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22話 力こそ正義、変人だらけの五族華会

 翌日オレ達は黒色アパティア教団壊滅の協力を取り付ける為ヘルメスの案内の下、この都市の統治機構である五族華会(ペンタゴン)の会議の場へと向かった。


 「さぁ、着いたわぁん。ここが五族華会(ペンタゴン)の会議場よぉん」


 ヘルメスが指差したのはリィーダルの中央にあって街のどこからでも目にする事が出来る、黒く巨大な五角柱の塔であった。

 

 オレは立ち止まり、下から塔を見上げてみた。

 

 「はぇ~すげぇ高えな、何百メートルあるんだこれ?」


 こういうスケールのデカい巨大建築好きなんだよなオレ。

 

 「さぁね、そんな事よりヘルメスさんはもう塔の中に入ってるわよ」

 「マズダ様、私達も急ぎましょう」

 「まじか、じゃあ、ちゃちゃっと行くか」


 そうだな、今日の目的は観光じゃない。

 この塔の内部で行われる会議に出席しに来たんだ。

 オレ達は小走りでヘルメスの後を追い塔の内部へと入っていった。


 塔の内部ではまず警備の者に武器を預けた。

 次に厳格なボディチェックが行われてようやく魔導昇降機、所謂エレベーターに乗る事が許された。

 

 そしてエレベーターが200階を指した所で停止し扉が開いた。


 「さぁ、ここを降りた先の部屋が会議室よぉん」


 オレ達はヘルメスに続くようにエレベーターを降り、その先にある部屋の中へと順に入室した。

 

 部屋の中は広い空間が広がっており、三人の代議員と思われる者達が部屋の中央に置かれた円卓に沿う様に並べられている5つの席に各々着席していた。


 ヘルメスは辺りを軽く一望した後に円卓へ向けて歩き出した。


 「やぁヘルメスさん、おはようございます」

 「あらあらあら、おはよぉんタブリスちゃん」


 途中ヘルメスはアドラとそう年齢も変わらない印象の眼鏡をかけた茶髪の優男と親しげに挨拶を交わして、その隣の席に腰掛けた。

 オレ達もヘルメスに続き、彼女の座った席の後方に用意されていた3つの席にそれぞれ着席する。


 「……ヘルメス、あいつは?」


 着席を終えて、オレはヘルメスに小声で問いかけた。


 「あぁ、紹介を忘れてたわねぇん。彼はフェルディナント=タブリスちゃん。巷では世界で最も偉大なゴーレム錬成士と称される子よぉん」

 「フェルディナント=タブリス、聞いた事がございますわ。何でも空飛ぶゴーレムの錬成や半永久動力炉の開発など様々な偉業を成し遂げた天才錬成士だとか」

 「あの冴えない感じのメガネが?そりゃ凄いな」


 オレはその話を聞いて改めてアイツの顔を覗き込む。

 するとアイツはこっちを見て、微笑みながら手を振ってきた。


 「うへえ、気持ち悪。俺が嫌いなタイプだアイツ」


 昔からああいう分け隔てなく明るい聖人みたいな奴嫌いなんだよなぁ。


 「……それでヘルメスさん、他の二人は誰なの?」


 ヘルメスは無言のまま濃い紫のドレスを着た翼や蛇が付いた尻尾の生えた青肌の悪魔?に視線を合わせてから口を開いた。


 「彼女はアンフィスバエナ、毒の精霊王メデューサの娘で元魔王軍大幹部。毒と氷属性魔法の実力は世界でも屈指のものよぉん……鋼鉄の様に頭が固いのが残念な所なんだけどねぇん」


 元魔王軍大幹部に毒の精霊王メデューサの娘?色々と気になる経歴だな。

 機会があれば何か話を聞きたいものだ。


 「で?もう一人のあそこにいる頭のおかしそうな奴は?」


 オレはこの場で一番気になっていたヤツの方を見ながらヘルメスに話しかけた。

 黄色を基調としたド派手なゴシックドレスを着て、さっきから落ち着きがない様に動き回っている。

 赤いハットと鳥のクチバシの様な……所謂ペストマスクを被ったバチクソ奇怪ないで立ちの女だ。


 「あー……彼女はシルク・ドゥ・シエル。名前以外の情報は一切不明よぉん、なんで彼女がここの代議員なのかは議長しか知らないわぁん」

 「なんだそれ?ここの議員って選挙とかで選ばれるんじゃないのか?」

 「……選挙は無いわぁん五族華会(ペンタゴン)いや、リィーダルという街はねぇん『力こそ正義』だから」


 なんだそのパワー系の街は。


 「……多種多様な種族を取り纏めるには力でねじ伏せるのが一番効率がいい」

 「へ?」


 部屋の奥から小さく声が聞こえたと同時に五族華会(ペンタゴン)の代議員四人が一斉に起立した。

 心なしかヘルメスの顔には緊張の色が浮かんでいる様に感じた。

 オレはさっきの声の主の方に目をやる。

 そこにいたのは黒マントで体を覆ったヘルメスと同じ位デカい銀髪の目つきの悪い女と……紅いドレスを着た小さく可憐な少女だった。

 

 「いいよ、座って」

 

 代議員達はその声を合図に再び着席した。

 待て待て、発言したのはデカい女じゃなくて、あの小さい女の子じゃねえか。


 まだ幼さの残るあどけない顔立ちと大きく吸い込まれそうな蒼い瞳の少女。

 彼女は多分人ではない。

 何故なら彼女の頭からは立派な角が二本生え、耳は尖がっていた。

 

 人ならざる少女は腰まで伸びた真紅の髪を靡かせながら、空いていた席へ歩いていきそのまま着席した。

 

 「おい、ヘルメスあの子は?」

 「しっー口を慎んでぇん。あのお方は世界最大の裏組織【紅龍玉麗会スカーレットドラゴニア】総裁にして五族華会(ペンタゴン)最高議長アルバス=スカーレット=エレノア様よぉん」

 「あんな小さい女の子が最高議長!?まっさかぁ」

 「こらっ!聞こえる」


 気付いたら少女はオレの方を小さなほっぺを膨らませながら睨んでいた。

 ……なにそれ可愛い。 


 「お嬢、不敬を働いた彼の者にケジメを取らせますか?」


 少女エレノアの隣に立っていた黒マントの女がなにやら物騒な事を言い始めた。


 「いいよ、ギルバート怒ってない。あの子は勇者。この世界の事をあまり知らないだけ」

 「御意にございます……出過ぎた進言をしてしまい大変申し訳ございません。お嬢」


 あのとんでもない位威圧感があるデカ女があそこまで畏まった言い方をするだなんて。

 やっぱりあの子相当偉い人なのか?


 「そんな事よりシエル、会議の開始を宣言して」


 静まり返っていた議場の中、エレノアが静かにそう告げると例のペストマスクが勢いよく立ち上がった。


 「よっしゃあ!!みんな揃った所で会議を始めようか!今回の議題は、っと……あー、えー、ゴーレムの事とアパティア教団の事みたいだ!それじゃあ会議開始ィ!」


 彼女は派手な手振りと大きな声で会議の開始を宣言した……マジでなんだあの女?

 こうしてシルク・ドゥ・シエルの号令で訳も分からぬまま五族華会(ペンタゴン)の会議が始まった。

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