赤:夏休み、ファミリーレストランにて
立花まといは高校入試に失敗し、私立高校に入学した。私立高校への入学は不本意だったけれど、まといは高校で良い友人に恵まれ楽しい学校生活を送ることができている。そういうわけで、まといにはもう不合格だった県立高校への未練はなかった。
まといはインスタグラムで中学の同級生だった小柳琴美と連絡をとるようになり、LINEも交換する。夏休みのある日、琴美からLINEで
「中学の同級生女子みんなで、駅前のチアフルでご飯しない?」
と誘われた。チアフルとは赤を基調としたファミリーレストランで、九州北部中心にいくつか店舗があるチェーン店だ。断る理由などなく、みんなと久しぶりに会いたい気持ちがあったので、まといはこれを承諾する。
*
当日、チアフルにはまといの中学の同級生だった女子が8人ほど集まった。中学時代の思い出話や、高校入学してからの近況報告に花が咲く。まといが行きたかった県立高校に通う谷原綾乃と中山紗菜もいたけれど、まといが不合格になったことには一切触れられず、いまどうしているかという話がメインとなった。高校生でお金がない(今日参加している者でアルバイトしている者は誰もいなかった)ので、飲み食いするものはフライドポテトか唐揚げかデザートかドリンクバーが中心だ。いじめっ子で声の大きかった女子生徒たちはいなかった(誰も彼女たちを誘いたくなかったのだそう)ので、平和な会となった。