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猫科人科目。  作者: 黒字
17/35

16.悪戯も程々に致しましょう。

「もぅー」(ララァの目が怒ってるよ。)

「まずい?」

「あれだけ昨夜は痕を付けないで下さいと頼みましたのに。」(やっぱりか)

私の体中に赤い斑点が散っている。キスマークと言うやつだ。

当の旦那様は朝早くから仕事でお城へ行った後であります。

「このドレスを着て頂きたかったのに。残念ですわ。」と、手にしているのはグレー色の薔薇の花でびっしりと埋め尽くされた柄物のドレス。グレーと言っても単色では無く黒に近い茎から花びらに掛けて薄くなっていく色使いはとても綺麗なのです。私も着たかったな、とは思うけど。このドレス、胸元ぎりぎりまで開いており背中も結構開きます。肩から二の腕に掛けて小さなパフスリーブが添えられて大変可愛いのです。

「かなり目立つね。」

「仕方有りませんね。」(少し機嫌取っておこうかな)

「あのさ、メイド服って作った?」

「勿論ですとも。着て見ますか?」(復活した)



本日はお城で夜会が行われます。

この王都では年に2回夜会が開催され親類縁者の近況報告や若い男女のお披露目の場となっているそうです。私も出席する様にと招待状を頂きました。今までも何度かお誘いが有ったらしいのですがフェイがわざと伝えて無かった事に怒ったお母様、今回は強制的に招待状を送ったのだそうです。それでも何だか嬉しいです。

ドレスはお母様が用意して下さるそうなので、お昼過ぎにはお城へ向かう事になってます。今日はララァも一緒なので物凄く楽しみなのです。

どうせ向こうで着替えるのだからと二人でメイド服を着ていく事にしました。

このメイド服は日本の技と云われるアニメによく出てくる洋服です。主体は黒のワンピース、丸襟フリル寄せリボン付き、胸当て付きフリルのエプロン、おまけでツインテールとララァに教えたら悶絶して喜んでました。多分作るだろうとは思ってたけどね。





「この城の待女は可愛らしい制服を着用していらっしゃるのですね」

「ありがとうございます。」(わーい褒められたよーララァに教えなきゃね)

お昼過ぎにお城へ来たのだけど、ララァは打ち合わせが有るとかで直ぐに何処かへ行ってしまいました。ローズお姉様もお母様もお客様で忙しそうだし、どうやら暇なのは私位みたいなので、厩舎へ行きガイア達と遊ぶことにしました。で、厩舎へ行くと一人の少女がハルちゃんを撫でています。なんだか可愛い様子に和みます。

「その子はハルちゃんだよ」

「可愛い目をした子ですね」そう言ってにっこりと笑いました。



少女の名前はシア・ヴィクトリア・アイテール 隣国アイテール国の王女様であります。

薄い金色の長い髪は腰まで届き、瞳の色はピンク色です。肌の色もほんのりピンク係った白です。背は私より少し高く胸も私より少し大きいようです。(こっちの人は皆デカイ)

「一人でこんな所に居ていいの?お付の人達探して無い?」(少々心配かな)

等と言いながら、厩舎裏の木陰で座りながらおしゃべりしてるんだけどさ。

「探しているかもしれないわ。でも部屋で座ってるだけなんてつまらないわ」

年も近いせいか(シアちゃん50歳)ざっくばらんになってます。イロイロと。(笑)

「本当は夜会に出たくないのよ。着飾って愛想笑いしてるのって生に会わないもの」

「何がしたい?」

「馬に乗って遠出もしたいわ。あなたとおしゃべりも楽しそうだし。この国の市場にも行ってみたいわ」

「ふむ。・・・分かった。それやろう」

「出来るの?」大きな目が更に大きくなってる。

「まかせて」

後ろの方でガサガサと草を踏む音がしたので振り返ってみると、ラフな格好をしたユゥイが立っています。

「綺麗なご婦人がこの様な所で如何されましたか」(あー見つかった)

「ん。おしゃべり」

「私も仲間に入れてくれませんかね」(探しに来たんじゃないの?)

