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9話 雑草という草はない

 「……ここは?」


 知らない天井だ……というテンプレは置いとこう。

 マジでここはどこだ?

 

 オレは死神との戦いに引き分け、そのまま路上で意識を失った筈。 

 それなのに今のオレはギシギシと音を立てて軋む、壊れかけのベッドの上で薄っぺらいバスタオルの様な掛布団を被せられて寝かされていた。

 ベッドの隣の戸棚にはオレの服と死神の持っていた短剣(シミター)が置かれていた。

 

 病室?にしてはやけに埃っぽくて日当たりが良くないせいで非常に薄暗くジメジメした空間だ。

 ……ちょっと待てよ、オレが意識を失う前は夜だった。

 しかし今、太陽が出ているという事は気を失ってからそれなりに時間が経っているという事になる。


 「恐らくだが状況から察するとオレは誰かに助けられ、ここに連れて来られた……のか?」


 十中八九そうだと思う。

 あの夜、短剣が突き刺さり激しく出血を起こしていた太腿が誰かの手によって手当されている。

 痛みはすっかり無くなっていて、足を普通に動かす事も出来た。

 

 ステータスは?確認してみる。

 状態異常は無し、HPは元の12に戻っている。

 これはつまり全回復しているって認識で良いんだよな?


 「……おはよ、よく眠れた?」


 オレが体の状態をチェックしていると横から突然誰かの声が聞こえてきた。

 

 ん?これは聞き覚えのある声だ。

 この声とあの見覚えのあるアホ毛は、まさか。

 あの夜、見ず知らずのオレを見ず知らずの襲撃者から助けようとしてくれたアドラその人がいた。

 

 「アドラ、お前生きてたのか」

 「ええ…そりゃ麻痺毒よ?死ぬ事はないわよ、まぁ5()()()地面とキスする羽目になったんだけど」

 

 あ、そうか。

 アドラがぶっ倒れた時には気が動転していてすっかり抜け落ちていた。

 例の死神が最後に使っていた武器には麻痺毒が塗ってあるって言ってたもんな。

 別にあの時アドラが瀕死の重傷を負って倒れた訳ではなかったんだよな。


 ……なんにせよ、生きててくれてよかった。


 「それで?私が動けなくなった後一体何があったのよ?気が付いた時にはあいつはあの場にいなかったわ……マズダがその短剣握りしめながら倒れてただけ」

 「……上手く隙を突けてな、ヤツにもあの麻痺の剣をお見舞いする事に成功したんだ。それで多分、逃げていった」

 「なるほどね、それなら時間的に麻痺から解放されるのは私が先になって止めを刺せる。あいつはそれを嫌って引いたのね」 


 そう考えると自分が死ぬと分かっていても完全に無防備になる麻痺って怖いよな。

 ……オレは無効だけど。


 「ところでよ、ここは一体?」

 「モグリの闇薬師、ホワイトジョーカーの診療所よ。スラムの中でも特に腕の良いって評判の闇病院よ」


 ホワイトジョーカーか……微妙に触れていいラインなのかよく分からん名前だな。


 「お前が連れてきてくれたのか?」

 「正義の味方は一度助けると決めたら、何があっても助けるものよ……まぁちょっと油断はしちゃったけどね」


 正義か、こいつはオレと違って純粋だな。

 あれ?でも悪役令嬢がどうのこうの言ってた気もするがツッコんだら負けなのか?


 「なんか騒がしいと思って来てみたら、何だおめえらもう治ってんじゃねえか」

 「あ、おっさん!世話になったわね」


 オレ達が会話に花を咲かせていると奥の部屋からボロボロの白衣を着た小太りの中年男が顔を出し、こちらに向かって歩いてきた。


 「あんたがホワイトジョーカーか?すまん、オレも世話になった」

 「……なに、いいって事よ。幸いアンタらの傷はそこまで酷くなかった。そこら辺のスラムの雑草を拾ってきて混ぜ合わせたもん飲ませりゃ回復する程度には!がはははは!」

 「ブッ!テメェ!なんてもん飲ませやがったんだ!」


 本当か嘘かは知らんがあのゴミだらけのスラムの雑草なんて、いくら汚れのオレでも流石にそれはキツイ。


 「おいおい心配すんなよ、ちゃんと洗ったからよ。それにそんだけ喋れるんなら傷も治ってそうだし、もう大丈夫だろ」

 「チッ、まぁな一応アンタの腕が確かってのは認めてやる、それでお代は?」


 スラム街の闇医者だ。

 多少は吹っ掛けられる事も覚悟して聞いてみる。

 こっちも傷を治してもらった身だ、払える分なら払ってやるよ。


 「つっても雑草だしなぁ……うーん、なら銀貨一枚だ。なにツケで構わねえ、なんなら物と交換でもいいぜ?ここに来るって事はどうせ訳アリなんだろ?」


 銀貨一枚か。

 

 前にヘルと街に出た時に教えてもらったな。

 この国には紙幣三種と金銀銅の貨幣があると。


 価値は紙幣<貨幣で、大体日本円で換算すると1円、10円、100円、と十の倍数ずつ増えていく。

 つまり全六種のお金の上から二番目の銀貨は大体一万円って所だ、治療費にしては意外と普通の料金だな。


 「分かった。ちょっと待っててくれ、すぐ支払いに戻る」


 オレはベッドから降りてこの部屋の出口へと向かっていく。


 「へいへい、気長に待っとくよ」


 あまり信じてないな、それに踏み倒されるのには慣れてるって様子だな。

 まぁスラムの人間がわざわざ銀貨一枚なんて大金を払いに戻って来るとは思えんし当然の反応か。


 「……ちょ!私を忘れないでよね!パーティの件!」

 「あー、そういやそんな事言ってたな……分かった、ついて来いよ」

 「いい?ちゃんとお金は払いなさいよ、そんで?宛は?どこ行くつもり?」

 「……取り敢えず、王宮だな」

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