11話 勇者だから命、狙われてます
オレ達は先程のくだらない談笑に一区切りがついた所で王宮の城門へと辿り着いた。
「おう昨日ぶりだな」
「勇者様ではないか!良かった御無事で。王も女神様も大変心配しておられたのですぞ、さぁ中へ」
門番曰く王とヘルは謁見の間でオレの帰りをずっとお待ちになっていたとの事だ。
……たった一日程の失踪だぞ、少し過保護じゃないか?
「しかし、マズダが勇者とはね、もしかしてこれも嘘?」
「嘘だったら現にこうして王宮に入れてないだろうが」
「……うっ、それもそうね」
オレがいるからだろう、アドラもすんなりと入城許可が出た。
「それにしてもさ、お前ボロ切れの下は随分と綺麗な恰好じゃん」
「うっ、うるさいわね」
「まぁそう言うなよ。実はボロ切れの下はもっとボロいもん着てたのかと少し心配してたんだぜ?」
オレは王宮に入る前にアドラには上に羽織っているボロ切れを捨てるように言ってあった。
というのも流石に王宮の中へ突然ボロ切れを着た奴を連れていくのは何か咎められそうってのがあったからな。
下の服も同じ位オンボロの様だったら外で待ってもらう事も考えたがそれは杞憂に終わった。
というのもアドラの被っていたボロ切れの下の姿は意外な事にまともだった。
白のロングブーツに白のジャケット白のミニスカートという非常に統一感があり、今のアドラは薄汚いホームレスではなく、高貴で可憐な白き女剣士と言って過言でない。
「いやさ、マジでその恰好バチクソ似合ってるじゃん。それなのになんでわざわざあんなボロを着ていたんだ?」
「馬鹿ね、あの格好のままだとスラムでは目立ち過ぎて、面倒事に巻き込まれるのよ」
……それもそうだな。
確かにあのスラムで真っ白のこの格好は派手か。
「お、あいつは?ザリオじゃんオッス」
謁見室の前で見知った顔に遭遇した。
「勇者様!戻って参られましたか!さぁさぁお早く、国王と聖魔様がお待ちです」
ザリオは最初に出会った時の様なセリフを言った後、オレ達をすぐに謁見室の中へと通した。
「おぁマズダ殿か心配しておったぞ……」
「マズダ様ッ!!」
「ヘル?うおっ!」
オレは謁見室に入った開口一番に走ってきたヘルに強く抱き着かれる。
「マズダ様、私は大変心配しておりました……あの夜、突然いなくなるのですもの」
「あ、あぁあの時は済まなかった」
「ちょっと誰、その人?」
「……女神でいいんかな?多分」
「女神様!?その人が?」
まぁ、アドラからするとそういう反応になるよな。
「おほん!そろそろ良いかな?マズダ殿あの日に何があったのか聞かせてはくれんか?」
「そうだな、順を追って説明する……」
オレはずっと抱き着いていたヘルを無理やり引き剥がしてから、この場にいる人に向けて昨夜の出来事を話した。
あの日、ヘルとのスライム退治の帰り。
酒場から出て用を足そうとした(正確には逃げようとした)時に金が無い事に気が付き(知ってたけど)王に無心しようとした事。
その後、道に迷って辿り着いたスラムでアドラと出会い、謎の襲撃者との戦いに巻き込まれた事。
戦いで傷を負ってしまい、スラムで手当てを受けた為帰りが遅れた事等だ。
「……なるほど、それは随分と大変な目にあったな……お主が負傷したのも王都の警備の甘さも一因だと思う、重ね重ね申し訳ない」
「全く、グラモンその通りです、勇者に対する教団の襲撃位予見出来ていたでしょう?恥を知りなさい」
ヘルはグラモン王に対し、いつになく激しい怒りを見せ叱咤する。
「まぁまぁ別にいいってヘル、オレは無事なんだしさ……それよりも気になったんだが教団って?」
「そうか、お主は知らんかったか邪教組織『黒色アパティア教団』の事じゃ、教団についてはお主の隣に立つ聖十字騎士が詳しいと思うぞ」
グラモン王はアドラの方を見てそう言った。
どゆこと?
「あちゃあ、流石にこの制服だとバレちゃうよね~」
「全くわからん。アドラどういう事か説明してくれ」
なんちゃら教団になんちゃらナイト?
話が繋がらんぞ、頼むオレとは違う次元で話を進めないでくれるか?
「そうね馬鹿っぽそうなマズダ……異世界の勇者君に分かり易く説明すると」
「おい、馬鹿は余計だ」
「要はこの世界にはソリトゥス最高!どうせ滅ぶんだし、滅びの時までヒャッハーしようぜっていう危ない宗教と神に感謝、勇者最高!平和万歳、繁栄万歳。ソリトゥス死ねええっていう考えの相反する二つの宗教があるわけ……」
「そうなのか……あと、馬鹿を訂正しろ」
なるほどね、要はソリトゥスを崇める側からしたら勇者ってのは邪魔な存在って訳だな。
それで襲撃者を寄こしたと。
……クッソめんどくせえやん。
「でまぁ、私は後者の宗教【セフィロトの樹】の優秀な僧兵って訳」
……優秀?どこが?
「はいはい、それでその優秀な騎士様があの夜になんちゃら教団の魔の手から勇者のオレを守ったと?」
その問いにアドラは両手を上げ首を振った。
「いや、正直言うとあの日はマズダの正体には気が付けなかった……ただ明らかに動きが一般人とは違う、あの死神が襲撃者だという事には気付けたわ、だから影でずっとあいつを追っていたの。そうすれば必然的に勇者とも出会う事が出来ると考えてね」
「……話は理解した。勇者であるオレは最初から命を狙われてる身って事か……だからこそ王やヘルが過剰な位心配してたんだな」
「だと思うわ、そして今後もマズダの前にはあの死神の様な奴がちょくちょく現れるかもしれない」
アドラの一言で場の空気が一層重くなる。
「……はぁ、だったらいっそここを離れて敵が近付けない様な場所へ向かうのはどうだ?……例えば勇者の信仰があるセフィロトの樹だっけか?そこの総本山に向かうとか」
「それはやめといた方がいい、敵の教団はそういう事態を想定して罠を張って待っていると思う」
「現に過去の勇者の一人はセフィロトの樹へ向かう道中で命を落としておるしのう」
そうか、中々いい案だと思ったんだがな。
オレの提案が暗礁に乗りかけた時ヘルがその場の流れを変える一言を言い放つ。
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