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猫科人科目。  作者: 黒字
18/35

17.親孝行は思う心です。

「ヒカルは何者なのかしら」(難しい質問よね)

「んーそれって返答に困るのよ。この世界の人間では無いって言っても信じないでしょ?」

「王家の者では無いと言うし、他の国の者でも無いと言うし、ましてや待女でも無い。」(そうなのよねごめんね)


やっとフェイから逃げてシアを探して庭のテラスで謝っている最中なのであります。

「本当ですよ。ヒカルは突然やって来ました」そう言いながら近づき高い目線から話すのはユゥイである。

「ユゥイ王子」(ん?)シアの顔がほんのり色づく。伏し目がちにした顔は下を向いたままである。

「シア姫、先ほどは失礼をしました。ユゥイ・ドラジェ・フォレスト=シーザリオと申します。あの場は楽しく話している所で水を差すのも申し訳無いと思いまして嘘を付いてしまいました。」礼儀正しく謝っている姿は紳士的です。

「いえ・・・余りにも失礼な事を話してしまったのでは無いかと。言葉遣いもあのように・・・」

今にも謝りだしそうなシアの手を取り、口づけを落とすユゥイ君であります。

「気取らずに話すあなたは素敵です。もっと話がしたいと思っているのですよ。」(おっ)

私が居ない間に何かあったかな、この二人。気になるけどいい雰囲気なので退散する。



しかし退散するタイミングを外したようで、数歩先には男性の団体さんが待ち構えておりました。

「姫」「あなたはどちらの姫君ですか」「まるでドールの様な美しさだ」(・・・・・)

なんて答えたら良いか分からず首を傾げてみる。(日本の者ですと言うべきか?)

もう一度反対へ首を傾げる。(フルネームは花篭ひかるですと言う?)

等と考えていたら、後ろ半分を綺麗どころのお姉様方に囲まれる。(おー皆さんデカイ)

「あなたはどちらの方ですの?」「第2王子とお知り合いですの?」「王家の繋がりの方ですの?」(フェイの隣に座ったのは間違いだよねー)

「私の婚約者だ」(やっぱり見つかったか。・・・って、えっ、コンヤクシャっていつ?)

お子様抱っこをされ、そのまま腕に座らせる。要はドール抱きである。

「何度も呼んだぞ」(知ってる。)

「何故返事をせぬ」(聞こえない振りをしたんだもん)

「いーじゃない少しくらい探検したって」膨れてみる。

「デザートが用意されておるが、それも要らぬのかな」

「食べるよ!早く行こう」フェイの首に掴まったまま催促である。

そして「綺麗なお姉さま方、今度はお茶でも一緒しましょうね!」と言って手を振っておきました。

これには周りにいたお兄様方お姉様方も呆れてしまい、こちらの事には興味が無くなった様でそれぞれに相手を見つけて散って行ったのであります。

しかし一人の女性がその様子を只黙って見つめて居たのを誰も気が付きませんでした。



椅子に戻ると、お父様お母様お姉様に囲まれます。それぞれの手にはデザートの盛り合わせの大皿が2枚あります。全部種類が違います!(テンション上がるねー)

3人が順番に私の口にデザートを運ぶ姿は何とも・・・餌付けでしょうかね。周りの方々の好奇の目が物凄い気になるのだけど、お三方は「羨ましいのだ」と訳の分からない事をおっしゃるし。最近この方々に不平不満を言うのは止めました、と言うか諦めました。やはり生きてる年数が違います。度量が大き過ぎます。下手な抵抗は早々に止め、されるがままが1番だと気が付きました。それにね・・・幸せだなと感じてるから。(誰にか分かんないけどごめんね)その内飽きるだろうと思ってるから、それまでは許してね。

その光景を離れた所から見ていたお客様方も、少しづつ近寄り話しかけ始めました。

「国王、この方はどちらのご令嬢ですか」「お名前は何とおおせですか」とか身辺調査が始まった。

「ヒカルと言ってな私達の娘で、フェイの妻になる者なのだよ。」(やっぱりそうか)

私は口の中が一杯で何も反論が出来ない。隣に座るフェイを睨み{婚約とか知らないけど}と頭の中で話掛けてみる。{形式的な事だ}と返事が来る。{身分無いよ}と言ってみる。{ヒカルはヒカルだ}と返って来る。

「飲み物が居るんじゃないかい?」と言って冷たい飲み物を持って来てくれたのはお兄様であります。多分お姉様に使われたんだと思います。

「ありがとう、お兄様」と感謝を込めて笑みを作る。(計画的だな自分)

「可愛いヒカルの為だ、気にする事は無いよ」と笑い返して下さる。

(皆甘いぞ!甘過ぎるぞー!)と大声で叫びたい。


その後、シアとユゥイを探したけど見つからなかった。(はて?)




