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2025年 魔法使いになった歳

作者: ムルモーマ
掲載日:2025/12/29

 2025年は1月の後半に母方の祖母が亡くなったところから始まった。

 数年前から体を蝕んでいたガンに対して根幹的な治療ではなく、出来るだけ健康に過ごせるようにと方針が変わり、それに伴って祖父が亡くなってからも住み続けていたマンションを引き払いつつ、近くの緩和ケアが出来る老人ホームに移ってすぐの事だった。

 一人暮らしをしている自分も母と共に近々会いに行く予定だったが、危篤になったと聞いて飛んでいき、そしてその時にはもう会話が出来る状態ではなく、結局そのまま亡くなった。

 ただ、前々から死期が近いとは分かっていたのでそう悲しむ事もなく、粛々と遺体のお清め、葬式、四十九日と続いた。

 けれども……家族に囲まれて葬式を迎える祖母に対して、自分はどこか羨ましさを覚えていて、それはずっと自分に付き纏っていた。


 3月に30歳になった。異性と付き合った事もなければ、勿論性交もした事はない。所謂魔法使いというやつになった。

 転職してから3年目になった仕事は基本リモートワーク。web上で会話を交える事もあるが、それも基本声だけ。対面してリアルに会話を交えた事は本当に数える程しかない。

 健康維持の為に近くのフィットネスクラブに入会して、仕事が終わってから週2~4回通っているが、そちらでも誰かと会話をする事はない。

 また、友人との付き合いも年に数回あるくらいで、赤の他人と会話するような趣味もない。

 一人暮らし歴も、大学入学から数えて10年を超えている。そしてそんな生活を長く続けて寂しいと基本思わないくらいに、自分という人間は一人での完結度合いが高い。

 けれども、このまま一人で年を取って、誰にも看取られずに死んでいく事は、どうしても自分には受け入れる事まで出来ないらしい、という事をここ数年で理解していっていた。

 それは、祖母が亡くなった時に祖母に対して羨望を覚えた事で確信へと至った。


 春も夏も気付けば通り越し、そのまま秋も過ぎて2025年も終わろうとしている。

 自分の本質が余りにも自己中心的である事も理解しているし、他人への興味も元から薄い事も理解している。人の顔や名前を覚えにくいのも、それは元からそういう機能が自分に欠けている訳ではなく、興味が薄いからという事にきっと尽きる。

 けれども自分の自己完結度合いは、平均と比較したらかなり強い方であろうけれども、自分だけで世界を完結出来る程ではなかった。きっとそうであったら、時折一人で居る事に孤独を覚える事もないだろう。亡くなった祖母に羨望を覚える事もなければ、自分の中の希死念慮が最盛期であった時に自殺出来ていただろう。

 更に言うのならば、自分はかなりの特殊性癖で言うならばケモナーに近しいのだが、それよりも業が深いところに居る。

 ただ幸いなのは、自分は一人で死んでいく事を受け入れられないと気付けたのが、まだ色々な物事がどうにか間に合うタイミングだった事と、収入も悪くはない程度にはあるという事だろう。

 とりあえずやるだけやってみようと決心するまで至った。

 ひとまず、年始に向けて結婚相談所に面談を申し込んだ。

 自分にマッチしてくれるような異性が居るのか、自分がどれだけ自分を変えるべきなのか、皆目見当もつかないけれど、とりあえず。

 何年続けて、成就するのか、諦めるのか、いや、諦められる……孤独死する将来を受け入れる時が来るのか。余り前向きにはなれないけれど、動かなければ何も起きないところにはもう居られない。

 2026年どうなるのか……少なくとも、今までとは全く異なる年になるのは間違いない。

 それと……自分のメンタルが再起不能にならない事だけは祈っておく。

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