れただけ」傍にフェイが居ないのが少し寂しい。

「少し顔色が良くありませんね。ハーブティーを入れて参りましょう」そう言って出て行った。

それから間もなくして、馬車の音が鳴り響き慌ただしい足音が近づいて来た。

「ヒカル!遊びに来たわよ!」シアの声と共に明るい風が舞い込んだ。



シアとはあの後会えなかったので、言付けを頼んでおいたのであります。

「仕事は片づけて来たわ。一応アイテールからの使者としての務めは果たして来たのよ」

「急がなくても私はここに居るよ」(多分お兄様に書類を渡して来ただけだろうな)

「ヒカルは私に会いたくなかったのかしら」(聞きたい話は山ほどあるよ)

「まさか!あの夜は探したんだよ。何処にも居なくてさ。ユゥイもね」ニヤリと笑ってみる。

「あの・・・それは・・・」見る間に赤くなるシアが可愛い。

「ユゥイと話が弾んでしまって、気が付いたら外が明るくなってて・・・」真っ赤であります。

「ふーん。呼び捨ての仲になったのね。」(なかなかやるじゃんユゥイ君)

「王子とか様とか付けると口を聞いてくれないのよ」頬を膨らませるシアも可愛いです。



さて、彼女の話ですが、どうやらユゥイは数年前からシアの事を知っていたという話です。

ユゥイは地質学者で鉱物学を研究している学者さん。精霊石や鉱山の成分や結晶構造などを調べているそうで、その為にいろいろな国へ出向くことがあるのだそうです。


精霊石(鉱山)は瞳の数だけ種類が有ると言われていて、茶=癒し・緑=見通し・青=力・紫=治癒と大まかに分類されている。しかし色の強弱や私のように二つの色を持つ者も稀にいる為個々の能力にも差異が有る。心の安定と力の安定を保つ為にお守りを持つと言われているらしいが、どの程度の安定が必要なのか等調べているのだそうだ。


実は私のお守り(精霊石)もユゥイに頼んで探してもらったと聞いている。とても珍しい石で濃紺から紫のグラデーションになっている物で、比較的小ぶりな卵型だが以外と重量がある。

一般的には『真宝商』(まほうしょう)と言われる商人から購入するのだそうですが、ユゥイはその関係の研究者なので一緒に採掘に赴く事があるのだそうだ。


その仕事の関係でアイテール国にも頻繁に訪れており、シアを何度か見かけていたと言うのである。フォレスト国の王子である事を言わずに訪れていた為(研究者と言っていたらしい)声を掛けずに只遠くから見ていたらしい。ユゥイにしては珍しい行動である。(多分)


「私が成人を迎える事になったので、今年初めてこの夜会に参加する事になったのよ。本当は父も母も一緒の予定だったのだけど、お兄様が怪我をしてしまって政務が滞りがちになり仕事の片づけで来れなくなってしまったのよ」(なるほど)

「ユゥイはそれを知ってたのね。だから厩舎まで探しに来たんだ」

「ええ。一人では心細いのでは無いかと心配して下さって・・・」(チャンスだものね)

「それで朝までずーっと一緒だった訳ね」ふふふと笑ってしまった。

頬を染めるシアは可愛い。ユゥイの気持ちも分かる。

ユゥイは決して遊び人では無い。只女性の扱いに慣れているだけなのである。それは生まれた環境と容姿のせい。末の3番目と言うのもあり可愛がられた結果だと思う。

「あのね・・・お付き合いを申し込まれたの。私が国へ帰る時に一緒に赴き、両親へ正式に申し入れたいと言われたの」とても幸せそうに微笑むシアはもう決心したのだろう。

「おめでとう シア。」ピンク色の頬にキスをしてあげた。



どうやら今夜もフェイは戻らないようである。

なので、シアがお泊りする事になりました。シアは大喜びで大はしゃぎです。

急な事なので、二人で客間の準備を始めます。客間は私が普段生活している塔とは別棟にあり(意外とデカイのよこの家)余り使われる事も無い為倉庫と化してます。ララァもシャァも気の毒がっていたのだけど、これもまた楽しいものです。シアと一緒に来た待女の方もなかなか頼もしい方で私達の先生の様です。「シーツはピンと張って下さい」「雑巾は固く絞るのですよ」「力を合わせて持ち上げて下さい」などなど。高校の合宿を思い出してしまいます。シアと一緒に部屋のレイアウトを決めて自分達好みの部屋へと大改造となりました。


「私の部屋に寝室があれば何も問題なかったんだよねー」等と言いながら片づける。

「それだけフェイ様に大切にされているって事でしょう」(大切かぁー)

「嫌、信頼されて無いのかもしれないな」腕組みして考えてしまう。

「信頼されない事でもしたの?」(まぁいろいろと)私の苦い顔を見てシアが大笑いしている。



埃だらけになった二人はララァに湯殿に追いやられ、シアのメリハリボデーにまた苦い顔をしてみる。背中の流しっこをしたり、髪の毛に泡を立ててソフトクリームと言って遊んだり、上がる頃には二人とも逆上せ気味だった。


食事も皆で楽しみ、アイテールでは食べた事の無い料理に感激したり、シアが持って来たお酒(シャンパンみたいな飲み物)を味わったりした。


夜は客間の寝室で一緒に寝る事になり(ベッドはキングサイズです)枕を並べて一緒に天井を見上げていた。シアが起き上がり胡坐をかいて座り話しだす。

「友とはこんなに楽しい者なのかと思ったわ。王族だから限られた人と懇意にしてはいけないと教えられ、必要以上に付き合いをしないできたのよ。一緒に居たいと思った人も居なかったから特に気にした事は無かったのだけど」そう言い自嘲気味に笑う。

「私の周りは年上ばかり、で見たとおり甘やかし放題。こんな風に一緒に居て楽しい友達は初めてだよ」私も起き上がり、ララァが用意してくれた冷たいお茶を入れる。

「ヒカルは甘やかしたくなるもの」くすくす笑う。

「えーなんでさ」少々へこむ。

「ヒカルに出会えてよかったわ。ユゥイにも出会えたしね」とウインクして寄こす。

「ごちそうさま」二人で顔を見合わせてまた笑う。

結局朝方までおしゃべりしてしまい、起きたのはお昼近かったのである。




今日も泊まろうかと話している所に、お城からの使いが来た。

「シア姫様。リィド王子が先日の書類でお聞きしたい事があるそうです。」と。


異世界でも友達は欲しいと思います。出来れば年も近くて気の合う子が望みですよね。そんな思いからシアちゃん登場シーンを増やしました。

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