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19話 【ラアルの銘を冠するモノ】

 「お前、俺が言うのもなんだけど……最低な奴だな」

 「知った事か。そんな事よりお前らのアジトへ案内しろ、ここで随分とあくどい商売をしてたみたいだし……たんまり持ってんだろうが?金目の物を?」

 「……うっ、うるせえ!!何言ってやがる!こっちには人質がッ!」

 「黙れ」……ドン。


 街路樹に裏拳打ちして、チンピラをビビらせる。

 ……ちょっとやってみたかっただけだ、反省はしていない。

 

 「……あっ、ありえねぇ何なんだこいつら」

 

 オレのドンに恐れをなした?チンピラCは完全に戦意を喪失した様子で握っていたナイフが転がり落ち、人質を掴んでいた腕も力なく垂れ下がる。

 その隙に捕まっていた村娘がチンピラの下から逃げ出す事に成功した。

 

 逃げてきた村娘はオレとのすれ違い際に「……最低ッ!」とだけ発し、そのまま村の方へと走り去っていった。


 なんだ?あの女。

 確かに見ず知らずの他人の命なんてどうでもいいって言ったのはちょっと悪かったかもしれないけど事実じゃん?

 だったらあの村娘は見ず知らずの人間の為に命張れるってのかよ?……ったく。

 大体結果的にはオレ達のお陰で命が助かったってのにあの態度はムカつくわぁ。


 「チッ、くだらん。それで?人質はいなくなったぞ?早くお前達のアジトに案内しろ、ぶち殺されてえのか!アァ?」


 オレは戦う意思を消失していたチンピラCにあえて追い打ちをかける様に剣を突き出した。 


 「ヒッ!ひいい~!!」


 いいか?よく聞け。

 カツアゲをしていい奴はカツアゲをされる覚悟のある奴だけだ。

 お前達は喧嘩を売る相手を間違えたんだよ。


 「アドラ、あいつを絶対逃がさないようにな」

 「はぁ……もうどっちが悪者か分かんなくなってきちゃったわ」

 「うるさい、取れる時に取らなくてどうする?せっかくあるチャンスを活かさないとチャンスの女神に嫌われちゃうぜ?」

 「何よ、その女神」


 アドラはしぶしぶ無抵抗のチンピラに近付いて両手を縛った。


 ▽ ▽ ▽

 

 「……これで全部です」


 捕縛されたチンピラCは街道から少し外れた洞穴に作られたアジトにオレ達を連れていく。

 チンピラCはアジトの奥の今まで強奪してきた金貨や銀貨、宝飾品、武具等を収納してある部屋へオレ達を案内した。

 

 見た感じ、そこそこ色んな物が貯め込まれている。

 これなら本日の労働分はプラス収支と言っていいかな?


 「ご苦労、解放してやる。これに懲りたら二度と悪さするんじゃねぇぞ」

 「……へい」


 縄を解いて自由にしてやると同時にチンピラは寂びしそうにその場を去っていった。


 「さて馬車も待っている事だし、ちゃちゃっと回収していこうぜ」

 「そうね……武具はどれもこれも既製品ばかりだわ。性能もよくないし値段も大してつかなそう……まぁあいつら弱かったしそれも仕方なさそうね」

 

 大量に積まれてある武具の山から剣を一つ手にしてアドラは少し残念そうにそう語った。


 ……オレも一応チェックしてみるか。

 

 「うん、どれも補正値+5とかで錆も酷い、スキルスロットも無いものが多いな」

 「でしょ?」

 「……武器は捨て置こう。馬車の中がかさばるだけだ……ん?これは?」


 大量のガラクタ武器の隙間からキラキラ光る物体がオレの目に映りこんだ。

 それが無性に気になったので手を伸ばして取り出してみる。

 

 これは、紫色の宝石か?


 「ふむ、これは売却品じゃなくて武器に装備する装飾だな。何々……【招来するラアルの祝福】」

 「おっ、それネームド装飾じゃないかしら?武器に複合能力が付くレアな装飾よ」

 「ふーん。ネームドねぇ」

 

 アドラ曰く武具装飾品には攻撃アップなら攻撃上昇効果みたいな感じで一つの装飾には一つの効果があるというのが鉄則らしい。

 だがごく偶に例外が存在するらしく、この宝石みたいにネームドと言われる長ったらしい名前の付いた装飾品がそれに当たり、複数の効果が付与されたレアものらしい。


 それで、気になるネームドのこいつの能力は?

 

 【招来するラアルの祝福】

 ・毒効果(中)

 ・毒無効の敵に対して低確率での毒付与


 ……!?これは、めっちゃ使えるぞ!

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