27話 色々と大変な一日
現在内容の再編集を行ったリビルド版を製作中です。
このお話の続きはリビルド版で連載したいと思いますのでどうかよろしくお願いします
「おっ、あいつは昨日のメイドだな」
オレ達がヘルメスの屋敷へと戻ってくると屋敷の門の前には一人のメイドが出迎えに立っているのが目に入った。
「……勇者様御一行ですね。お帰りなさいませ、皆様の部屋は既に用意されておりますので私がご案内させて頂きます」
「おう」
この事務的で、やけにか細い声や愛想の悪い印象なんかの所為で逆にオレはこいつの事をよく覚えていた。
メイドの癖に暗いんだよな……髪で半分目が隠れて、しかもその奥の目には光が無い。
へルメスはわざわざ何でこんな人間雇ってるんだろうか?
もしかしたら仕事面で有能なのかもしれんな、実際オレ達への案内はそつなくこなしている。
「……ここが本日勇者様御一行の宿泊なさるお部屋になります」
そんなクッソ暗い全身お通夜みたいなメイドにしばらく付いて行き、屋敷の一角にある大部屋へと案内された。
「おい?オレ達今日ここに泊まるのか?」
「……はい?そうですが」
部屋を明るく照らすシャンデリアに壁にはよく分からん絵画があちこちに飾られている。
地面には謎の熊の敷物が敷いてあるし奥に見える寝室には見た事も無い様なサイズのベッドが置いてあった。
要は庶民の理解を超えた、とんでもねぇ金持ちの暮らす空間がそこにあったって事よ。
「すっごー、これはおったまげたわね」
アドラ、なんだそのワードチョイス。
「10人位でも余裕で止まれそうな広さですわ……あっちにスロットマシーンなんかも置かれている所を見るとここはもしやラブ……」
「ヘル、唐突なそういう発言はやめような?」
「あらあらあら?」
こいつは偶に下ネタ言わないと死に至る致命的な欠点でも持ってんのか?
大体何でお前、その単語を知っているんだ?
「……それでは皆様、お食事は部屋へお持ちしますのでどうぞおくつろぎになって下さい」
「おう案内サンキューな」
「…………」
メイドは無言のまま部屋のドアを閉めて去っていった。
「……無視かよ」
あのメイドは本当によく分からん……ただ深く関わったら冥土に連れて逝かれそうな雰囲気がある。
メイドだけにな。
▽ ▽ ▽
――バタンッ。
「……ショタ勇者が私なんかにお礼を……ゲヘ、ゲヘヘヘヘヘヘ、ゲヘヘヘヘヘ」
扉を閉めて廊下に出たメイドは奇妙な笑い声で笑いながら、上機嫌で調理場へと向かっていったのであった。
▽ ▽ ▽
オレ達がこの部屋に入り、三時間程が経過した時だった。
「みんな~ただいまぁん」
屋敷へと戻ってきたヘルメスがオレ達の部屋へ帰宅の挨拶にやって来た。
ん?心なしか彼女の顔に元気が無いように感じるのは気のせいだろうか?
「ヘルメスさんおかえり!」「お帰りなさいませですわ!」
そういやヘルメスは別れ際に今後の事を話し合うなんて事を言ってた気がする。
となると部屋に訪ねてきたのはその為か?
「随分と遅い帰りだな、例の後の処理というのが忙しかったのか?」
「まぁそうねぇん……それよりもその後の議長との話が色々と揉めてねぇん」
ヘルメスは少し困った様な表情で眉をひそめる。
揉めた?あのパワー系のちょっとイカレ寄りのロリ議長と?
……とんでもない事を言われてなけりゃいいんだが。
「何か、あったのか?」「気になるわね」「ですわ」
「……あ、ええ、まぁ……」
「おい、気になるじゃねぇか」
「…………」
オレ達にあまり切り出したくない話題なのか、ヘルメスはそこで言い淀んだ。
あっ、オレには分かる。
これはよろしくない時の間の取り方だ。
「ヘルメスさん、一体どうしたのですか?」
ヘルが心配そうに訊ねている。
「……みんな落ち着いて聞いて欲しい事があるのぉん」
「分かった、話してくれ」
ヘルメスはそこでため息を一回吐いて観念した様子でオレ達の方を見て口を開いた。
「突然だけど五族華会所属の者及び勇者一行は明日、日の出前に教団支部を強襲し、これを殲滅する事が決まりましたわぁん」
「は?」「へ?」「え?」
「これは最高議長直々の勅命で無視する事は出来ないわ……はぁ胃が痛い」
おい!ヘルメス語尾はどうした語尾は?
いや、そうなるのも無理はないか……。
「……ヘル、今の時刻は」
「午後八時ですわ」
「……バカが、いくらなんでも決行が早過ぎだろ」
明日日の出前に教団支部を強襲だと?
あいつ一体何考えてんだ!!
あのエレノアとかいうロリ、あいつはイカレ寄りなんかじゃない!正気を疑うレベルのバチクソイカレディだ!!




