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24話 完璧な計略と圧倒的な差

 「けっ、バレちゃしょうがねぇ。よっと」


 ……スタッ。

 仮面の人物は貼り付いていた天井から勢いよく飛び降り、会議場の中央へと着地した。


 「マズダ様!急いで退避を!」

 「ああ、分かってる」

 

 オレとヘル、アドラは急いで席を立ち三人で固まりつつ、謎の仮面から出来る限り距離を取った。

 

 ……クソッ、セキュリティの関係でさっき武器を預けてしまったのが痛いな。

 これじゃ全員まともに戦う事は出来ない。


 「てめぇ、何者だ?」

 「まあまあ、そんなに敵意を向けずに落ち着きなって。どうせ君ら全員()()()()()()()()()()、戦えないっしょ?気楽にいこうよ」

 

 ……武器を携帯していない事をお見通しって訳か。

 こいつ、最初からこの状況を狙っていたのか。


 「……一つ聞く。お前、何とかって教団の……あの死神の仲間か?」

 「んーと死神……?あぁ!もしかしてメアデスちゃんの事?あの鎌持ったカタコトの子でしょ」


 やはりアイツの事を知っているみたいだな。


 「アイツの仲間か。だったらわざわざここまでオレの命を狙いに来たという事か」

 「正解!でも正確にはここにいる()()の命な」

 「全員?つまり五族華会(ペンタゴン)のメンバーもって事か?」


 オレ達は仮面の人物相手に会話で場を繋ぎながらさりげなく出口の扉へと回り込んでいった。

 セコイ手かもしれんが退路の確保は戦闘の基本だ……よし、あともう少し。


 「そうだよ。ちなみに君らの後ろのドアはロックが掛かってて開きませーん、残念でした」

 「クソが、逃げようとしてたのもお見通しかよ」

 「俺様はメアデスちゃんと違って頭脳派なんでね、おたくらが五族華会(ペンタゴン)と絡む予定があるってのをここに潜入させといた信者から聞いてね。まぁ仕事だし、しょうがねぇからたったの一晩でこの天才的な一網打尽作戦を考えたって訳」 


 俺様?一々上から目線なうえに勝ち気でケラケラ笑いやがって。

 常に人の気分を逆撫でる最高にムカつく野郎だ。


 「お前中々いい性格してるよ」

 「お褒めに預かりまして、どうも。勇者とおまけの五族華会(ペンタゴン)も殺りゃ、この街で一番強いのはオレ様って訳よ」

 「勇者を殺して教団の評価を上げて、力こそ正義のリィーダルの議長の椅子も貰えるかもって訳か。本当感心させられる」


 さて、どうする。

 適当に会話を続けて戦闘を先延ばしにしているが逆転の一手が見当たらない。

 退路は塞がれちまったようだし……武器も無しで真正面から死神の仲間とやらのあいつと戦うしかないのか?

 ……待てよ。

 武器が無くとも魔法ならヤツに一矢報えるかもしれない。


 「あっ、それともう一つ」

 「あ?」

 「この部屋には魔封じの結界も貼ってんだよねぇwwwそりゃ一応こんだけのメンツを相手にするんだ。魔法対策も必須っしょ!」

 「なっ!……クソッタレが」


 ヤツの言う事がハッタリでないのか試してみる。


 「ポイズンブレス!」


 MP30→20 MISS


「なんだと」

  

 オレはポイズンブレスを発動しようとしても魔力のみを消費しただけで何も出る事は無かった。

 詰んだ……少なくともオレは戦う手段が何もなくなってしまった。

 まんまとハメられた、あいつ自分から頭脳派を名乗っているクソ野郎なだけはある。


 「いったろ?無駄だってよぉ。さてそろそろ殺っちゃいますか」

 「くっ!」

 

 ……五族華会(ペンタゴン)の連中は一体何を考えてやがる。

 やつらはこの絶望的な状況に関わらず、無言のまま誰一人席から立ち上がってすらいなかった。

 シエルに関しては円卓に手を付きその上に顔を伏せて……寝ている。


 「ケケケ、しかし五族華会(ペンタゴン)の連中はこの状況でも微動だにしないとは、頭の可笑しい連中とは聞いていたがここまでとはな」


 こればかりは仮面の人物と同意見だ。

 何故そんなに余裕でいられる?

 こっちは武器も持ってない魔法も使えない丸裸なんだぞ?


 「ふわぁ~、んで話は済んだ?クソダサ仮面君?私また眠くなっちゃうよ~」

 

 さっきまで寝ていたシエルが、むくりと起き上がって何を思ったのかいきなり仮面の人物を煽り始めた。


 「あん?てめぇ状況分かってんのか?」


 シエルの天然なのか狙ったのかは定かでない挑発は仮面の人物にかなり効いたみたいで、さっきまでの余裕綽々のウザい口調から荒っぽい口調へと変化している。

 いるよな、自分が常に上だと思っている人間って他人から小馬鹿にされるとすぐキレるんだよな。


 「知らないよ~ん」

 「……決めた。まずはダサい被り物したてめぇからぶち殺す」

 「ダサい!?これ凄くかっこいいのに!」

 「言ってろ、霧隠れ(ハイドネブラ)


 仮面の人物が呟くと彼の姿は周囲の景色と混じり合うように同化していき、ゆっくりとその姿を消した。


 「あれ?隠れちゃった。おーい出てこーい」


 シエルはふらっと立ち上がり仮面の人物をキョロキョロと探し始める。


 「アドラ、ヘル、ヤツはどこに?」

 「駄目ね完全に気配が消えているわ……あの死神以上の隠密能力ね」

 「私も見つける事は出来なそうですわ」

 「……そうか」

 

 オレ達も周囲を確認するが、駄目だ。

 誰も奴の気配すら感じ取る事が出来ない。

 仮面の人物が姿を消して数秒程経った。

 そのタイミングで、ヤツは太い牛刀を逆手に構えて突如出現した。

 

 「……じゃあそろそろ顔出しちゃおっかな~」

 

 その場所はシエルの背後ではなく、無防備に座ったままだったエレノアの背後にだ。

 

 「あいつ!……まずい!!エレノア!」 

 「遅いねッ!」


 ヤツは牛刀を椅子毎切り裂くようにエレノアの首めがけて振り下ろす……ヒュッ、スパッ。

 

 間に合わないッ!

 風切り音と同時に……牛刀を振り下ろした筈の仮面の人物の両腕と首が同時に地面に転げ落ちた。


 「……えっ?」


 オレ達にはあの一瞬で何が起きたのか理解する事が出来なかった。

 気付いた時にはバラバラに解体された仮面の人物の近くにギルバートが立っており、手には何かの血が付着しており彼女はそれを舐め取っていた。

 

 「……不味い。血が腐っている、()()()()()()()()()のか?お前」

 

 「てっテメェ!何しやがった!なっ、なんでいきなり俺様の手と首が落ちてんだ!」


 ……えええぇ。

 何しやがった、じゃねぇだろ。

 お前そんな状況なのに普通に喋ってるの超ドン引きなんですけど……。


 「……もう何が何やら、理解できない」


 「安心して、私もよ」「ですわ」

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