プロローグ
始めましての方は初めまして。
出来るだけ毎日更新していきます。
文章が拙い部分は休みの日などに適宜更新していくつもりです。
頑張って書いていくので、どうか応援よろしくお願いします。
新しい朝が来た、肥溜めみたいな朝が。
ジリリリリリ。
オレは耳障りな目覚ましのアラームをすぐに切って、布団からゆっくりと起き上がる。
そしてペットボトルとコンビニ弁当の殻が積み上がった山の中から飲みかけのカフェラテを引っ張り出して口に含んだ。
「……はぁ」
寝起きでぼやけた視界が一気に鮮明になる。
「本当なら目覚めの一発は酒が良いんだけど、そこまでいったら廃人だな」
なんて事を考えながら立ち上がり、壁に干してあった作業着に向かって手を伸ばしその場でそれに着替える。
着替え終わると次はテーブルの上に常備してある煙草の箱から煙草を一本取り出して火を付けた。
そのままキッチンに移動し、換気扇を回して一服する。
フィルターギリギリまで朝の一服を楽しんだ後、目線を玄関へと移す。
「……そろそろ行くか」
これがオレの、増田ヒロムの朝のテンプレ。
いや、墓場に入る時まで続くテンプレかもな。
社会人になってからというもの、大体毎日やる事は決まっている。
基本的に家と会社の往復で、たまの休日にはギャンブル。
昔はアニメを見たりゲームをやったりと、所謂オタク趣味に時間を掛ける事が多かったが30歳になった今では昔程の情熱はなくなった。
何もない人生。
玄関へと歩みを進めながら考える。
だがまぁ、こうなっちまったのも仕方ないと思っている。
そりゃ学生時代のオレは勉強が大嫌いだったし、運動も無理だった。
対人関係はイジメに合わないギリギリのカースト……コミュニケーションがギリギリ行える程度の陰キャだった。
そんな感じで完全に弱者底辺コースを歩んできたし、今だってニートになったりする事もなく職に就いてるだけマシってやつだ。
残念ながら自分は勝利者には程遠い存在だ。
だから必ず誰かに負けると分かっている競争事は嫌いだったし、ずっと避けてきた節はある。
しかしその一方で競争を否定するというのは人間として……いや、生命として不可能であるというのは充分に理解しているつもりだ。
生命の歴史というのはそのまま、より強き者が生き残っていく闘争の歴史と言っても過言ではないからだ。
勉強だってスポーツだって、果てにはゲームだって結局は誰かが誰かをを蹴落として勝利者として成り上がっていく。
オレはそういう勝利に溺れた愚者達が醜く争い、蹴落とし合う混沌としたこの世界で争いを否定する心と慈愛に満ち溢れた聖人の精神を持っているんだ。
そう、オレは決して良い家柄や生まれ持った才能が無い事を呪い、あらゆる事から逃げ続けてきた人生じゃない!
オレが社会という名の戦場での闘争を避け続けてきたのはオレの内に持つ優しさ故だ!!
▽ ▽ ▽
ンな訳ねぇだろバカタレが!!
オレだって最強無敵究極生命体になって富、名声、力、全て欲しい。
働かずに無限に金が湧き出て常時女を侍らせたい。
無理だったんだよ……努力してもどうにもならなかった。
世の中の勝ち組と負け組は基礎ステータスが違いすぎる。
天才とは、1%のひらめきと99%の努力である?
馬鹿かオメェ。
真の底辺にはちっとやそっとの努力じゃ埋まらない圧倒的な壁があるんだ。
進学でも就職でもオレは常に普通より下だった。
躓き続けた。
それでも弱音は吐かなかった。
そしてオレなりにどうにかしよう頑張った結果が現状だ。
キツイ、汚い、危険が盛りだくさんの工場での勤務。
3K仕事で給料が低いというデメリットはかなり気になるが仕事柄人と話すのは最低限で気楽だし、慣れれば別に仕事量も自殺を考える程きつくて苦しい訳でもない。
実際衣食住に困らない程度に最低限の生活は送れている。
だから仕事を辞めようと思わない。
苦しいと分かっている現状を無理に変えようとも思わない。
今の状況を例えるならそうだな。
鳥籠の中の鳥は外の鳥の様に空へ羽ばたく事が出来ず不幸に思えるが、外の鳥と違い、止まり木に立ってりゃ生きていけるだけの餌が貰える。
だから鳥籠の鳥は自由ある外へ出ようとはしない。
今のオレは正にそんな所だ。
それはただ生きているだけ、と言われたら正直否定は出来ないな。
「誰に向けて言ってんだか……馬鹿な事考えてないでそろそろ行くか」
自分が底辺の牢獄に囚われている身であると自覚すると、こうやってたまにセンチメンタルな気持ちが襲ってくるが何も行動しないので考えるだけ無駄だ。
十秒もすればどうでもよくなってくる。
本日二本目の煙草を胸ポケットから取り出し、口に咥えながら玄関のドアを開く。
いつもの様に通勤する筈だった。
「……は?」
そこで見た景色はいつもの場所とは全く違うものだった。
見渡す限り幾重にも続く大理石で出来た広い回廊。
壁には複雑な文様が描かれ、ステンドグラスで装飾された窓が光に照らされ燦々と煌きを放つ。
天井には天使や筋骨隆々の男達……迫力あるドラゴン等が写実的に描かれていた。
そんな立派な回廊と何故か繋がったオレの家の玄関のドアの少し先に、こちらに向かって何やら祈りを捧げている聖職者の恰好をした人間達とその横に西洋風の鎧に身を包んだ騎士の姿が見えた。
そして彼らはドアの中のオレの存在に気が付いた途端に大きな声を上げた。
「おお!勇者様がご降臨なされたぞ!」「勇者様!」
「……ちょっとタンマ」
……オレはその様子を数秒程見つめて、そっと玄関のドアを閉めてガチャリと鍵をかけた。
「ちょ!勇者様!!!」
「ワッツ?……何だ、アレ?」
オレはドアの奥から未だに聞こえてくる声を無視してそう呟いた。
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