夜も遅くなり、男性方は親交のある方達とお酒を飲みながら語らっている。女性達も遠くへ嫁いだ娘や兄弟との話に夢中だ。私に気を使って下さる方達に見つからないようにそーっと部屋へ戻る。丁度ララァが夜着の用意をしている所だった。

「ただいま。お腹が苦しいよー。食べ過ぎちゃったな」(お腹ぽっこりじゃん)

「ヒカル様はもっとお食べにならなくては!細過ぎですよ。」と真面目な顔で言われてしまいます。(えー私細くないけどな。お腹もぽっこりだよ)昔より倍近く食べてるけど、快便なので体重に変化が無いのです。少し嬉しいかな。(エヘヘヘ)

この国の人間は皆デカイです。背も胸も尻も手・足全部です。日本人の私からするとアメリカやフランスの人種を見ている感じです。食欲も外人さん並に旺盛です。私より小さくて私より年下って人が居ないのです。今日の夜会でも私より年下なのに私より全てがデカイ女性を紹介されました。物凄くショックだったんだよ。

そんな話をしながらララァと笑っていたら旦那様がお戻りになりました。

「ヒカル、一人にしてすまない」(友達とゆっくりして来て良かったのに)

「気にしてないよ?ゆっくりして来てよかったんだよ」と言ってみるが、一緒に飲もうと言ってワインの様な瓶を持ち上げる。それではグラスをとララァが言いかけるともう片方の手を出して「グラスも持ってきたぞ」と笑ってます。3人で飲んでいたけど少ししてララァは部屋を下がって行きました。




その夜。妙に懐かしい感じの夢を見た。


小柄でやさしそうな女性。その手には小さな赤子。その二人を包み込む眼差しを向けている男性。

別の場所。男性が佇む先には教会。彼の手には赤子。

教会の中。憔悴している彼はそれでも微笑んでいる。その先には赤子。

赤子の額に口づけを落とす、と彼は霧の様に消えて行く。

微かに聞こえる「ヒカル・・・愛しい子」




涙が止まらない。

あれは父と母だ。




「ヒカル あの子はお前だな」

「フェ・・イ・・・ひっく・・・」(見えたんだ)

「暫くこのままでいよう。」そう言ってただ抱きしめてくれていた。

まだ夜明けきらない薄靄の時、ベッドの中で静かに泣く子を心配する様に窓辺に小鳥達が集まっていた。


私が落ち着いた時を見てララァを側に呼び、フェイは直ぐに戻ると言って部屋を出て行った。

ララァは何も聞かず何も言わず側に居てくれた。ジャスミン茶みたいな香りのするお茶を入れてくれ、それをゆっくりと飲むと少し落ち着いてきた。

それから間もなくして、お父様とお母様を連れてフェイが戻ってきた。


「あ・・・着替えてないや」何気に出た言葉に

「私達も夜着のままだから気にしないでおくれ」と言って向かい側へ腰を下ろす。

フェイは私の隣に座り、ララァはお茶を入れに出て行った。


テーブルの上には昨日身に着けていた装飾品が置かれている。装飾品と言っても少なく、髪を結い上げた時のリボンや飾りの付いたピンそれとブレスレット2個だけ。そのブレスレットを手に取りお母様が泣いている。

「これはヒカルと同じ瞳を持つ娘がしていた物です」青色の玉が連なった物と紫色の玉が連なった物。これは夜会へ出る間際にお母様が渡して下さったものだ。

「やっと帰って来てくれたのですね」


ひかるのとーちゃんとかーちゃんやっと登場出来そうです。本当に登場出来るのはまだ先ですが、簡単に説明が出来ればと奮闘中です。

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