「いーけどさ。仕事はいーのかなユゥイ」

「騎士の方ですか?」(王子です)と言いかけたら

「はい。」(えー!いいのかい)

結局3人で楽しくおしゃべりしてしまいました。3人とも年齢が近いからか何だか学生の頃を思い出してしまいます。敬語無しで素で話せるのって中々無い事ですから。

小さな鳥が2羽。私の側まで来て何やら囁いています。ピチピチチ。

「あ”-!ララァが探してる!ごめん、先に戻るね!」と慌てて駆け出す私。

「ユゥイ、シアちゃん送って行ってね。シアちゃん夜会でね!」


「ヒカル様、王妃様がお待ちですよ」(ララァごめんね)

「このメイド服、もう1着用意できるかな」

「はい?」

「アイテールの王女様が大変気に入っておりました」

「まぁ!それはお任せ下さい」ウィンクまで付きました。



「やはりこれもダメですね」と言いながら深いため息を漏らすお母様。

夜会用のドレスはどれも胸元まで大きく開いています。赤い斑点がモロ見えです。

「あの子はヒカルを誰にも見せたく無いのですね。」困った者だと言いながら少し嬉しそうです。ではこれをと手渡されてのは濃い紫色のドレスです。首回りに白いシフォンの立ち襟が花びらの様に波打ってます。袖もシフォンでふわりとしており、裾から覗くレースも白くふわふわです。昔見た絵本に出てくる妖精を思い出してしまいました。あの妖精は小太りなおばさんだったけど、何だか重なってしまって思わず笑ってしまいます。

「何やら楽しそうだな」(ちょっとね)何時の間に来たのかしら。

そう言いながら結い上げた髪のうなじに顔を埋め口づけをして来ます。(タイムの香りに癒されるな)

彼の装いは夜会用なのでしょうか、白色のシャツにズボン、白い縁取りの濃い紫色の長めのジャケット、襟元には同色のシフォンのタイを結んでおります。(カッコ良過ぎだし)

「フェイ。次にこの様な悪戯をしたら黙ってはおりませんよ」(やはり母は強し)

「何の事でしょう」(うっわワザとらしいって)

丁度その時「そろそろお時間です」と従事の方が戸を開けた。




夏の夜会は夕方の涼しくなる頃に始まります。

宮殿の1番大きなホール正面奥は1段程高くなっており其処には背凭れの高い赤いビロード張りの椅子4脚が鎮座しています。其処には国王と王妃、次期国王の王子夫妻が座ってます。それ以外の関係者(兄弟親戚)はその脇に据えてある少し小さめの椅子(それでもビロード張りで豪華だよ)に座るのだそうです。

この部屋にある5個の窓は全て開け放たれ庭へも自由に出入り出来るようになっています。宮廷の庭にはサロンも数か所用意してあり、涼みながらゆっくり寛げるように工夫されているようです。

さて、私はこっち側では無いよね(王様側)?じゃ、向こう側の立食の方かな?シアを探して一緒に食べようかなと今夜のご馳走にわくわくして歩いて行く私の手を掴む人がおります。もちろんフェイですが。

「ヒカルは私の隣におれ」(まじですか。何気に嫌な予感するけど)

「向こうに行っても良い?」(テーブルの上の料理が気になるよ)

「後でな」(しょうがないか)



宮廷音楽隊(?)が緩やかな奏でを始めます。それが合図のように正面の扉が開き次々に客人が入って来ます。そのまま王の座まで赴き簡単な挨拶をしてホールの中へ散らばって行きます。暫くその様子を眺めていたらシアが近づいて来るのが見えて来ました。

髪を低めに結い上げ少しの束を片方の肩に流しています。ドレスは水色で胸元まで開いたデザインがとても似合っています。王の座に挨拶をした後こちらにも軽く挨拶をしてくれたのですが、私とユゥイの顔を見て固まってしまいました(マズイ)。後でね!と小さく呟いたのですが聞こえたのでしょうか、小さく頷いたように見えました。斜め後ろのユゥイをそっと見てみると、笑っておりました。

「今宵はゆっくりと楽しみ寛いでくれ」国王様の言葉で夜会が始まりました。


夜会って楽しそうですよね。女性なら憧れる集まりです。綺麗なドレスに綺麗なイケメン!これ必需品と思っております。

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